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外務省報償費流用事件、岡光事件、農林水産省汚職をはじめ、霞が関や闇の怪紳士たちを震え上がらせた「捜査二課のエース」が、事件の備忘録を開示する!
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Posted by ブクログ
どデカい汚職捜査の内偵中になぜか辞職に追い込まれた名物刑事。そのたたき上げの刑事人生と、数々の難事件を人海戦術と人情と執念で迫る姿には鬼気迫るものを感じました。その彼が綴る手記はなんとも重いものです。 この本を読むきっかけとなったのは先日紹介した『外務省に告ぐ(新潮文庫)』(新潮社)という本...続きを読むの中で佐藤優氏と筆者が対談したということがきっかけで読み始めました。 一読して筆者の現場でたたき上げで外務省の機密費事件のほかにも数々の巨額の汚職事件(業界用語では『サンズイ』というらしい)を解決してきた方なのだそうです。 そのような仕事に従事するきっかけとなったものは商業高校時代に取得した簿記一級を経歴に書いていたからなんだそうです。ページを読みすすめながら、人海戦術を駆使して業務が深夜になって、連日家族の元に返れないまま、3カ月、半年も過ぎていくという描写については刑事が犯人を捕まえるということに対する執念と仕事の過酷さを思い起こさせるものでした。 取調べをしたり、銀座で働いている『夜の蝶』たちから情報を聞き出すとき、それを担当する人間がいるのですが、彼がさまざまな形で身辺を『きれいに』していたからこそ、普段では絶対に明かすことのないような、官僚の『接待』を受けている裏のところですとか、被疑者との取調べの際に、信頼関係を築いていくことはできないのだな、ということを思い知らされました。 筆者は団塊世代の刑事が大量に退職していくことに非常に危機感を抱いておりましたが、こういう『人間力』がある刑事がいなくなっていく、ということはなんとも寂しいものがありました。 やはり一番のハイライトは、外務省の機密費を自分のものとして着服していた人間を取り調べていたときで、詳しくは本書に譲りますが、取調べの担当刑事の何気ない所作で被疑者の心が揺れ動く場面は圧巻でした。 結局、この事件は使われたお金が完全には明らかにはならず、佐藤氏との対談で筆者は『警察は敗北したのだ』と述懐していたのが印象に残っています。筆者はこの事件のあとにさまざまなことがあって、定年退職を迎える前に警視庁を去るのですが、その無念さと、警視庁の将来を憂えた筆致に深く考えさせられました。 ※追記 本書は2015年10月21日、講談社より『警視庁捜査二課 (講談社+アルファ文庫 G 268-1)』として文庫化されました。
警察の内情を知れる
犯罪者との闘い、他の国家権力との闘い、警察組織内での闘い、刑事として体験してきたことを持て余すことなく読者に教えてくれる。
#アツい #タメになる
36年間にわたり、警視庁に努めた刑事の自伝。どのような事件に関わり、またどのような現場であったのか。刑事の仕事の裏側を学べる一冊。
主に贈収賄事件を担当する捜査二課の過去の実際の事件が生々しく飾り気なく語られており面白かった。同様の本にありがちな乱暴な筆致ではなく、丁寧な書きぶりで読みやすい。 真矢ミキ主演でドラマ化されただけのことはある。
窃盗犯、収賄犯から人間のコアな部分が炙り出されているようで、面白かった。現場をベースにした、本職からしか得られない内容。警視庁人生を全うした方ならなかなか筆を取れないと思うので、当書は貴重ではないか。 逃げる奴は人生を賭けて逃げているため、ちょっとした「いつもとの違い」に凄まじく敏感になる、とのこと...続きを読む。味わい深い。
巡査から叩き上げ、捜査二課で贈収賄事件を追いかけた刑事の人生。最終の階級は警視。退職時には分室の管理官。贈収賄の捜査の大変さと立件の難しさを知ることができた。団塊世代の大量退職による捜査能力の低下を危惧する著者。真相不明のまま早期退職を余儀なくされたにも関わらず、捜査二課の仕事にエールを送る。
文章は学生の感想文のようにですます調でぶつ切りのため、慣れるまでは疲れてしまうが、内容としては面白いと思う。 ただ、著者も言う「若手警察への参考と経験の継承」に役立つかと言えば、やはり広く浅くい内容という感覚が最後まで消える事は無かった。これほんとに役立つのかな? 清武英利の著作である「石つぶて」に...続きを読むも出てくる萩生田勝氏が著者であるが、文章力という意味では雲泥の差だろう。これは自らの警察人生を事実と感想を交えて正しく記すという、いわば彼自身の「調書」であり、物語として作られた「石つぶて」とはまた別の趣を持った作品である。 そういう意味で、現在50代以上で、作品中に収められた各事件などが記憶にある方は、より楽しめるのではないだろうか。 個人的には、知識として楽しむ作品であると感じた。
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萩生田勝
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