青砥恭のレビュー一覧
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今回の本はドキュメント
僕は今週から学習ボランティアに参加させていただいてます。
「経済格差」を「教育格差」にしない
というライフワークに向けてようやく1歩目を踏み出したところです。
いろいろと本を読んで知る中で一番感じるのは「親の格差」です。
本書では経済的問題のみならず「文化資源のなさ」「心理的孤立」が大きな問題としてあげられています。
いわゆる昔は経済的には困窮していても文化的、精神的に高尚な家庭はたくさんありました。
僕の友人でも奨学金を受けながら大成した子もたくさんいます。
しかし今は経済格差が全ての格差の根本になりつつあります。
本書に「親の期待格差」という言葉があります。
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貧困と底学力。相関はあると思ってはいましたが、実際のデータやレポートをみると想像を絶していました。衝撃です。
最初、「この日本で、掛け算の出来ない高校生って・・・。」と、思っていましたが、「学ぶべき意欲」を一切踏みにじられて育てられた子どもに、すべての責任を押し付けていいのか?
そして、その負の連鎖が続いていくのです。実際の高校中退者は8%を越えているという現実。もう「貧乏人の子沢山」とか「やる気の問題」だと言ってられません。
この国のあり方を本当に考えなおさないといけないと感じました。
バラマキだと感じていた高校無料化には、こういう側面もあったんですねぇ。民主党のやり方には、いまでも -
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この豊かな国で何故こんなことが起こっているのか。こういう情報は本でしか知ることができない(=身近に例がない)という事実が社会の階層断絶を物語っている。
確かに親から相続されるものは単に金銭だけではない。ウチは子供の頃ものすごく貧乏で両親ともに中卒だったが、幸いにも努力は報いられること、希望を持つことの大切さ、高等教育進学の動機づけなどを母親から与えられた。おかげで(借金とバイト漬けで苦学はしたものの)大学院まで修了し、現在は貧乏を脱出しているが、今の生活は決して自分の努力によるものだけではないことを改めて感謝した。母親は地区トップの高校に行けるだけの成績だったが、経済的な制約で進学を断念せ -
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いつかのNNNドキュメントで放送された「高校中退」に衝撃を受け、そのことをふと思い出しこの本に出逢いました。
第一部(第1章~3章)には非常に多くの方の話がでてきます。
中退した当事者はもちろん、その家族やかつて教えていた教師の話。
「貧困」にクローズアップし、未就学児の家庭や保育士からも数多の話を引きだされています。
読んでいて、実際のこととは思えないような、思いたくないようなエピソードが非常に多いです。
希望を見出せる糸口がわからない、暗澹とした気持ちになりました。
この本が出版された翌年に高校無償化法は施行され、その結果、経済的理由による中退者は減少したという調査結果もあります。
とり -
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所謂「最底辺」と位置づけされる学力下位の公立高校に通う高校生を中心に、高校中退の現状を述べ、その背景には経済格差による貧困問題があることを明らかにしたドキュメント。
全体としては2部構成で、前半は高校中退の現実について、直接中退者に取材した結果を列挙する。後半は高校中退の背景には何があるのか、さらにその打開策を提示する。
前半が全頁の3/4を占めており、中退の現実を読んでいくと結構凹む。思った以上に酷い。
読後感としては、高校よりも小中学校の現状がどんなものか気になった。高校中退者は様々な家庭の事情により、小中学校時分から学習の機会をはく奪されてきているからだ。
そのような小中学時代を送ってき -
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ネタバレ親に資力が無く、酷い状況で高校生活を続けている人がいるのは知っていたけど、ここまで酷いとは思わなかった。高校生なのに「五五」の次の数を言えなかったり、九九を言えなかったり、アルファベットを書けなかったり、本当に凄まじい状況。
いったい、誰の責任でこうなったんだろう。まずは、親かなと思う。ただ、親の責任だけにしたら、この状況はずっと続くだろう。だから、国の責任と見るのが一番だと思う。学力の低いまま、社会に放り出される前に、国が責任をよって一定のレベルまでは保証すべきだ。
そうすることによって、下の層から上の層に行く階段を整備すべきだろう。生まれた瞬間に、下の層で固定化してしまう人生は切ない。 -
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高校を中退してしまう若者たちの背景には貧困や虐待があるということを説いている本。いまでは考えれば当然のような背景だけど、ちょっと無意識のままだと遠い過去に植えつけられた勝手な非行少年少女だから高校中退するんでしょ、みたいに思ってしまう自分の浅はかさを反省させられる。
この本が出たのは2009年のこと。当時としては、高校中退の背景に貧困があるという論は新しい……といっては何だな。本当はようやく焦点が当たったということだと思う。本当にこの本を読んでいると過酷な状況の子ども・若者・親たちがいる。まさに貧困の連鎖、虐待の連鎖。これをみんなその子どもたち、声を上げることを知らない・できない子どもたちの自 -
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高校中退者の実態、そしてその原因の考察。高校中退という現象がいかに構造的な問題であるかが分かる。恐らくどんなに熱意をもった教師であろうとも、個々人の生徒を救うことはできてもこの問題の根本的な解決など不可能だ。そう思えるほどに高校中退は家庭環境や貧困の問題との相関性が高い。
