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「伏と人間を巡る因果を終わらせたい」猟師の少女・浜路と、伏・信乃が抱く同じ想い。しかし、二人の行く道は逆方向へと延びていく…。信乃が思い描く因果の果ての世界、浜路を操るように寄り添う影の正体。その全てを知った時、浜路は――? (C)hakus/SQUARE ENIX┴(C)Makoto Tsuduki/SQUARE ENIX
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面白
絵が綺麗 アニメ絵よりこちらの方が好き 小説より理解できました
Posted by ブクログ
前半の作画、後半のストーリーと見どころの多い巻。当初よりアクションシーンの描写は上手いと思っていたけど、静寂を破る道節急襲から信乃とのバトルは緊張感溢れるカットに加え、アニメーションで見ているかのような流れる筆致で絶品。ゾクゾクした。 後半、原作を読んでいないワタシにとってはまさかの人物が登場し、「...続きを読むえ?この作品自体がその世界を翻案したパラレル世界じゃなかったの?え?同じ時間軸で同じ世界で共存してるの?」と驚愕の展開が繰り広げられ、いよいよ謎の根幹に迫る引きで次巻への期待が高まりまくり。 あと、主人公の浜路が幼いながらも自分でしっかり考えて動く、芯の強いキャラなのもいい感じ。
現八の登場。人間を招き入れた信乃に対して尋ねるのだけれども、 「小文(凍鶴太夫)の肩身を届けに来た人間だ。俺が信用下から中に入れた。問題あるか?」 と啖呵を切る。現八は、しばし信乃と浜路を見つめるけれども、 「お前がそう言うなら問題ない」 と気にすることをやめる。 信乃に茶を出されておずおずと飲...続きを読むめば、現八が信乃に対して 「棚にあった毒草の粉末を知らないか?」 「あ、アレ、茶葉だと思って使っちまった」 「ゴブファア!(浜路、思わず噴き出す)」 凍鶴太夫の最期を尋ねられて、気高く美しかったこと、人間と伏の共存を願っていたこと、また新兵衛を最期まで愛おしんでいたことを伝える浜路。 信乃から、何故人間と伏は共存できないのか分かるかと問われ、伏の血の疼き――どうしても越えられない、無差別の破壊欲があるからだと説けば、 「伏と人間にはどうしようもなく深い『溝』がある。その『溝』を埋めて同じにしてしまえば、伏だの人だのといがみ合うこともなくなると思わないか?」 浜路は吃驚仰天する。そんなことが可能なのだろうか? 昔は伏もたくさんいたのだけれども、伏狩が増えるにつけ続々と狩られていき、結局今は三人に成り下がってしまった。今迄死んでいった仲間たちのためにも、俺が終止符を打つのだといきまく信乃。 浜路にどうして人間であるおまえがここまで入れ込むのだと尋ねる信乃。 「伏と人というよりも、自分の好きな人同士が殺し合うなんておかしいと思ったから」 信乃が大爆笑し、浜路は怒って顔を洗ってくると出て行ってしまう。新兵衛は伏と人のいくさだとわかってんのかあいつ!とぼやき、本物のいくさを観たこともねえ若造が何言ってんだとツッコミを食らう。 現八は、おまえがそんなに楽しそうにしているところを見るのは久しぶりだと笑う。いつもなら相手を信用させてすぐにバッサリ切り捨てるだろうと、胴元におさまっている懐刀を見やる。馬鹿正直すぎるから切り捨てる気も失せた、問題あるか?と言い捨てる信乃に、また現八は笑う。 二人のやり取りを理解できない新兵衛が近づいたそのとき、壁を突き抜ける一振りの刀――。 一瞬でそれに気づいた信乃が新兵衛をかばう。 壁をばっきりとぶち破って現れたのは道節その人だった。 新兵衛は息巻く道節を見て、凍鶴太夫と吊し上げられた過去を思い出してパニックに陥る。現八は新兵衛を抱きしめて落ち着かせようとする。 そして発せられる言の葉――「鎌鼬はどれだ」。 鎌鼬の正体である現八はぎくりと肩を震わせるのだけれども、信乃は新兵衛を任すと告げて道節と対峙する。 相手が浜路の相方だと気付き、人間に期待した自分が馬鹿だったと自分自身を冷笑する信乃。 道節の口から毛野を殺したと聞かされて、殺し合いを始めるふたり。 あわや二人ともお互いの刀で刺殺されて血まみれにというところで、銃弾がふたりのつるぎを弾き飛ばす。 「俺の仕事を邪魔するのか!」 「あたしはここへ話をしに来た! 兄ちゃんこそ邪魔するな!」 がなり立てる道節に対して怒鳴り返す浜路、浜路が誘い出したものと思っていた信乃はきょとんとする。自分が呼ぶわけないじゃん、取り込み中だから黙ってろダアホと一喝されて黙る信乃。 俺を裏切るつもりか、駒の分際でと内心叫ぶ道節。 敵味方だとか裏切る裏切らないだとか、兄ちゃんはおかしい。伏だって人と同じように考え生きているのに殺し合うなんておかしいし、割り切ることなんてできない。人と伏が仲良く暮らす道を探すと決めたんだ! 浜路のかたくなな意思に、道節は戸惑う。 