Posted by ブクログ
2015年03月27日
死者の、死ぬ直前の残留思念に感応してスティグマが現れる朝子の精神状態を心配している黒岩警部…表紙を見る通り、深読みし放題だ。ヤングブラック・ジャックの無駄にBLっぽいポージングの表紙もそうだが、釣られただけの見返りがあれば無問題だ(笑)
朝子、聖痕受けるたび出血して…死者と同じ血液を流しているとした...続きを読むら、それだけで致死量になる筈だが、この辺は漫画的演出なのか、致死量に至るほどの出血はしない、それが聖痕、と言う理屈なのか、ここがちょっと気になる。残留思念が強く残り過ぎると出血が止まらない朝子は生きた人間に触れて貰わないと残留思念が抜けないと言う設定で、自殺者の現場に居合わせて血を流し続ける朝子の手を握る黒岩…いや、別にBLっぽいとか匂い系とか言うのでも「共依存」でもないんだけど、二人が第六係配属になった経緯は知りたいぞ!紅一点の岡本が飲み物買って来て、それを受け取るのに黒岩が手を離した途端、ぴゅーっと血が出てしまう朝子に「私につかまってなさい」と言う黒岩の図が非常にユーモラスだ(笑)。手を離した自分が不注意だった、と言う感じがいい。感情が表に出ない冷静沈着なタイプの黒岩はギャグとか絶対に言えないタイプ、朝子はこの変な力で不遇の少年期を送ったと見え、自分にはこれしか出来ない内向的なタイプ。「共依存」として凝縮していくのか、その辺気になる。自殺者の残留思念がなかなか抜けないので、朝子は黒岩の自宅まで黒岩の体に引っ付いて来るわけで…黒岩が料理してる間も後ろに引っ付いてる朝子…ツボる!!文字通り、思念を抜くために生者に引っ付いている、ってだけなんだけで、BL的展開では一切なんだが(笑)
人が死んでいる現場に通りかかり、残留思念に触れるとその人間の死の瞬間の記憶と、聖痕として同じ傷をその身に受け「死」を疑似体験してしまう訳だから、朝子の精神が如何なるものとして今生きているのか、と言う部分が非常に興味深い。僕がどの僕か解らない、と言う朝子の言葉の意味とか。黒岩が朝子の体質に対して物凄い思い入れを抱き、共依存関係になって行くのか、先は読めんが「朝子の取り扱い方法」を今のところ一番理解している黒岩の立ち位置が萌える。
黒岩が特捜第六係と言う特殊な部署に配属になった経緯は何故なんだろうか。特殊な捜査方法を用いると言っても、それは朝子が持っているだけで、黒岩はむしろ融通の利かない生真面目っぽい性格なのに、朝子の能力を全面的に信頼している。朝子がこの部署に配属になった経緯なども今後語られると思うが、スピリチュアル系全般から程遠い風に見えるだけに全面的に黒岩が朝子を信じ、朝子の取り扱い方法を熟知している感じまで来るには何があったのだろうか。
朝子の能力を逆手に取る知能犯と言うかサイコパスが出て来て対決、とか、朝子の能力が消えてなくなる日が来る、とか、決着がどういう風に転ぶのかの塩梅で「あー好みの決着じゃない」となる類の作品だと思うが、とにかく読むわ。流血の描写とか、まつ毛の描き方とか独特で絵柄も好きだ。きたがわ翔の『デス・スィーパー』のキャラの無駄使いとか、なんか途中で飽きてしまった『多重人格探偵サイコ』とかね…この手のやつは風呂敷をひたすら広げて過激さが増すか、広げる前に畳んでお終いになっちゃうか、ってパターンをよく見かけるので。