無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
著者スコット・パタースンの日本語版への序文から(抜粋)
二〇一二年に本書が米国とヨーロッパで出版されたとき、この話を信じる者は少なかった。何百年もの間、営業を続けてきた権威あるニューヨーク証券取引所のような公開市場に対して、ちっぽけな企業が影響力を行使できるものだろうか? 批評家たちは、混雑する立会場上で大振りな手信号で合図する慌ただしいトレーダーがいた古い取引所が既に存在しないことに気づいていなかった。新しい市場は、ニューヨークの忙しい大通りから遠く離れたニュージャージー州郊外にある巨大なサーバー・ファームからなっていた。
コンピュータが主導する市場は、こうした理由から全く新たなレベルの開示基準を求められる。規制当局は、素早く追いつかなければならず、取引所と高速トレーダーの仕組みを理解しなくてはならない。さもないと、このゲームは続き、定年後のために働く一般投資家が損をすることになる。
一つ明らかなのは世界が前進するということであり、取引所は電子化され、コンピュータ主導になるということだ。ロマンチックなイメージではあっても立会場で手を振るトレーダーの日々に回帰することはない。この変化には優れた面もある。以前より安く取引ができ、全般的により効率的だ。
だが、恐ろしく賢いプログラマーによって設計された非常に複雑なコンピュータ・アルゴリズムに制御され、取引所は遥かに不透明でもある。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
アメリカ証券市場のIT化の裏で起きていたアルゴリズム戦争、と言っても「電子せどり」的なかすめ取り系の取引だった訳ですが、そんな取引形態が誕生し、市場を席巻し、証券取引所のありようまで変えていってしまう、その経緯や背景を描いた本。
金儲けをたくらむ悪い金融屋さんが仕掛けたのかと思いきや、従来のトレーダーがズルして儲けていることに憤りを感じたプログラマーがIT化を仕掛け、取引手数料を安くして、流動性を高めて…という中でこんな流れになってしまった、というのが何とも皮肉です。
「電子せどり」的な取引は、いいとこ数分でポジションを手放して、その日毎に手仕舞いをするのですが、本の終盤にはそこから一歩進んでファンダメンタルズを踏まえたアルゴリズム取引の姿が示されたり、市場の是正に向けた動きがあったり、というのが希望として示されています。
「フラッシュ・ボーイズ」を読んだ後だったので、まだしもとっつき易く感じたのですが、素で読むにはちょっと辛いかも。少し難しく、読みやすくもなく、また誤植が結構あって、特に第4部はそれが目に付きました。残念。
末尾に解説を書かれている東証の方が「うちはアメリカとは違うんです!」とおっしゃっておられました。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。