兄ちゃんのことは好きだし、信乃や現八、新兵衛も悪い人じゃないのに、殺し合うところなんて見たくないと泣き出す浜路に対して、鎌鼬という伏を知っているかと尋ねる道節。 彼に殺された伏狩たちは数知れず、そしてその中におのれの相棒がいたのだと言い放つ。 あいつの受けた苦しみと同じだけの苦しみを味わわせてやらねば気がすまん! そう叫んで新兵衛に向かって自身の欠けた刀を放り投げる。 現八が村雨丸を引き抜いて道節の刀をはたき落とし、今度は現八と道節が相まみえることになる。 だが奇しくも妖刀村雨丸。 その圧倒的な重圧に支配され、自分が今まさに殺されかねんというとき、刀が振り下ろされるそのとき、浜路が眼前に仁王立ちし道節を守ろうとする。 そのさまが自身の昔の相棒と重なり、駒と内心吐き捨てた浜路をかばって背中を切られる道節。 お互いがかばい合いっこするだなんて変な兄妹だとぼやく信乃に対して、本当に両者の溝がなくなる世界が来るのだよねと問いかける浜路。 信乃は言う。 両者の溝がなくなるということは、強いものが生き残り弱いものが淘汰される世界へと成り果てるということ。つまりそこに法や秩序は存在しえなく、ケモノの世界へと堕ちるということである。ケモノ側へと人間を堕とすことによってなしえる世界なのだと。 それはおかしい。優しくもなんともない平等の世界なんて凍鶴が望んだ世界なんかじゃあない。だったらあたしは違う道を探して見せる!と啖呵を切る浜路。 そして閑話休題、道節の傷の治療をしながら船虫に相棒のことを聴けば、頭の回転がよく器用な人間だったという。また多分に船虫に惚れていたようで士官にわざわざならず浪人のままでいたという。所謂三角関係のような状態だったと笑う船虫。 そんな中伏姫という名前に心覚えはないかという質問に、道節がむっくりと起き上ってそれにこたえる。 里見八犬伝のことだと。 伏狩令が出てから発禁になったけれど、噂によると今なお続きが書き記されているらしいとのこと。 道節から聞きかじって直接馬琴のもとへと訪れた浜路。ごめんくださいと門をたたけば、迎えたのは冥土。 まずい、諸々のものが見られる前に追い返さねばと問答を繰り返すも一直線な浜路には効果がない。 ふすま一枚をばしんとひらいて対面する馬琴と浜路。 正座してたたずんでいる馬琴を「ああやって物語を書き続ける創作馬鹿なのですよ」と冥土は告げて、なにもしてないよという浜路に近づいてご覧なさいと話す冥土。 それに従い近づこうと一歩進めば、馬琴の口から紡ぎだされる言の葉とそれに応じて脳内に広がるその風景――わくわくするようなその情景。浜路の存在に気づいて言葉をとめた馬琴に「続きは――!?」とせがむ浜路。 ねだられて爆笑する馬琴。 執筆中はゆすっても大声で話しかけても反応すらしないはずの馬琴が爆笑するだと、と戸惑う冥土。 意気揚々と里見八犬伝は自分を救ってくれた英雄の話だと告げる馬琴に、今では影も形もないものじゃないかと告げる冥土。冥土新聞という陳腐な代物はまだ続いているのか、民衆を操るだけでなにも残らんと語られて、 「僕の八犬伝はもうすぐ完成する! そのときにあなたは認めざるを得ない! 僕の発想のすばらしさ、そしてその才能を!」 生きた里見八犬伝を知るのだと豪語する冥土。 それはさながら嫉妬に病んだにんげんそのもの。 「完成しようがしまいが結末は見えている。誰も救われることのない終幕だろう?」 どういうことだと浜路が尋ねれば、伏のあじとやほかの面々の写真も含めて、細かく調べ、筋書き通りに動かし、自分が演出した伏狩の物語が現状なのだという。 自分の書いた筋書き通りにきみたちが動くようにしたのだと。 馬琴に自分の書いた物語をどれだけ読んでもらおうとも認めてもらえない。絶望的なまでの才能の差。 伏の起源から調べたその旨を聴かせてやる、と贋作・里見八犬伝を口述する冥土。 原作と違い、『怪物』をその手で切り殺す伏姫。 そしてそこから始まる凶作。 最後は、殿が八房に対して、おまえが大将の首をとってくれば姫をくれてやるというシーン。 さて、今回から原作とも映画とも違い、信乃が伏姫をどうにかすると言及していること、また伏姫が『怪物』を『村雨丸』ではっきりと切り捨てたことが明かされる。 いやまあ原作でも切り捨ててはいたかもしれんが、伏姫をどうにかするとはなんぞや?ということ。 戦闘場面にだいぶ割かれていて、原作でも躍動感もあったものの漫画であるからこそさらにわかりやすくなったともいえる。時折画の荒さが目立つけれど、まあそれも一興。したまつ毛を毎回気にしてしまうがね←
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伏 少女とケモノの烈花譚
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桜庭一樹著 『伏 贋作・里見八犬伝』(文春文庫刊)
hakus
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