牧原出のレビュー一覧

  • 田中耕太郎―闘う司法の確立者、世界法の探究者
    大学学部長、議員、最高裁長官、国際司法裁判所判事という個々の説明は専門的ではないが人物像としては面白く読める。したがって、サラリーマンに支持されてベストセラーになり、好評であるという理由も納得できる。東大生にとっては前半の大学生活が参考になるかもしれない。
     安孫子が当時は別荘で武者小路実篤やバーナ...続きを読む
  • 田中耕太郎―闘う司法の確立者、世界法の探究者
    約1000円で、これほどの知的厚みがある作品を読めるという、新書というメディアのありがたさに感謝する。牧原氏の名前は、オーラル・ヒストリー(野中広務)等で接したことがあったかもしれない。商学の教授、大学運営、議員、文相、最高裁長官、国際裁判所判事など驚くほどの広い領域に足跡を残す田中耕太郎という人物...続きを読む
  • 田中耕太郎―闘う司法の確立者、世界法の探究者
    正直こんな人がいたのかと驚くと共に自分の無知を恥じた。中身は含蓄があってよかった。
    田中は一高帝大で教養主義のもと法学に専心。商法の民放に対する独立性を確立する商法学者だった田中は、法の技術的側面(⇔倫理)から、普遍的自然法は技術的な法律を端緒として統一された世界法として各国内法に浸潤していくという...続きを読む
  • 崩れる政治を立て直す 21世紀の日本行政改革論
    制度の作動に焦点を当て、行政と政治の関係でこれまでの制度改革の成否を論じる。これは大学改革にも通じる点が多々あり、組織改革と制度の作動を現場を巻き込んで丁寧に行うことの重要性を改めて認識できた。
  • 崩れる政治を立て直す 21世紀の日本行政改革論
    この書籍のすばらしさは「作動学」という観点から「改革学」の先を見据えていることです。改革する中身は注目を浴びがちですが、それがどう作動するかを予測して仕組みに織り込むという観点は改革をなじませる時間的猶予がなくなってきた現在では重要性を増しているという説得的な議論でした。政治史研究から来るすごみを感...続きを読む
  • きしむ政治と科学 コロナ禍、尾身茂氏との対話
     専門家の位置づけ・責任が曖昧だというが、そもそも政治家の「政治責任」が曖昧なのだから、納得のいくような政治と科学の設計は難しいのではないかと感じた。
  • きしむ政治と科学 コロナ禍、尾身茂氏との対話
    わずか3年前の話なのに、もうすっかり記憶があいまいになっているが、当時マスコミで報道されていた内容と、尾身氏がここで語っている内容がずいぶん違う気がする。こうして後から振り返ってみれば日本政府も分科会もうまくハンドリングできたように見える。
    ただいくつか重要な点への反省が欠けている。日本は島国なのだ...続きを読む
  • 「安倍一強」の謎
    一度野党に転落した苦い経験を経て、自民党の政権中枢は政権交代の可能性を十分意識して、将来の交代を可能な限り阻もうとしている。
    官邸主導を支える人的基盤は菅官房長官その人であるが、制度的基盤は内閣官房・内閣府である。
  • 権力移行 何が政治を安定させるのか
    55年以後の自民党長期政権において、自民党が積み重ねてきた政権継続の知恵を明らかにし、他国の政権交代の制度を提示した上で、政権交代を円滑に進めるための方策を提言する本。

    政権交代を円滑に進めるために、他国で導入されている制度が挙げられており、そこは一読に値する。なぜ民主党政権が失敗したのか、今後政...続きを読む
  • 権力移行 何が政治を安定させるのか
    本書は、国民が政権を選択する「政権交代」の時代において、円滑かつ安定的な日本政治の条件等を戦後の55年体制の歴史から検証するもの。起承転結のストーリーが明確でないため要点を掴みにくく、セオリー化のためか若干大括りに過ぎるのと、中立的視点からは構造改革(特に竹中)に傾いているきらいが感じられました。
    ...続きを読む
  • 「安倍一強」の謎
    本書は、日本政治は少しずつ成熟に向かっているという現状認識の下、第2次安倍政権発足以降の「安倍一強」とも呼ばれる状況がなぜ生じているのかについて、一度与党であった自民党が野党になり、再び与党になったというプロセスを経て、安倍自民党政権が政権交代のサイクルを先導している点を理由として指摘する。また、民...続きを読む
  • 権力移行 何が政治を安定させるのか
    放送大学などでも活躍されている牧原氏の政権交代についてのまとめと読んでみたが、少々期待外れだった。

    基本的には政治史の流れの中で、なぜ政権交代が必要になったのか、表向きと実際の統治がどのような形だったのか、自民党一党独裁の時代、政治改革としての省庁再編の時代、小泉時代や官僚との関係、公務員制度改革...続きを読む