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アルハンブラ――それは、スペイン・グラナダの丘に黙然とそびえる、ムーア人の赤い城。8世紀初頭から800年にわたって君臨した、イスラム教徒の栄光と悲嘆の歴史を秘めて、今なおムーアの古王の復活を静かに待っている……。イスラム建築の粋を集めたアルハンブラ宮殿の繊細華麗な美しさに魂を奪われた著者が、その存在を世に知らせんと綴った、アルハンブラの歴史・伝説・ロマンスの珠玉の世界。
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Posted by ブクログ
19世紀の旅、アルハンブラの現実の歴史、幻想的な民話。 3つの要素が入っていて、それがアーヴィングのあたたかなまなざしを通して語られる美しい本。21世紀の今、この本を読めば、時空を超えた想像の旅に出かけることができる。 初めて読んだのは今よりずっと前。翻訳の日本語に一部混乱が見られ、読んでるこちらも...続きを読む混乱してしまう部分があった様に記憶している。けれど作品の詩情を伝えているのは岩波文庫のものよりむしろこちらの方だと感じたが、今読み返したらどう感じるだろう。また時間を見つけてアーヴィングと旅に出ようかな。
世界でもっとも美しい建物。アルハンブラには、この世のものとも思えない美と深い心の安らぎがある。 スペインのレコンキスタを完成し、スペイン内のイスラム建築を破壊しまくって、キリスト教会に変えて行ったイサベル女王も、アルハンブラは、あまり手をいれていない。 外向きには、キリスト教でスペイン統一を進め...続きを読むた反イスラム強硬派の女王だが、アルハンブラには、あまり外部の人を入れずに、その美しさから1人心の平安を得ていたという。 という美しい場所についての19世紀の旅行記。スペインで外交官をしていたアービングは旅行でアルハンブラにいって、そのまま数ヶ月そこに滞在した。(うらやましい限りだ) これは、その旅行記であるとともに、いろいろな人からきいたアルハンブラにまつわるお話しを書き留めたもの。 美しい物語、悲しい物語、ちょっと幸せになる物語などなど。 人々の思いが、ストーリーとして、建物に投影されている感じ。
筆者がグラナダを去るとき、自分まで悲しくなってしまった。ずっと、アルハンブラの物語に耳を傾けていたかったような。そう思わせるのは、グラナダの住人や物語のなかのムーア人たちに対する筆者の控えめな同情や、アルハンブラのわびしさ、美しさ、風の気持ちよさの繊細な描写が、素直に心に響いていたからだと思う。アメ...続きを読むリカ人である筆者から見たスペイン人の描写にも惹かれる部分が多かった。 出版は1832年、アルハンブラの管理は適当で、グラナダへの旅は盗賊の危険も伴うような時代。異教徒ムーア人の残した遺産と共に生活をしていたスペイン人たちが、アルハンブラに抱いていた幻想、畏怖。きっと今とは違って、夢と現実、歴史と物語がごっちゃになっていたんだろう。その時代だからこそ書ける、アルハンブラの姿なのだろう。 この本を開く時間が、まさに夢のような時間になっていた。
目の前に広がる朽ちた宮殿が、アーヴィングの語りと共に当時の荘厳な様子を取り戻し、亡霊となった人物たちが目の前で展開する過去の再現を見る、そんな読書体験でした。 二つの宗教と価値観が入り乱れるアルハンブラだからこそ生まれた物語の数々。実際に訪れる機会があったら、今も息づいている魔法の一端を感じるこ...続きを読むとができるでしょうか。
1832年に出版されたアルハンブラ宮殿への紀行文。前半はグラナダへの旅路とアルハンブラ宮殿の遺跡を描いたエッセイ風の読みもので、これもなかなか旅情豊かで楽しめるが、秀逸なのは後半。アルハンブラで聞き取った様々なムーアの物語、説話を書き留めて、さながらグラナダの遠野物語を読むようだった。 江間章子の...続きを読む解説に「木枯しが吹きすさぶさびしい夜に、燃える暖炉の近くに集まって、村の古老から昔ばなしを聞く」と例えられた雰囲気そのままに、物語自体が持つ素朴な楽しみが滲み出るような小品が並ぶ。最近はジェットコースターみたいなエンタメ小説ばかり読んでいるので、こういう各停列車に揺られるような、おちついた物語が読めて、心底ほっとした。 アルハンブラ宮殿は、現在でこそ修復作業が進み、スペイン屈指の世界遺産となっているが、欧米諸国にその素晴しさを最初に紹介したのがこの「アルハンブラ物語」だと言われていて、ワシントン・アーヴィングの代表作の一つ。
スペイン土産に頂いた本(なので正確には講談社文庫ではない)。 装丁も挿絵も美しい。美しいものは卑しさから人を救ってくれる。 この本に出逢い、スペインを旅することを誓った。
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アルハンブラ物語
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W・アービング
江間章子
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