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高校三年生の松苗澄花は父の遺品である双眼鏡で、街を、人をのぞくことが趣味。レンズ越しに見ていた、いとこの暁生と恋仲になるが、なかなかうまく行かない。一方、暁生の双子の姉、千夏は二人のゆくえを見守るかに見えたが……。また子供の頃のように、無邪気に笑いあえる日が来ることを望みながら、三人は大人になってゆく。
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Posted by ブクログ
幼なじみの澄花と暁生と千夏。子供時代の終りと別れの予感のある高校最後の一年。 届かぬ想いを抱え、痛みと苦さとそれでも一緒にいる時間を愛しく思いながら…季節が移ろって行きます。 繊細な感情が味わい深い作品です。 『ひとりよがり』でもいいのです。これは十代の特権なので。 大人になって再会して、あの頃はぐ...続きを読むだぐだぐるぐる悩んだねと笑える日が来ればいいなと思います。
なぜ「このマンガがすごい 2012」に『さきくさの咲く頃』のさの字もないのか。昨年の最高のマンガだとおもう。 物語は3人によって形づくられていく。セクシュアリティ=他者をどのようにしたいかのズレが3人の友情を少しずつ引き離し、別のモノへと変えていく。三角関係の哀しさを和歌に重ね、取り戻せないものを...続きを読む未来に託して生きていく。遠のいていく関係性の参照点は性の意識が芽ばえる以前の幼少期。性があいまいだった、過ぎてしまった日々。その痛々しさを無駄のないコマと言葉でつむぐ。 この作者ほど欲望を物語にすることがうまい人を知らない。セクシュアリティをつくったやつはサディストだと思わせるほどに。 そういう痛みを生きねばならない日々が、でもあまり絶望的ではないのがいい。「痛みは避けられないが、苦しむことはオプショナル」。 どのように苦しむかは自由だ。
とても、見せ方が上手な漫画でした。一年の四季を通して重ねて行く三人の少しいびつな愛情が、とても苦しくて、切なくて、綺麗でした。素敵な漫画です。
恋に恋する、とはよく言ったもので。思春期特有の自意識過剰な感じや、好きだ好きだ言いながらいざ手に入るとなれば怖くなるような片想いの身勝手さ、青臭さを美しく昇華しているのがふみふみこさんだと思う。 みんな自分が一番好きで嫌いで、恋愛もエゴ。それでいいのだ。
言葉も絵もシンプルなのに、好きと嫌いが多段的に交錯する複雑な感情がそこにはある。しかも、これまたそう単純ではないセクシャルマイノリティな衝撃がある。 しかし何より、大人になる一人の少女の叙情がしんみりとそこにある。
かわいい絵で描かれた別れの話。 ラヴァーズ・キスぽい。 まさかアレを読ませるとはおもわなんだ。 澄花ちゃんかわいい。
昔買ったのを読み返し。 京都の自然の中を舞台に、男の子と女の子の双子のいとこと共に成長してきた女の子。 思春期を迎えて、高校→進学?のタイミングで、 女の子は男の子に 男の子は男の子に 女の子は女の子に 苦しみながらも自分の性と折り合いをつけながら、つかず、離れず逞しく成長していく主人公...続きを読むたちの姿が、優しいタッチで描かれる青春ラブストーリー。 ありそうでなさそう。 なさそうでありそう。 男の子も女の子にも、入れ替わりながら感情移入してしまう。 作品を読む時の脳内シミュレーションが楽しい、厳しい、つまりワクワクドキドキできる作品でした。
幼い頃からの、醸成されてきた心模様が物語の中で、堰を切ったように発露されていく。 それは、実ることはなく、ただ空転していく。大和三山が、ただ季節の移りかわりとともに、それを見守っているだけである。 その気配が画面に漂っているからなのか、必要以上に主人公たちへの感情移入を防いでいるように思う。あくまで...続きを読む、人の世界における風景のひとつのように物語は展開されていくのである。 断念を経験し、様々な感情を抱え、熟成させながら、あたたかな笑顔を相手に向けるとき、成熟の気配が高校生だった彼らに訪れる。 素晴らしい作品
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