Posted by ブクログ
2012年02月03日
『僕は天使ぢゃないよ。』ぽちが関を呼ぶ二人称の「あなた」が心に沁み入る。初読みの時とは印象ががらりと変わった。ドラマCDを聴いたせいだろう。小野塚作品、実はそんなに好きではなかった。自己陶酔程ではないが、JUNEを読んでた時に感じていたのと類似している「これは耽美である」と言うあの「陶酔していいんだ...続きを読むよ」感が先に来てしまって、冷静に読めなかった。小野塚作品はそのJUNEよりもリアルさで先に行ってるよ、って感じが凄くして、どうしても吸い取り紙に水が沁み入るのとは逆で、弾く感じがしていた。JUNEを読んでた時も、「美しいものに陶酔して何が悪い。これは選ばれたものの楽しみである」と言いたげな作品が苦手で、JUNEを読んでいたが、この部分だけはどうしても受け入れがたかった。順序としては逆なのだが、ドラマCDを聴いて世界観がすんなり受け入れられるようになった。
『万事快調』友達を好きになるのは切ない、切ないながらも「ピアスを入れさせる」と言う行為で徐々に懐柔していっている想いの深さがまら凄い。
『セルロイド・パラダイス』ベタだが、映画「バタフライキス」や「ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドアー」が思い出されて切なくて悶える。失って初めて「恋を知る」アツが切ない。でも、彼は若いの、これから誰かと絶対に出会うと思えて、悲しみの先の希望が見える。