王室と不敬罪 プミポン国王とタイの混迷

王室と不敬罪 プミポン国王とタイの混迷

968円 (税込)

4pt

5.0

穏やかな国民性で日本人に人気のタイ。だが、そんな明るいイメージの裏に、想像を絶するタブーがある。それは「王室」だ。

ごく一般の人が、SNSに投稿した何気ないひと言によって「不敬罪」に問われ、30年近い懲役を科せられることもある。

現在のタイの発展の最大の功労者は、2016年に死去したプミポン国王である。プミポン国王は第二次大戦後、王制の下でのタイ式民主主義を推し進め、数々の政治危機から国を救った。タイを繁栄と安定に導いた王室は、次第に絶対的な存在と目されるようになった。

だが、1990年代以降、そんな王室に“対抗”する勢力が台頭してきた。タクシン元首相である。タクシンは地方農村への援助や公共投資によって貧しい人々の心を掴んだ。王室周辺は、そんなタクシンに警戒感を強めてゆく。結局、2006年にクーデターによってタクシンは国を追われた。

しかしタクシン追放後、王室の権威はますます権力闘争に利用されるようになった。

政治家、軍部、司法の重鎮たちが、政敵を追い落とすために「反王室」のレッテル貼り争いに興じる。経済格差が進行し、国民も分断の度合いを深めている。

だが、不敬罪は海外メディアにも適用されるため、そんなタイの情勢は抑制的にしか伝えられてこなかった。タイに関する報道は核心に触れられず、読者に理解しづらいものだった。

本書は、不敬罪で投獄された人の肉声やクーデターを実行した軍部関係者のインタビューなど、深い取材によって得られた貴重な情報が豊富に盛り込まれている。

タイにおける王室とは何なのか? このテーマは、皇室を戴く日本人にとっても無関心ではありえない。

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王室と不敬罪 プミポン国王とタイの混迷 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2018年12月16日

    タイの政治闘争と、それに深く関わっていったブミポン元国王の、タイ現代史。
    日本の場合、天皇が政治的発言や政治判断を行うと、必ず存在する反対派と天皇の絶対的存在とが両立できなくなるため、天皇に政治的判断を仰ぐこと自体がタブーとされてきた。
    タイでは、クーデターで政権を取った軍政が、国王の存在を利用して...続きを読む

    0

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