水町勇一郎のレビュー一覧
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労働法入門
労働法における各論の記述もさることながら、「なぜそうなっているのか」を歴史的な視点を交えて解説している。非常に満足度の高い入門書であった。本書を読めば、労働というものが歴史上非常に人間の深い部分と密接にかかわってきたことがよくわかる。そして、現代においても労働問題というものが後を絶たないのは、それが未だ答えのない哲学的な問いであるからなのだろうと考えるのである。
本書で学んだ労働法における最大原則は、強行法規についてであろう。労働法の世界では、当事者同士の契約の内容を外から規律する法律が多く存在し、当事者の自由な意思を制約する役割を果たしている。それは労働契約に内在する人間的性格 -
Posted by ブクログ
自分がライフワークバランス崩壊状態で、今の働き方に嫌気が差していたところ、本屋さんでこの新書を見つけ、いまの状況がいかほど法律から逸脱した状態なのかを確認すべく、何となく興味が湧いて購入
「労働法」と一言で言っても、さまざまな法律から成り立っていて、今のルールが、どのような経緯、歴史で成り立っているものかということを、一貫した論理立てでまとめられていてとても興味深かったです
「個人」「国家」「集団」のバランスを考えた法体系、ルールを逐次更新していくことが大切であること、昔みたいな工業生産前提なものから、労働者も仕事も多様化した現代にどのようにマッチさせていくべきか、試行錯誤が続いている、け -
Posted by ブクログ
労働法をめぐるあれこれを少し大きな視点でとらえた一冊。労働に対する考え方が文化や習慣で違っていて、労働法にもそれが反映されているとか。また同じ国でも、時代とともに労働の考え方が変わっている。
変化という意味では、コロナ禍の影響は大きいものになりそうだ。テレワークが一気に広がって、労働観や雇用形態、働き方も、これから一気に変わる可能性がある。加えて、雇用する側の変化も大きい。“何とか踏ん張ってきた”という企業の中には廃業を決意したところも少なくないし、一大産業である「外食」や「運輸」の構造も大きく変わりそうだ。
当事者から見れば法律の改正はいつもゆったり。働き方や産業構造の急激な変化に