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乱世の世を悠々と生き抜くには?―「大器は晩成す」「柔よく剛を制す」など、無為自然の哲学にもとづき、しぶとく生きる“道”を説き明かした『老子』。本書は、その思想と処世法を、変化の激しい現代を生きる人々に贈る待望の1冊である。
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Posted by ブクログ
先日読んだ本で、夏目漱石は「老子」や「荘子」をよく読んでいたと知った。漱石の卒業論文テーマも「老子の哲学」だったとか。漱石の作品のところどころに、うまく「老荘思想」が埋め込まれているし、漱石の作った俳句などにも、見つけられるという。
というわけで、「老子」の本を読んでみることにした。
中国の春秋戦国時代(諸侯の派遣争いの時代)に、政治の安定や人々の安定した暮らしのことを考える思想家として、有名な孔子や孟子、荀子(いわゆる儒家)に対し、老子や荘子のいわゆる道家があった。遠い過去に歴史の教科書で「諸子百家」の存在を学んだ記憶があるが、そういうところにまた深く興味を拡大していくのも面白いだろう。
ところで、老子というのは謎の人物と言う説もあるが、司馬遷の「史記」には、「姓は李氏、名は耳(じ)、字は伯陽、諡名(おくりな)が聃(たん)」と記されているらしい。160歳まで生きたとか言われると謎の人物でもしかたがないか(笑)。
そして、漱石は孔子、孟子よりも、老子、荘子のファンだったようだ。
本書の目次を見ると81章にわかれているが、これはもともとの老子が残した書の構成が81章の羅列で、前半37章が「道経」、後半44章が「徳経」と分類されるそうだ。守屋先生の本も、淡々と81章を順番に解説し、そこにご自身のコメントも加えれらている。
その「まえがき」で、「老子は、動乱の時代に、弱者の立場に身を置き、そこに居直ることによって、乱世を生き抜くための処世の知恵を発見した」とある。ここで言っている弱者とは、「弱肉強食」というときの「弱者」、今に当てはめれば「庶民の立場」ということになるのだと思う。従って、今の政治などを鑑みるに、この書は現在の為政者への痛烈な批判として読むこともできる。
81項目の中で、自分なりに気になった項目を独断でピックアップしてみる。
●「8.上善は水のごとし」:水のように柔軟に生きよということ。水は柔軟で、どんな形にも収まり、常に低いほうへと流れながら、万物を潤し、争うことをしない。
●「11.無があるから有がある」:ふだん無価値と思われているものに価値があり、無意味だと思わているものに意味がある。これは深い。例えば、万人どんな人にも価値があり、苦労などあってもすべてに意味があるということに解釈できるのではないかな。
●「13.こんな人物なら天下を託せる」:この章の解説で著者は、「現代の日本でも、声高く軍事力の増強を叫ぶような政治家は、どこか頼りがない。」と痛烈に述べていた。そのような為政者には託することはできないということだ。
●「22.曲なれば則ち全し」:例えばしなやかな竹や柳は風に合わせて大きくしなることで折れずに生き残ることができる。
●「30.善くする者は果たして已む」:勝っても深追いをしないし、成果に対し自己主張しすぎない。
●「33.自ら勝つ者は強し」:自分に勝つ者こそ真の強者である。
●「51.生じて有せず」:「道」は万物を生み、育て、発展させ、完成させ、安定させ、充実させ、醸成し、庇護する。しかし、生むけれども所有せず、発展させるけれども自慢顔をせず、育てるけれども支配しない。・・・この考えは、エーリッヒ・フロム氏の「To have から To beへ」という考えと根本的に一致しているように思えた。また「育てるけれども支配しない」は、子育てなど心理学的な側面の本質をのべているようにも感じられた。
●「59.嗇(しょく)に若くはなし」:為政者の最高の美徳は、なにごとにつけ控えめに振る舞うことである。・・・身近な為政者に聞かせたい言葉である(笑)。
●「73.敢えてせざるに勇なれば活く」:前へ進む勇気だけでなく、後ろへ退く勇気はわが身を生かしていく。この章に、「天網恢恢疎にして漏らさず」の言葉が出てくる。「老子」が出典元であったことを改めて知った。
●「78.柔よく剛を制す」:「8.上善は水のごとし」と同意だろうか。弱者の立場にたつ、老子の思想の本質かなと思う。力技でなく、柔の力で剛を制す。ハードパワーでなく、ソフトパワーで。しなやかな発想だ。
●「79.天道は恒に善人に与す」:天のやり方は、えこひいきがなく、いつも徳ある人に味方する。
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