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医師になることを夢見た12歳の少女が、名門病院の心臓手術で命を落とした。手術のデータは改竄され、両親に真実は伝えられなかった――。「よい医療」とは何か。患者側と医療側が互いの溝を埋めるべく歩み寄り、病院改革、医療改革の第1歩を踏み出した、試みと知見の記録。
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Posted by ブクログ
生れつきの心臓疾患を抱えた少女は、心臓外科として世界的な 名声を獲得していた東京女子医大病院で手術を受けることに なった。 午前中から始められる手術は簡単に終わる予定だった。午後2時 か2時半ごろには術後の少女と面会が出来る。担当医は断言した。 しかし、家族に告げられていた予定時間を過...続きを読むぎても手術室の扉は 開かず、不安を抱えて病室で待つ家族の元に手術終了の連絡が 入ったのは午後5時半。予定より3時間オーバーだった。 術後、ICUに写された我が子と対面した家族は目を疑う。顔面は 晴れ上がり、目の下には鬱血痕、頬には鼻血が拭き取られた跡が 走っている。何よりも異様だったのは、5~6人の医師と手術を サポートした看護婦たちが手術着のまま、少女のベッドを囲んで いたことだった。 平柳明香ちゃん。今回の手術で自分の病気は良くなると信じ、出席 を希望していた小学校の卒業式を諦め、入院・手術に臨んだ12歳 の少女は術後、一度も目覚めることなく旅立った。用意していた 中学校の制服に腕を通すことも出来ずに。 手術室で一体、何が起きたのか。簡単な手術とは言え、不測の事態 は0%ではない。その時、医師・病院は患者本人及び患者家族に 対してどのように対応するするのか。 情報の隠蔽・改竄など、言語道断であると思う。しかし、それをして しまったのは本書が取り上げている事件である。 手術によって患者が亡くなる。担当医にとっても衝撃だと思う。それ 以上に衝撃を受けるのは患者家族である。 「何故?」が頭の中を駆け巡り、「あの時、手術に同意したのは間違い ではなかったのか?他の病院へ行った方がよかったのではないか?自分 たちの判断が死に結びついてしまったのではないか」。自分自身を責め ることになる。 不測の事態が起これば医師・看護師は全力で対応する。しかし、原因を 家族に隠したり、データを改竄して術後の経過を誤魔化したりすれば 医療への信頼は根底から崩壊する。 それでもそれをしてしまうのは、責任逃れなのか保身なのか。 患者の死に対して真摯な姿勢を見せなかったことにも唖然とするが、 手術に至るまでの東京女子医大病院の患者家族への高圧的な対応に も驚かされた。山崎豊子の名作『白い巨塔』は時代を経ても健在な のかと感じた。 この事件で東京女子医大病院は特定機能病院の指定を取り消され、 その後に復活している。しかし、同病院は2014年、2016年にも 医療ミスで患者を死亡させている。 どこまでが医療ミスで、どこからが不測の事態なのか。その判断は 難しいのかもしれない。だが、患者側へ真っ当な説明をすることが 医療従事者の責務ではないのかと感じた。
なんと言ったらいいかわからない。ただし、一部の医師に全責任を負わせるのは間違っていると思う。同時に医師の傲慢さにも納得はいかない。
裁判の中でも、医療過誤裁判は特に難しいといわれます。これは「裁判」を「ノンフィクション」に置き換えても同じです。どちらも、専門的な領域を、専門知識を持たないものが裁かなければいけない、伝えなければいけない、その難しさだと思います。 本書は、その難しい作業に挑戦しました。私は、その挑戦はかなり成功した...続きを読むと思います。複雑な手術のポイントを、出来うる限り、丁寧にほぐし、読者に提示しています。一部、わかりづらい部分もありましたが、どこが問題なのか、ということは、私も理解することが出来ました。 登場人物も、さまざまな側面を見せます。最も印象的なのは、やはり高圧的だった医師が見せる脆弱さでしょう。そこには、誠実さもうかがわせます。もう一人の医師と、描き方が微妙に異なります。この辺りは難しいところで、筆者の主観が垣間見えます。 しかし、全体として人物に関しては記録に残った言動のみ提示し、あまり深く踏み込まない、という姿勢を感じます。それが、本書を良質なノンフィクションとしてきわどく成立させているように感じました。
隠蔽すればするほど、自分が追い込まれていくのにどうして本当のことを隠してしまうんでしょうか。 「ミスを犯した者」だけにレッテルを貼り、バッシングを浴びせる社会が隠蔽体質を助長する。と書いてありました。そういう性質が無くならない限り、こういう事件はなくならないのかなぁ…と感じました。
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明香ちゃんの心臓 東京女子医大病院事件
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