Posted by ブクログ
2014年03月08日
「あまちゃん」の舞台になった、三陸海岸を走る鉄道会社の部長さんによる奮闘記。あのドラマの終盤、東日本大震災で壊滅的な被害を受けながら、驚異的なスピードで鉄路を再建する様子が描かれているが、そのほとんどがあの日以降現場で実際に取り組んだエピソードを元に描かれていることがよくわかる。ちなみに、ドラマで使...続きを読むわれた鉄道写真の一部は、この方が個人的に撮影したものが含まれているという。
大震災以前から、三陸鉄道の経営は苦戦を強いられていて、その状況を打開するために観光集客を中心とした様々な施策に取り組んできた。そんな中に襲ってきた大津波は、鉄路を切り裂き、沿線の人々の生活をズタズタにしてしまった。震災からしばらくのち、社長さんがホームページ上で「我々の力だけで復旧できるのは全路線の3分の1、それ以上は国をはじめとする行政の力を借りなければ不可能」と声明を出していたのを思い出す。
会社はフル回転で動き出した。国や県と粘り強く折衝し、経営形態を変える(鉄道施設の所有権を自治体に移管する)ことで復旧費用を捻出してもらう方向性を作った。一方で様々なグッズを販売し、震災被害を視察するツアーを組んで集客に力を入れた。その結果、3年というスピードで全線復旧つながった。
震災から数日後、被害状況の確認をしていたところ沿線の方から問われたそうだ「三鉄、いつから動くんだ?」その問いかけが、是が非でも全線復旧させる、という思いにつながったのだという。3年かかってようやく答えが出た形だが、当然ここがゴールではなく、ようやくスタートラインに立ったに過ぎないのだろう。自分自身も今年こそ、三陸を辿って見たい。
鉄道ファンやあまちゃんに泣いて笑った人はもちろん、あの日から3年の節目を迎えるに当たって、一人でも多くの方に目を通してほしいと思う。