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「同性愛は罪」とするキリスト教の教えと差別に苦悩した後、「神はすべての人を愛する」と確信、日本で初めてゲイであることを公表して牧師となった平良愛香。激動の半生と「差別者にも被差別者にもならないため」に気づいてほしいことを綴った必読の書。
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Posted by ブクログ
キリスト教の授業でおすすめされてたので読んでみました。 著者の方の経験が書かれている場面も面白かったし、聖書を読み解くようなお話もとても興味深かった。 はっとさせられる言葉がたくさん載っていて、忘れたくない言葉がいっぱい。
勉強になりすぎて付箋を貼る手が止まらない。 以下、覚えておきたいことを書いておきます。 カミングアウトとは、元々カムアウト・オブ・ザ・クローゼット(洋服ダンスに隠れていた同性愛者が表に出てくる)という意味で、出てくることができないほど追い詰められているということ。 第二のカミングアウトは、違いを...続きを読む認めて欲しい。 災害時に「倒壊した家からゲイ雑誌が見つかってしまったら」と心配したり、「地元の人に見られるから異性装で避難所へ行けない」という人たちがいる。 レビ記の「女と寝るように男と寝てはならない」は女性を男性の所有とみなし、男性を女性のように扱って貶めるなという意味だと解釈できる。 同性愛者だけでなく、聖書の、結婚や子供を産み育てることへの強すぎる賛美が子どものいない家庭や独身者を苦しめてきた。 キリスト教のなかでセクシュアル・マイノリティを受け入れられないという人たちの中には、「ここを譲ってしまったら、キリスト教の崩壊に歯止めが効かなくなる」と危惧している人がいる。 聖書は概ね「知識人などエリート層のユダヤ男性たち」が書き残したもの。 差別問題とは、「私は差別しません」という気持ちだけでなく、不都合を学び自覚して乗り越えられるもの。 恋愛至上主義脱却。 HIV感染者は「いないものとされている」。 きちんと治療を始めていれば、母から胎児へのHIV感染は極めて少ない。 男性のDV被害者でも「婦人相談所」「女性センター」が窓口になっている。 キリスト教は危なっかしく発展途上の宗教だけど、その教えに救われる。たとえ自分が自分を愛せなくても、大切に、命がけで私を愛してくれる存在がいる。
沖縄県で生まれ、キリスト教の家族中で育った平良さんのエッセイ。 前半ではゲイとしてカミングアウトした上で牧師となった平良さんのライフヒストリーが語られる。自分らしく生きることを両親から学んだ幼少期、自らゲイアイデンティティに気付き始める思春期、音楽の道を歩みながら、キリスト教に対する自身との関わり方...続きを読むを考え続けた学生時代のこと、性的少数者の人権、家族へのカミングアウトなど彼の人生においてどのように直面してきたのか、そして今へとつながってきたのかが興味深い内容で綴られる。 後半は彼が現在大学でキリスト教と性、差別などの問題について講義している内容をわかりやすく解説している。生物学的性、性自認、性的指向などセクシャルマイノリティーを図で示してあるため、整理ができてわかりやすい。 キリスト教の性的少数者に対する差別の歴史についてもしっかり批判しているし、聖書の解釈の仕方についても差別的になってしまう危険性についても指摘しているためか、クリスチャンでなくても読みやすいと思う。ゲイであるとカミングアウトして牧師となった際の周囲のさまざまな反応についても書かれていて、彼のカミングアウトがキリスト教の人々へ与えた影響も大きい。これからも楽しみです。
先日観たドキュメンタリー番組には マイノリティのための「駆け込み寺」を作りたい というMTFで女性僧侶になった人が登場していたが、 この本は、 同性愛者であることとキリスト教の信仰は矛盾しないのか という問題を乗り越えた牧師の自叙伝。 神が私をそのようにお作りになり、祝福されたのだから、 私は私らし...続きを読むく生きてよい――ということ。 教義の多義的な解釈が成立するなら、 同じ宗教を信じている人たちの中にも、 多様性が認められて然るべき……と言われれば、 確かにそうだし、 様々な人が窮屈さや生きにくさから自由になるために、 立ち位置が違っていても手を取り合い、 連携するのが大切だと思った。 キリスト教の「禁欲主義」「産めよ増やせよ」 「男女はこうあるべき」の、一つ一つを眺めれば、 どれも絶対的な価値ではないとわかるのに、 三つを重ねた途端に 「同性愛やトランスジェンダーは神の意志に反する存在」 という理屈に信憑性が生まれてしまうのは おかしい(p.182より)――と喝破されたところで、 なんとなくモヤモヤしていた疑問が氷解。 終盤には、著者の大学での講義を元に、 LGBTについての基礎知識というか、 現状に基づく見解が綴られていて、 わかりやすく、ためになる。
タイトルだけで筆者のバックグラウンドが想起され、実際に凄まじい闘いをしてこられた半生に心を揺さぶられる。おおらかで自由な母親のリアクションは、人間らしさが現れていると感じた。性的少数者と在日の人が抱く「カミングアウトを受け入れてくれたなら、今まで通りではなく、違う私をみてほしい」という話は考えが及ば...続きを読むずハッとさせられた。 それだけでなく、私を含めたストレートの人間がどんなふうにセクシュアルマイノリティを傷つけ得るのか、具体的に書かれていたり、セクシュアルマイノリティの歴史的な裁判や活動にも触れられていて、その点も非常に勉強になる。何より、(日本での)キリスト教世界での同性愛についての考え方が分かるのも貴重だ。 筆者は、性暴力などについても講義を重ね、「毎回、”その言葉を待っていた”という学生に出会う」という。正しいことは何度でも言い続けることが、毎回誰かを救うかも知れない。たとえ繰り返しになったとしても、言い続ける大切さを感じた。ゲイ雑誌が、人知れず悩む誰かをつなげ、救っているという話も。自分が心から必要とする情報を伝えることは、必ず誰かに届き、助けになるのだなと感銘を受けた。ひ 長く積読してしまい、とりあえず手に取って読んでみて消化しようと試みるも、それを許さない重さのある本。まだ全てを読めたわけではなく、丁寧に読み重ねたいと思う。
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平良愛香
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