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画業60周年を記念して刊行。単行本未収録「わが名はモグロ…喪黒福造」を含む傑作ブラックユーモア22作品がここに。「人間」のあらゆる欲と業が描かれたドラマの闇に、アナタは知らず知らず引き込まれてゆく。A先生の異才ぶりが遺憾なく発揮されたファン必読の一冊、第1巻!!
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こわい
藤子不二雄ってこんなの描くんだ… と思えるくらいに不気味な作品でした。人物描写もカットも、さすがとしか言えない
鎖のついた武器
・核保有(かくやすあり)は、小柄でおとなしそうな老人であった。 ・「僕が武器のコレクションをしているのは、僕が背が低くて腕力がないからですよ」 ・「僕は子供の頃、体の大きな子にいつもいじめられました。 いくら逃げても向こうの方が足も速く、体力もあって、すぐ追いつかれてしまう」 ・「お前なんで...続きを読むそんなチビなんだ、悔しかったらかかってこいや、そう言って、暴力を振るうわけです。 そういったときの恐怖と惨めさ、発散できない憎しみは体験した者にしかわかりません。 恐怖と惨めさから逃れるために、自殺を何度考えたことか」 ・「そんなある日、僕は例によっていじめっ子にわけもなく馬乗りにされ、殴られ続けてました。 その時、苦し紛れに伸ばした手が石をつかんだのです。 とっさでした。いじめっ子の横面に、つかんだ石をぶつけたのです。 さっきまで威勢の良かったいじめっ子が、実にあっけなくひっくり返ってしまったのです。 それ以来です。僕が武器というものに強く惹かれるようになったのは」 ・「僕は気がついたのです。力のない者でも、強力な武器さえ持てば、どんなに強い相手も倒すことができるのだと」 ・鎖の先にとげのついた鉄球がついている武器。 ・「見てください。見るからに敵の頭をかち割りそうでしょう。僕のお気に入りです」 ・「お約束したように、写真を撮るための形式試合ということでお願いします」 「わかってますよ、本気になるとお互い危ないですからね」 ・「気を付けてくださいよ、もう少しでぼくに当たるところでしたよ」 「惜しい」「なんですって!?」「惜しいと言ったんだ。貴様の頭をかち割ることができなくてな」 ・止められない。近づけば、あの鎖の付いた武器の餌食になる。 ・「止めてくれ、あんたは本気でぼくを殺そうとしているみたいだ!!」 「そうとも、この大男め。武器さえ持てば貴様のようなウドの大木など…」 ・「止めろというのに止めないなら、こっちも本気になるぞ!」 ・「はっ、す、すいません、大丈夫ですか?」 「僕こそ悪いんです。どうも大きな人を見ると、昔のいじめっ子に見えてきて、逆上してしまうんです」 ・「パパ、見てて」→鎖の付いた武器を投擲→「おお、そんな使い方もあったのか!」 ・核親子は、仲良く話し合いながら、鎖の付いた武器を拾い上げた。
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