ガンジー・自立の思想 自分の手で紡ぐ未来

M.K.ガンジー / 田畑健 / 片山佳代子

自治・自立の象徴としてチャルカ＝糸車を選んだガンジーは、近代機械文明の正体を見抜き、真の豊かさとは何かを知っていた。本書は、日本でこれまであまり紹介されなかったガンジーの文明論、チャルカの思想、手織布の経済学など、ガンジーの生き方の根幹をなす独特の思想とその実現への具体的プログラムを編む。
機械化社会の末路を予見していたガンジーの言葉は、今の日本、今の世界が抱える問題を乗り超えるための示唆に満ちている。

• カテゴリ: ビジネス・実用
• ジャンル: 学術・語学 / 哲学・宗教・心理
• 出版社: 地湧社
• ページ数: 206ページ
• 電子版発売日: 2021年04月02日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 5MB

[ブクログ · ★★★★★]

この書籍はインドの父と言われる非暴力を唱え続け、イギリスに反抗し続けたガンジーの半生に基づきながらその時の言葉や考え方を書いた本です。特に歴史の教科書ではあっさりと終ってしまいがちですがこの書籍はガンジーの反省やまた投獄された時の言葉、そして弟子への言葉などが書かれています。

[ブクログ · ★★★★★]

ガンジーの偉大さって
本当の偉大さって知ってる？
こんなに多様な生き方があるはずの現代なのに、生きてる実感ってある？
落ち込んだら、真っ先に手に取る本なのだ！
インドを歩いた田畑さんにもリスペクトである。彼は日本の綿を守ることに情熱を傾けている。

[ブクログ · ★★★★☆]

いわゆる持続可能性に向けた動きや、
イギリスに端を発した産業革命に伴う資本主義化の問題点との連関を
これほどの客観性を以て、数十年前に言い当てているとは、
いやはや、恐れ入るほかない。

今はとにかく荒野に立つしかない。荒野にたって満ちるのを待つしかない。

○

ガンジーのアシュラムでは、糸を紡ぎ機で緒って衣を作る方法を学生たちに教える他、ソーラー温水器や牛糞を使ったバイオマスの利用方法、そして米、麦、野菜などを自然農法で作る方法、レンガや牛糞など昔ながらの素材を使って家を建てる方法など、人間生活全般にわたる自給自足と自立の具体的方法を研究し、教えている学びの場である

真の文明を創り出す経済的・思想的基盤として、チャルカ＝手紡ぎ車を掲げた

人々が何をもって『文明』と呼んでいるのかを考えてみると、快適さが得られるかどうか

イギリス人がインドを占領したのではありません。私たちがインドを彼らに差し出したのです。彼らが力づくでインドを占領しているのではありません。私たちがイギリス人を引き留めているのです

私は自分の考えがすぐに受け入れてもらえるとは思っておりません。私の義務は、自分の考えをあなたのような読者に示すことにあります。あとの仕事は時に任せておけばよいと信頼しています

スワラージ（自治）の定義があります。自分自身を支配できた時にスワラージが得られるのです。ですから、スワラージは私たちの掌中にあります。

スワラージは個人が自分で経験するしかありません。溺れている人が他人を救うことは決してできません。自分自身が奴隷状態にあって、他人を自由にしてやろうと考えるのは浅はかなことです。

どうしてインドの貧困をマンチェスターのせいにできるでしょうか。私たちがマンチェスター製の衣類を身に着けているのです。だからマンチェスターのほうでもそれを織り上げているのです

これらの品物が入ってくる前は、インド人はどのようにして生活していましたか。それとまったく同じことを今の生活に取り入れればよいのです

あるヨーロッパの町が不景気に落ち込んだことがありましたが、その時人々は市電を利用することをやめ、気軽に法律家、医師にかかることもしなくなったので、かえって人々の健康が回復したことを覚えています

あなたも私もほかの人々とは関係ありません。各人がそれぞれの義務を果たせればよいのです。私が自分の義務を果たせば、つまり自分のことをちゃんとすれば、他人のために働くことができるようになるのです。