無論、いわゆる底辺校に対する策が必要なのは言うまでもないが、それがいわゆるエリート教育が必要でないという結論に結びつけるべきではないだろう。問題はすべての高校の問題を十把一絡げに論じようとするところにあり、こうした高校間の格差が広がっている以上、類似した高校によって異なる対応策を論じることが求められているのだと思う。例えば学 -
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ネタバレ埼玉県の高校教師が、高校生が中退する理由、その後の生活などを丁寧にインタビューしてまとめたもの。問題は大概中学時代から始まっていること、親の問題と経済的な事情が大きいことなど良く知られた事実が多いものの、生徒の側に立った視点は◯。
日本で「高校中退率2−3%」と言われているのは1年あたりの中退者数/総数であり、さらに定時制や通信制への転学者は中退とは見なされない(その後の調査もされない)なので、実際は(3年間あるので)8%以上になること、埼玉の県立高の中退率は13%もあることなど、知らなかったことも多い。
ただ、調査が2006-8年くらいのものなので、実態に詳しい人からは、景気が良くなっ -
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高校を卒業している事が当たり前となっている今日の日本において、高校を中退してしまうという事、せざるを得ない環境とはどのようなものなのかを説明している本。
底辺校とされる学校に通う生徒の家庭状況(年収200万程度の家庭が1/3。子供のバイト代で生計を立てている家もあり、制服・体操着を買えないこともある)、学力(足し算・掛け算が出来ない、中学時代に定期試験を受けていない為「成績が無い」、アルファベットを書けない)、勉強に対する認識(「自分の仕事は勉強でなくアルバイト」と答える)の低さに驚かされるが、何より支えてあげるはずの教師もあまりの指導することの多さと、受け止めようとしない生徒・両親に諦 -
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高校中退と貧困に関連があるとはあまり考えた事もなかったので、
読んで驚きました。
しかもそれは高校以前からずっと続いているなんて。
著者が強く望んでいた高校授業料無償化は実現しましたが、
それでも制服代や教科書代、修学旅行代は掛かります。
著者も述べているように公立の授業料よりも制服や教科書や旅行代の方が遙かに高額です。
なので授業料が無償化されてもそれほど有難味は感じません。
高校中退を減らすには、
やはり義務教育化して教科書も無償にしていかなければ現状は殆ど変わらないと思います。
それと、普通高校に行くのが当たり前、とか
大学行くのが当たり前、という常識ではなく、
将来への道はいろいろ選 -
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最底辺高校の恐るべき実態。ほとんどの生徒が九九を言うことができず、55の次の数が分からない生徒もいるという。生徒たちは授業料を払うことができずに、歯が抜け落ちるように高校をやめていく。親も、教育の大切さを知らないのだ。底辺校では、中退率は3割にも及ぶ。しかし、高校中退では満足な仕事にありつくことができないから、ますます貧困にあえぐことになる。こうして貧困は再生産されていく。ひとたび負のスパイラルにはまり込むと、どんなに頑張っても抜け出すことができないのが、現代の日本社会だ。
「自己責任」という言葉が幅を利かせているが、子供の貧困は自己責任ではない。政府は、同じコストをかけるなら、老人よりも子 -
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第二章以降、筆者が足を運んで聞いた、高校生の実情の吐露は身に迫るものがある。貧困が高校中退を生むという主張にかなりの説得力を持たせている。最終的な解決策の提案など、詰めが甘いと思わせるところが惜しい。
筆者は高校教育を義務教育化すべしと主張しているが、私は就業の前提条件となっている高学歴化を止めるべきだと思う。本来、義務教育を終えれば、生活に必要な四則演算や漢字の読み書きは身につくものべきものだ。その学力補完を高校に求めるのは筋違いだろう。何故雇用主が高卒以上を求めるのか。その理由から考えないと。仕事を得るのに必要だからと、意味も意義も見出だせないうちに高校を安易に卒業させるべきではないと思 -
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高校中退を軸とした若年層の貧困についての良質のルポ。高校中退の増加の主因は家庭の貧困にあるというのが本書の主眼。
進学校に進んだ自分にとって、この本に書かれていることはまったく別世界のことのようだが、これが現実だと思うと慄然とした。
なんとかしないといけないとは思うが、その解決策を考えるのはなかなか難しいと感じた。高校無償化が解決策になるとはとても思えない。底辺校の囲い込みをやめて、学区制の縛りをきつくするのは、学びたい意欲のある生徒にとって迷惑なのは確か。やはり、幼児・小中の段階でなんらかの手をうつことが重要であろう。その点で、保健師や保育士の連携を強めて貧困状態にある家庭を支援するという本 -
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名前の通り高校中退の実態と中退者のその後の生活を追ったドキュメンタリです。今の日本では、貧困の連鎖にはまると、そこから抜け出すのは非常に難しいと感じました。貧困層が固定化されるロジックが見えてきて、暗澹たる気持ちになりました。
後半部分に貧困の連鎖を断ち切るための提案がありますが、下のレベルの高校については実社会で通用するような職業訓練をメインとすべきという部分は、高校卒業してから40年間食べていける技術というのはなかなかないと思うので、少し違うかなと思いました。
中学、高校で勉強に躓いている人をみると、小学生の段階で躓いている人が多い(九九、分数の割り算など)ように思うので、一律、進級さ