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焼け野原となった戦後の東京で裸一貫から貸金業を立ち上げ、一代で銀行を築くが、バブルに?まれ経営破綻。見せかけ増資の疑いで逮捕、百十日間にわたって勾留される。欲望と打算が渦巻き魑魅魍魎が跋扈する世界を生きた男が、東京拘置所の狭い房で人生を振り返る。無学・無一文から成り上がった金融界の風雲児、不屈の精神をここに記す。
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Posted by ブクログ
筆者は裸一貫から一代で銀行を築き、バブル崩壊とともに経営が破綻し2000年に「見せかけ増資」などの疑いで逮捕されたという経歴を持ち、本書は拘置所で110日間交流された時の手記になります。凄い人生です。 僕はこの人のことをこの手記を読むまでまったく知らなくて、おそらくは『国家の罠』を読んで頂け...続きを読むると理解が早いかと思われるのですが、おそらく、佐藤優さんや鈴木宗男さんと同じ時期に『小菅ヒルズ』こと東京拘置所に収監されていたのではないのだろうかと読みながら考えてしまいました。 ですので、できましたら『国家の罠』を先に読んでおくと検察官がどういう考えで取調べを行うのか? 『国策捜査』というものがどういうものなのかということがわかると思います。 筆者の経歴を簡単に記すと、焼け跡となった東京で貸金業者を立ち上げ、魑魅魍魎が蠢く中で一代で東京相和銀行を築き上げ、バブルに乗って経営拡大をするも、バブル崩壊とともに経営が破綻し、逮捕の経緯は詳しく知りませんが、『みせかけ融資』の疑いで2000年に逮捕。110日間の獄中での記録をつづった手記がこの本になります。 どうもここ何年か、獄中で過ごしたことのある人間の手記をここで取り上げていますが、どれひとつとして同じ内容はなく、『別荘』が『社会人の大学』という異名をとることがなんとなくわかるような気がいたしました。 女性検事とのやり取りはお互いに真剣であればあるほどどこか滑稽になっていて、裁く側の検事と『なぜ逮捕されたのか』がどこかで腑に落ちないまま取調べに応じる筆者。 自分の娘ほどに歳の離れた女性に怒鳴られながらも理性を保ち続けた姿は『僕がこの場におかれたら、こういうことができるだろうか?』と考えてしまうくらいに、戦争を経験した人間の凄み、というものを感じます。 そして、合間合間に綴られる文芸評論家の江藤淳やフランスのシラク・元大統領、森喜朗・元総理ら政財界人との思い出も語られており、筆者をめぐる人間の多彩さを感じました。 特に江藤淳さんの最期を『自裁』という表現で示しており、この言葉に出会うことができただけでも、これを読んだ甲斐があるというものでした。 繰り返すようですが、できましたら佐藤優さんの『国家の罠』という本を読み終えてから読んでいただけたほうが、より理解が早いかと思われます。 ※追記 本書は2014年12月4日、幻冬舎より『バブル獄中記 (幻冬舎アウトロー文庫)』として文庫化されました。
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