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歴史が足もとにきちんとあるという感覚
鈴木博之は『東京の地霊』(一九九〇年)で土地に堆積していく諸要素を「ゲニウス・ロキ」(地霊)と呼び、「都市の歴史は土地の歴史である」と看破した。
また、前田愛の『都市空間のなかの文学』(一九八二年)のように、「都市空間の解読から逆照射するという試み」も文学研究にはあった。
土地や空間を支えるものは、人にほかならない。そこに生き、支える人は、これら地霊の渦を作り、かつまたそのイメージに巻き込まれていく。そうした土台の上に、文学テクストや絵画が存在する。
ときには、残り香さえとどめない土地や空間もある。なにしろ、徳川時代が終わって百六十年近く。数々の自然災害、アメリカ軍による爆撃、再開発の数々を閲している。
現代とどこが連続しているのか。断絶しているなら、どこで断絶したのか。徳川時代という前近代を見据え、それらに考えをめぐらせるという作業は、近現代そのものの姿をも立ち現れさせてくれるのではないか。
貴重な図版とともに失われた空間を恢復する試み。
[目次]
前口上
第一章 古層の鳥瞰
一 麻布市兵衛町
二 高輪
三 上野
四 四天王寺
五 湯島
六 木挽町
第二章 水の江戸/東京
七 深川
八 柳橋
九 浅草
十 吉原
十一 江戸城/宮城/皇居
十二 両国・本所
十三 隅田川
第三章 混沌の上方
十四 大川(旧淀川)
十五 北新地
十六 長町裏
十七 ミナミ
十八 山崎
十九 鴨川
二十 三条大橋
第四章 都市の断層
二十一 蒲田・鈴ヶ森
二十二 日本橋
二十三 銀座
二十四 神保町
二十五 番町・九段
二十六 台南
二十七 目黒
二十八 祇園・東山
第五章 我々は何処へ行くのか
二十九 船場
三十 神楽坂
三十一 早稲田
三十二 本郷
三十三 下京
三十四 天満
三十五 青山・外苑前
満目青山は心にあり
参考文献
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