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2001年に発覚した青森県住宅供給公社巨額横領事件。事件の真相と、渦中にいた「夫婦」の深淵に迫る、圧巻のノンフィクション。
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青森14億円横領事件。何もかも「アニータ」に捧げた男。
「誠意を持って真実をお話しします」。新聞社に勤める記者のもとに、一通の手紙が届く。差出人は、青森県住宅供給公社から14億5000万円を横領し、そのうち少なくとも8億円を妻アニータに送金した千田郁司(ちだ・ゆうじ)だった。
なぜ、千田は公金を自在に動かすことができたのか。
なぜ、その金は海を越え、チリへ送られたのか。
朝日新聞連載時から大きな反響を呼んだ「事件のその後」がついに書籍化。
青森からサンティアゴへ、地球の表と裏を往還しながら、記者はふたりの数奇な人生を追う。
「めまいがしそうな夫婦の大逆転劇。結婚後、ここまで明暗が分かれた夫婦が、ほかにいるだろうか」(本書より)
犯罪史に残る巨額横領事件の渦中にいた「夫婦」の深淵に迫る、圧巻のノンフィクション。
【目次】
プロローグ
《Side A》
1 キャンディ
2 ウエディング・ベル
3 MONEY
4 少年時代
5 異邦人
6 ラヴ・イズ・オーヴァー
7 逃亡者
8 酒と泪と男と女
9 息子
10 逆流
11 碧い瞳のエリス
《Side B》
12 初恋
13 銃爪
14 津軽平野
15 Geisha
16 Yes-No
17 失恋レストラン
18 腕に虹だけ
19 黒い瞳のアニータ
エピローグ
あとがき
付録
【著者プロフィール】
坂本泰紀(さかもと・やすのり)
1975年生まれ。東京都八王子市出身。1999年に朝日新聞社に入社し、水戸、青森総局で記者をした後、東京本社で4年間、紙面編集者生活を送る。2009年に大阪本社の社会部へ異動し、遊軍や大阪府市の政治行政、大阪国税局などを担当。岡山総局デスク、大阪社会部デスクを経て、現在はネットワーク報道本部(大阪)統括マネジャー代理兼大阪社会部長代理。青森総局時代の共著に『核燃マネー 青森からの報告』(岩波書店)、大阪市役所担当時代の共著に『ルポ 橋下徹』(朝日新聞出版)。本書が初の単著。
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Posted by ブクログ
青森の公社で14億円横領してチリのアニータという女性に貢いだ事件は
世間を騒がせ、私も記憶している。もう数十年前の事件。
記者は、刑期を終え、しかし就職できず、生活保護で暮らすこの男、千田郁司を
取材し、事件の詳細を改めて記している。
そもそも何でそんな大金を青森県住宅供給公社から横領できたのか。
そしてその金はどこに行ったのか。
詳しく書かれている。
職業柄どうしてもその公社の内部統制が気になる、と思ったら、
青森県の役人の天下り先、それも腰かけ、2年しかいない、
プロパーは課長以上になれない、利益をあげちゃいけない、
企業体のていをなしてない。そんなところに隙があり、14億も使い込まれても
きがつかない。いい加減。
一方のチリの売春婦アニータは、こりゃもうどうでもいい。
酷い女はいるもんだ。出会ったときはがりがりだったのが、どんどんふくよかに
なったという。金づるを手に入れたらそうなるわけだ。
彼女の言い分はあるんだろうけど、ま、どうでもいい。
いい加減な企業に、動機を持つ弱い男が行動に出てしまった、
そういうことがよくわかって、勉強になった。
プロローグ
《Side A》
1 キャンディ
2 ウエディング・ベル
3 MONEY
4 少年時代
5 異邦人
6 ラヴ・イズ・オーヴァー
7 逃亡者
8 酒と泪と男と女
9 息子
10 逆流
11 碧い瞳のエリス
《Side B》
12 初恋
13 銃爪
14 津軽平野
15 Geisha
16 Yes?No
17 失恋レストラン
18 腕に虹だけ
19 黒い瞳のアニータ
エピローグ
あとがき
付録
不思議な清々しさ
事件の報道はぼんやり覚えている程度だったが、
強烈な表紙のイラストとSNSでの評判が気になって読んでみた。
ファンタジックな導入部からまたたく間に貢ぎに貢ぐ日々が描かれる。
金は紙袋ではなくビニール袋に入れたほうがいいって
どういう生活の知恵?とツッコミを入れつつ
千田氏とアニータのその後の人生の見事な明暗に圧倒される。
千田氏の妙な憎めなさがこの本の読後感を奇妙に清々しいものにしているような。
Posted by ブクログ
青森県住宅供給公社巨額横領事件を題材にしたノンフィクション。
読んでいる最中は正直、「なんでそんなことになるんだ」と何度も思った。
金額も行動もあまりに極端で、特に横領した千田郁司に対しては、同情より「自業自得」という感覚の方がかなり強かった。
ただ、この事件を単純に「悪女に騙された哀れな男」で片付けるのも違う気がした。
印象的だったのは、千田郁司がアニータ以前にもホステスへ貢いで横領していたこと。つまり、問題の核はアニータ個人というより、「自分を別の人生へ連れて行ってくれる幻想」に、本人が強く惹かれていた部分なのではないかと思った。
しかも最後まで感じたのは、彼のナルシズムだった。
“アニータを愛する自分”
“特別な関係にいる自分”
に酔っていたように見える。
だから途中で現実が見えても止まれなかったのかもしれない。
一方で、アニータ自身には、細木数子のような怪物的カリスマはそこまで感じなかった。だからこそ、この事件は「圧倒的な悪女に支配された話」というより、「本人が自分の幻想へ突っ込んでいった話」に見えた。
また、この本を読んでいて強く感じたのは、
“身の丈を知っている人ほど、背伸びしたくなる”
ということ。
将棋が好きで、夜の店に通うタイプにも見えない人物だからこそ、今とは違う人生へ憧れてしまったのかもしれない。
もちろん、だからといって同情はできない。ただ、単なる「馬鹿な話」で終わらせるには、人間の欲望や自己陶酔の怖さがかなり詰まっていた。
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