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人を楽しませる能や狂言、歌舞伎、落語といった芸能が、形を変えながらも、現代まで連綿と受け継がれてきたのは、その根底に流れる人生の苦楽、機微という共通項があったからである。鎮魂、勧善懲悪、さとり、笑い・・。人の営みのある限り、逃れられない永遠のテーマをさまざまな芸能に託し、表現しながら自らの生を全うしてきた日本人の価値観、死生観を俯瞰する。
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Posted by ブクログ
「うた-はなし」と「仏教的-芸能的」の2軸からなる平面座標に、日本の伝統的な「かたり」芸、すなわち、能、狂言、歌舞伎、人形浄瑠璃、落語、声明、節談説教、絵解き、等々を位置づけていく。それがただの分類作業とならず、日本に生きる人々がどのような生き方をよしとしてきたか、を語るものとなっている。文章も読み...続きを読むやすく良書だと思う。
能「江口」の後半部分で江口の君の乗った川舟が浮かぶ波を現世と読んで無常な現れであるとした解説は秀逸。「紛らわしでなく、痩せ我慢でなく、面白く」がテーマ
声明から,能,狂言,歌舞伎,落語まで,日本の庶民にも親しまれてきた芸能(あるときは祈り,宗教,あるときは,娯楽)について取り上げ,日本人の死生観,価値観などについて,深く掘り下げて考察した本である。 おもしろいのは,著者が指導している学生たちの素直な感想が随所に出てくることである。最初から,能の...続きを読むおもしろさなんて分かるはずもなく,ただただ眠いだけ。それはどこから来るのか。あの笛の音が眠さを誘うのかも。著者は,能にはもともと催眠効果があるのではないかとも言っている。なんだ,眠くなって当たり前なんだな。 一方,歌舞伎になると,舞台も華やかで,登場人物も増え,役者の個性もハッキリしてくる。物語の中と現実を行ったり来たりしながら進むところもおもしろい。こちらの方は,なかなかおもしろい。 それぞれの芸能に造詣があるわけでもないので,本書の内容も,ほんの一部しか理解できないのだが,それでも,これらの芸能が日本人に愛されてきた理由など,ちょっと思いをはせることができた。 もう少し,能や狂言,歌舞伎などを見て,また本書に戻ってくることにしよう。っていつになるかわかんないけど。 能,狂言,歌舞伎に出てくる悪人について… 悪人は,社会のなかで暮らす人間が蓋をするはずの欲望に蓋をしない。その意味で悪人は自分と闘わない。徹底した悪人は,実は無個性なのである。(本書p.193)
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「かたり」の日本思想 さとりとわらいの力学
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出岡宏
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