真のスワラージは、自分を治め、自分を支配することです。

スワラージに至る道はサティヤーグラです。魂の力、愛の力と言い換えることもできます

投稿者は『大きな』改革という怪物を引きづり出しておきながらそれに取り組むのは避けようとしています。小さな改革もできない者が、大きな改革をなせるわけは決してありません。自分に与えられたものを最大限に利用できる者が、自分にできることをさらに増やしていきます。

そのような自然な状態になるためには、政治的目標を忘れねばなりません。あらゆる問題をあらゆる段階において、すべて政治的目標の観点から考えていたのでは、余分な埃を舞いあげるだけです。

政府の財務を検査することが、どうしていつも政治的意味を持つことになるのでしょうか
→社会の構築を、あくまで自立した個人の連立、つまり内発的な動きとしてとらえている。おそらくガンジーの理想とする社会には法律というものはなく、あるのは個々の内部に培われ形成された魂による規範なのであろう。

このチャルカの音は、私が健康を取り戻すうえで、少なくない働きをしてくれました。この影響というのは、肉体的というよりも精神的なものです。つまり人間の肉体というものは、精神の有り様にこれほど大きな影響を受けるということです

→アート教育としての機能をチャルカは有しているということだろう

私はこの形態のスワテジを信頼しています。なぜなら、どれを通して私は半ば飢え、まともな職のないインドの女性に仕事を与えることができるからです。私が考えていますのでは、このような女性に糸を紡いでもらい、その糸を緒ってできた布をインドの人々に着てもらうことです

チャルカ手紡ぎ車のメッセージは、その円周よりももっと広いものです。そのメッセージには、質素、人類への奉仕、加害者にならずに生きること、金持ちと貧者・資本家と労働者・領主と小作人がゆるぎない絆で結ばれることがある

チャルカのメッセージは、絶望し意欲を失ってしまった人々に届けられねばなりません。そのような人々はそのままにしておけば、労働し生きることよりも。飢えて死ぬことを選ぶような人々です

農民には鍬を、弁護士には訴訟を、医者にはメスを手放す、つまり転職を諦めてもらいたいなどとは言っていません。それどころか、この国のために毎日わずか三十分でも糸を紡ぐことを通してその職業に彩を添えてもらいたいのです

思いを高く持つことは、物に囲まれた複雑な生活とは両立しません。そのような生活は時間に追われるからです。

この人格は何のためでしょうか。この世での暮らしを楽しむためではありません。仲間に尽くすことを喜びとするためです

幸福な人生の秘訣は報いを期待しないことです

結局、人はその糧を肉体労働、つまり額に汗して働くことによって得るようにつくられている

彼らは自発的に労働の義務に従っているというわけではありません。おそらく肉体労働はやりたくないと思っているようです

私のアヒンサーの精神に従えば、まっとうに働いて食べ物を得ようともしない健康な人に無料で食事を配給するという考えを受け入れることは絶対にできません

このような誤った慈善事業は、この国に物質的にも精神的にもどんな利益ももたらしません

我々の最初の義務は社会の重荷とならないことです。すなわち自立することです。自給自足はひとつの奉仕です。

人の助けは必要ないというならば、それは自立とは違います。

機械を一掃してしまおうなどと言っているのではありません。私が目指しているのは、機会を制限することです

工場は魅力的で理想的な労働条件のもとでだけ操業すべきです。つまり利益ではなく、人間のためになることを目指すのです。動機には欲望の代わりに愛をすえます

生活に必要なものはすべてインド国内で調達する決意をしてください

特別な努力をせずとも。我々は希望の中心となれます。そして人々は自らの意思で我々の所に集まってくるでしょう

我々の仕事は控えめな形で始まりました、今日ではおよそ２０００万人が…

民衆の経済的な自給自足の達成は、決して国家権力をとることによっては実現できない。インドの真の独立自治のためには一切の暴力は必要でない、

[ブクログ · ★★★★☆]

ガンジーの著作や新聞への寄稿から、彼の考え方がよく表れているものを編集した本。読みやすい中にハッとするような言葉が散りばめられている。選び方・編集の仕方が上手いのだろうけど、フレーズだけを紹介するのでなく、論考にしても対談にしてもそれなりの塊として出て来るので、文脈もわかるところがよい。