前から、単行本の装丁からくる素朴な印象とか阿部和重との対談を読んだりしたこともあって初めて読んだんだけど、精緻な文章で退屈さも感じつつ。
修学旅行の週の記録もエピソードを広げることなく、淡々とは進められていて、あえてまだ芽の出ていないエピソードに手をつけず膨らませない姿勢をとっているみたいだった。
...続きを読むまた、その場所その場所の歴史や古典の説明を細かく織り交ぜるところはいかにも頭いい、って感じで逆に新鮮。
文体の中で明確な焦点となる人物はいなくて、あえて言うなら「学校」と「担任」なのだけど、その担任の方はと言うとカナダからの外国人留学生を常に気にかけている。その留学生と担任を含んだ学校全体を、担任が学生を見渡すときの視線と同じように作者が緩く見ている、という感じか。