柴田義松のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
「心理学のおけるモーツァルト」と称され、「繊細な心理学者、博識な芸術学者、有能な教育学者、たいへんな文学通、華麗な文筆家、鋭い観察力をもった障害学者、工夫に富む実験家、考え深い理論家、そして何よりも思想家」と評される、ロシアの天才的心理学者ヴィゴツキー。
近年、アメリカをはじめ西欧などで再評価が高まり、脚光を浴びるなか、日本でも再び、心理学・教育学の両面でヴィゴツキーの学説への注目が集まってきた。
本書は、そのヴィゴツキー理論の全体像をわかりやすくまとめたはじめての入門書である。
[ 目次 ]
第1章 心理学におけるモーツァルト
第2章 新しい心理学方法論の探究
第3章 話しこ -
Posted by ブクログ
最近の心理学概説書で目に触れることの多いヴィゴツキー。中でも<発達の最近説領域>の理論が有名だが、他にも偉大な教育心理学者であったことが本書から伺えた。なんと骨太な学者なんだろう。ピアジェの研究との異同も興味深い。また、日本でのヴィゴツキー受容に関する記述も。
・話し言葉の無意識性、書き言葉の意識性と随意性。書き言葉は話し言葉とは違って高度の抽象性を特質としている。二重の抽象性(音声的側面と対話者)。
・相似:生活概念と科学概念の発達、母語と外国語の発達、話し言葉と書き言葉の発達。物から概念。概念から物。
・書き言葉の前史に,身振り手振り、図式的描画、ごっこ遊びがある(象徴的機能の発生)
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Posted by ブクログ
限りなく★5つに近い4。
その理由は、自分の理解力不足な部分があったため。
ヴィゴツキーはホント最近知った心理学者であるが、
この本を読んでいるさなか、職場の2年目の後輩が、
初任研の継続研修で、ヴィゴツキーを研究している方の講演を聴いてきたとのこと。
これは心強いなと。
教員としておすすめの章は、
第1章の2 〈発達の最近接領域〉の理論
第3章 話しことば・書きことば・内言の発達
第4章の3 ことばの自覚性と随意性の発達
第7章 障害児の発達と教育
第8章 教育における環境と教師の役割
この本をきっかけに読みたい本
『教育心理学講義』→『「発達の最近接領域」の理論』 -
Posted by ブクログ
ヴィゴーツキーの理論「文化的―歴史的発達理論」とは何なのか。
それは大まかに言えば「心理学の危機」を克服しようとした目的から構築された理論である。
心理学の危機とは、心理学の諸流派が心理学の理論を別の学問にまで広げ
新しい世界観を作っていることで、それは説明的なもの(意識を研究対象から外す)と
記述的なもの(非科学的)に2分される。
これの克服に努めた彼の理論は、自然で直接的な心理機能は
言葉の媒介によって間接的なものになり、人との関わりから学ぶことで
内部に高次の心理機能が生まれるという考えが根底にある。
その考えをもとに発した彼の理論について、ピアジェの理論と比較しつつ説明した本だった。
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Posted by ブクログ
ほぼ理解不能だったので、星3つ。
ただ後半の7章「障害児の発達と教育」、8章「教育における環境と教師の役割」は、分かり易く興味深い内容だった。
私の知識不足で理解が出来なかったのが一番の理由だと思うが、あとがきの著者のまどろっこしい文章に触れたときに、私の知識不足だけではなく著者の言葉選びも本書を難しくしている一因ではないかと思った。
夭逝した彼は心理学のモーツアルトとも言われているのだが、彼が長く生きたらさらに素晴らしい見解を示してくれただろうと思う。
本書の理解は断片的だが、それでも彼の考えに興味を持ったので別の書物にもあたって理解を深めたいと思う。 -
Posted by ブクログ
子どもの発達状態を評価するとき、どのように見ればいいでしょうか。学校の成績も入学試験も、だいたいはペーパーテストでみますよね。これ、教科書を見たり友達に教えてもらったりしたら、怒られてしまいます。ペーパーテストはひとりで解かなきゃいけない。自力で最初から最後までやれてはじめて点数になるのです。
こういう評価の仕方って、実は子どもの一面的な部分しか評価していないのかもしれません。たとえばここに、小学5年生で、ペーパーテストの成績が同じくらいの2人の子がいたとしましょう。その子たちに、小学6年生の問題を解かせてみる。当然、ひとりで解くというのは出来ないのですが、先生とか親が手助けをしながらだった