森鴎外の娘。ということはかろうじて知っていた。ただ、どんな文章を書いて、どんなことを思っていたかは恥ずかしながら知らずにいた。エッセイ一冊でわかることには限りがあるが、どんな時代でも食いしん坊で、食べることが大好きな人はいる。自分の好みのためなら労を惜しまず、ちょっと抜けているようで、しっかりしているような女性の姿がそこにある。ラジオを聴きながら文章をしたため、めんどくさがりながらも食には貪欲。今の私たちと変わらぬ人となり。「私は貧乏でもブリア・サヴァランであるし、精神は貴族なのである。」は冴えてる。