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本棚の下に落ちている桃色のボタンが、クリップや五百円玉などと会話を繰り広げる「すきまの闇」や、大好きな家族が引っ越してしまい、取り残された玄関扉のノブの気持ちを描く表題作「ドアのノブさん」など、身近にある「小さなもの」に目を向けた短編童話集です。やさしくてユーモラスでありながら、ハッとさせる視点の鋭さ。童話界の新しい才能、おおくぼ雨咲(うさぎ)さんの作品を読むと、何気ない日常を見る目が変わります。
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Posted by ブクログ
ボタン、ドアノブ、木片、赤青えんぴつ、靴下の裏側と、いつも暮らしのまわりにあるあたりまえのちいさな物たちの、ためいきみたいな、でもあったかな5つのおはなし。 どのおはなしも、終わり方が大人の小説のようにさりげなく、読者に託したような想像力をくすぐられるようなラスト。「線のむこうがわ」の木片の哲学的な...続きを読むため息になんて、泣きそうになる。 こんなふうにおはなしってできるのかと、感心してしまう1冊だった。 おはなしはどれも好きだったけど、私には挿絵がちょっと好みでなかったので、☆は4つで。でも子どもたちにたくさん手にとってほしい本。
ボタン、ドアのノブ、濡れた靴下(の裏側)などを擬人化して、そこから見える世界を描いている。 身の周りにあるものがこんなことを考えていたら、面白いなあ。 「線のむこうがわ」 木材から削られた木片の話。 街のいろんなところを旅して、あるショーウィンドウでバイオリンを見つける。久しぶりの再会に驚いて「よく...続きを読むわかったね。」と言った時。 「香りでわかる」 「気配でわかる」 「どんなすがたになっても、形がなくなっても、わかる」 というバイオリンの答えにとても感動した。 線のむこうがわに選ばれることのなかった木片も、腐らずに次に行きたい場所を見つけられるのも良かった。 筆箱の赤青鉛筆の話は、彼らの運命を思い、なんだかハラハラした。 児童書だと侮っていたけど、予想外に胸にくるものがあった。
主役は日の目を見ることのない物たち。 「人間はいつもそう。線をひくのが好きなのね。すっと線をひいて、あっという間に、あっちがわとこっちがわに分ける。」 大人の心にも訴えかけるものがあると思う。
ドアノブや赤青鉛筆などのモノの気持ちを想像して表現したお話。棚の下に落ちたボタンとか、何かになるはずだった木片とか、なんか少し切ないけど最後に救われたり余韻が残る終わり方で、物を丁寧に使おうかなと思えた。
家の中にあるものたちの、つぶやき物語。 『すきまの闇』コートから落っこちたボタン。同じように落ちて本棚の下にいるクリップや安全ピンたちの悲哀を聞く。 『ドアのノブさん』山下さん一家は引っ越して行った。てっきり家電や家具と一緒に連れて行ってもらえると思っていたドアのノブさんは、置いていかれて悲しむ。...続きを読む新しい家族はやんちゃな男の子がいて、ノブさんはちょっとイジワルで静電気をくらわせたりしていたが、男の子が元気になるよう助けてもあげる。 『線のむこうがわ』切り落とされた木片。線を引かれて、使われなかった方の木片。でも、何かに使われた木と同じように、つながっている。 『背中あわせのともだち』赤青鉛筆のきもち。 『裏がわのナマズ』水たまりを越えようとして汚れたくつ下。裏返しに脱いだら、ユカイに歌い出して、まるでナマズみたい!? 思ってもみなかったものたちの声。想像するのが楽しくなる。
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ドアのノブさん
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大久保雨咲
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