アニメーションと国家

アニメーションと国家

2,599円 (税込)

12pt

4.0

アニメーターはいかに生まれ、アニメーションはどのように「国民文化」となったのか?

国家の介入によって大きく変化したアニメーション。プロパガンダ作品の分析や日仏の比較だけでなく、聖地巡礼、現在のアニメーターの労働環境、『君たちはどう生きるか』といった現代の事象や作品も扱いながら、アニメーションと戦争、ひいては国家との関係を捉え直す!

現在、日本では年間300本以上のアニメーション作品が放映されており、その人気は国内にとどまらず、世界中で高い評価を得ている。
1963年に放映された『鉄腕アトム』以降、日本のアニメーション業界は大量生産が可能な体制を確立していく。その原動力となったのがアニメーション制作における分業体制の導入であり、なかでも特に重要な役割を担い、大量生産に不可欠だったのが「アニメーター」だった。

分業体制の確立と専門職としての「アニメーター」の誕生は戦時中にまでさかのぼり、当時制作された作品はプロパガンダ映画だった。
アニメーションと戦争=国家は、きわめて密接な関係にあったといえる。

本書では、戦時期にアニメーションを取り巻く環境がどのように変化したのかを明らかにする。国家の文化政策、アニメーターという職業の誕生、配給システムの変化、そして戦時下に制作された『桃太郎 海の神兵』をはじめとするアニメーション作品の分析を通して、文化というものがいかに制度化され、「国民文化」となっていくかを浮き彫りにする。その過程のなかで、アニメーションの日本起源説、かわいい動物キャラクターが生む効果、アニメーションと教育の関係など様々な論点にふれ、より深くアニメーションと日本との関係を捉え直していく。

また日本の状況に加えて、戦時下のフランスのアニメーションについても論じているのが本書の特色である。国家が介入することにより制作体制が確立されるだけでなく、植民地へのまなざしの変化、自国文化の優位性の確保、敵国人の描き方など、日本との共通性を明らかにする。加えて、高畑勲や宮﨑駿が影響を受けたフランスの巨匠ポール・グリモーの『やぶにらみの暴君/王と鳥』についても論じ、戦時中から続くアニメーションにおける空間表現の特質を照らし出す。

こうした歴史的視点を踏まえ、戦中戦後の連続性を指摘するだけでなくアニメーションの舞台を巡る「聖地巡礼」や現代のアニメーターの労働状況、宮﨑駿の監督最新作『君たちはどう生きるか』といった作品にも言及し、現代におけるアニメーション文化の展開についても考察する。

気鋭の社会学者によるアニメファンも必読の一冊!

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アニメーションと国家 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    あちらこちら徘徊している行動と移動の最中に読もうと手にしていた本が図らずもシンクロしている時が時々あります。週末、八王子でやっている「手塚治虫展」に行ってきました。内容は2019年の茨城県立近代美術館でやったものとほぼ同じだったので自分の記憶力の劣化にガックリもしましたが、ただ改めて新鮮に受け止めた

    0
    2025年08月31日

    Posted by ブクログ

    戦前のアニメーションと国家の関係性についての本。表紙いい。

    意外に思った点
    ・戦中、国家からの経済支援をもとにアニメーション制作が奨励された。それはプロパガンダだけでなく、軍事教育映画にも使われた。
    ・プロパガンダ的な側面においては、アニメーションの大衆性と言葉の壁を克服する点で大きな役割を果たし

    0
    2025年07月06日

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