李恢成のレビュー一覧

  • サハリンへの旅

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    本作で描かれた「1981年頃の様子」から相当に年月を経ている…その「1981年頃の様子」がよく伝わるという意味でも、貴重な一冊であると思った…が、それ以上に「迫ってくる」ような作者の「眼前の様子と、胸中の想い」というものが貴重である…

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    2013年05月18日
  • サハリンへの旅

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    こうした本を読むと、申し訳なくて辛くて途中でやめてしまうことも多いけれど、この本は違う。とにかく文章が魅力的で、気付くとぐっと前のめりになって読み通してしまっている自分がいた。故郷とは遠くにあるほど、思うものになってしまう。その思い方を、理解しなくてはならない。

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    2011年11月23日
  • 砧をうつ女

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    李恢成は今年(2025年)1月に89歳で亡くなった。「砧をうつ女」によって1969年、外国籍の作家として初めて芥川賞を受賞した。1935年に日本占領下のサハリンで生まれ、戦後に函館の引揚者収容所などを経て札幌に移住したのち、上京。早稲田大学露文科に入学、在学中から朝鮮総連で仕事をし、のち朝鮮日報の記者を務めた。この時期に朝鮮語で小説を書き始めている。この本に収録された6編の作品(1964年から73年にかけて日本語で発表された)には、作者の在日2世としての生い立ちや経験が私小説風に描かれている。

    「砧をうつ女」は早世した母の、「人面の大岩」は父のポルトレである。中編「半チョッパリ」は、国会議事

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    2025年11月30日
  • またふたたびの道・砧をうつ女

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    『またふたたびの道』は第12回群像新人文学賞受賞作,『砧をうつ女』は第66回芥川賞受賞作(日本文壇初の外国人)。

    いわゆる「在樺コリアン」としての壮絶な経験と,家族への心境が混ざり合った作品である。主に子供からの目線で語られており,様々な劣等感を育むこととなる。

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    2021年12月20日
  • われら青春の途上にて 青丘の宿

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    1972年に在日韓国朝鮮人として初めて芥川賞を受賞した李恢成さんの作品を初めて呼んで見た。「われら青春の途上にて」「青丘の宿」「死者の残したもの」の3編を収録。いずれも自身の身の回りのことに題材をとった私小説的なものだろう。
    読みながら驚いたのは、1970年代にはここまで在日色の強い作品が読まれる素地があったのだということ。現代に至るまで在日作家の系譜は連綿と続いているけれど、最近は日本社会の狭量さの影響を受けてだろう、こんな濃さのある作品はなかなかお目にかかれない。しかも当時はまだ民団より総連のほうが日本社会にひいきされていたことがうかがええる内容も。50年たつと何と状況が変わることか。
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    2022年10月10日
  • 地上生活者 第4部 痛苦の感銘

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    ネタバレ

    いくらか構成が散漫としているきらいはあるものの、朝鮮/韓国をめぐる組織/個人の暗躍や在日文化人同士の確執などをヴィヴィドに描写し間然するところがない。自分のような門外漢でもすぐさま人物特定できてしまうようなぞんざいな仮名のつけ方はちょっとどうかと思うが。

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    2011年11月01日