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高額献金の問題、銃撃事件の衝撃。旧統一教会の教団改革を望み声を上げ続けてきた二世信者たちがいる。解散命令という節目に、教団と世間との狭間で揺れる9人の現役二世信者が初めて明かす「ほんとうの声」を収めた渾身の一冊。
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Posted by ブクログ
3月末、旧統一教会=世界平和統一家庭連合に対して、高額献金や霊感商法などの問題を理由に解散命令が出た。安倍元首相の事件以来、報道でやSNSで目にする情報は統一教会が悪でそれを根絶しなければならないという論調だったと認識している。 元二世信者からも教団を批判する声が多くあがっていた。この本は逆に今も信...続きを読む仰を持って教団内にいる現役二世信者たちのリアルなインタビューとなっている。 「あんなに世間から非難されているのになんでやめないの?」という勝手な思いで読み始めたのだけど、逆に自分がひとりひとり宗教、信仰の重さを知らされてガツンとやられた。特に強制されたわけでもなく大きくなって自分からという人もいれば、反対派の祖父のもとにいながらという人も。信仰に至った道は本当に人それぞれなんだ。そしてそれは他人にどうこういわれるべきでない大切なことだなと感じた。そう語る彼らがマインドコントロールされているとか言われてしまうと本当にどうしようもない。ただ自分はそう感じた。 瓜生氏自身が浄土真宗親鸞会という新宗教に身を置いていた経歴があるため、インタビューというものの、深い対話になっている。質問が刺さっているのだと思う。ああ、この人は自分を知ろうとして聞いているのだと伝わり深まっているのだろうなと。 正直それぞれのエピソードの中で「その認識が世間に受け入れられないのでは」というのもあるのだけど、それ以上に信仰が人を生かしている、支えになってるという事実を無視できなかった。対話の深耕から思い知らされた。 自分も浄土真宗の信仰(これは真宗的には語弊があるのだが)を持っているが、それと同じように今教団にいる人が自分の信仰を大切にしているのだということを改めて認識した。その人たちがこれから教団をどうしていくかということを考えるなら、ただNOを突きつけるのではなく、どのようにして存在するかというのを見ていく(見守るは目線が上過ぎる)という方法もあるのではないか。 勅使河原秀行氏のインタビューはとても面白かった。子供のころワイドショーで見たあのテッシー!!!瓜生氏の質問の切れ味もすごい。 東大で貧しい人たちを救いたいと思っていた彼は… ”地球を貧困や格差やいろんな問題から解放する道が唯一あるとすれば、全ての人間が神の実在を理解して神の下に兄弟姉妹であるという、この価値観をもう一度取り戻す、それしかないと原理研究会の人に言われて、私も同感で、返す言葉がありませんでした。” その思いを胸に活動をされているわけだ。この一つの価値観に人間が統一されるのか… そして霊感商法にずっと立ち向かい続けていた山口広氏はインタビューでこう語っている ”私は宗教を金集め、人集めの道具にして人をたぶらかすような行為は、正直に言って永遠に続くんだろうと思っています。(中略)そんなのが撲滅される社会はちょっと怖いとおもいませんか?清廉潔白な真面目な人たちしかいない集まりなんて、世の中面白くないじゃないですか。(中略)人間がいる限りは、人間は間違いを犯すものですから。なので統一教会が仮になくなっても、それで世の中完全平和になるとは思っていません。” 統一教会が世界の平和を掲げ神の下統一された価値観に突き進むことで、苦しむ人が生まれ、それを糾弾していく側が平和などないと世俗の矛盾を受容しながら苦しむ人の救済、ある意味終わりなき活動をしている。いいことをやろうとして結果いいことになってないこともある。 本末転倒というか…人間の営みって何だろう。 読書をするとき、自分はなにが正しいかを自分の中で機軸を持ちながら読んでいると思う。小説だったらこの人は悪いほうで、この人はいい人だとか。この本はそういう読み方を覆してくる。グレーというと、グレー一色になりそうなのだけど、人間ってある面ではとてもいい人で、ある面では許容できない価値観を持っていたりする。濃淡がそこにはあった。どっちにもいかない。 事件は法律に基づいて判断されることなのだろうけど、教団の後ろには信仰を持った人たちがいるということを改めて感じた。そしてこの本を読み終えた自分は、インタビューに答えられた人たちの信仰の重さに衝撃を受け、またそれが教団という塊になった時世間に対してやることがもっとあるのではないかとも同時に思った。 本という形で現役信者の声を聴くことができたが、それが教団の中で大きく伝えられ、変わっていってほしい。しっかり内に届いてほしい。 もし浄土真宗の熱心な門徒さんたちにインタビューした本ができたら、きっと自分はすごくいいなと思いながら読めるかもしれないが、まったく浄土真宗に興味がない人からみたらおそらくなんだこれは…になるんだろうなと。信仰って他所から見たら、ギョッとするものがある。それはどこの宗教でもそうなんだろうなと。 自分の分別心がめちゃくちゃ忙しく働いて、挙句そもそもそんな分別一旦置いとけよといわれる本だった。人間って、複雑なんだ。白か黒かじゃないんだ。白黒つけるのが好きな人は読むべし。 世間に対しての壁が厚くなっていると思われる信者の方からよくここまで聞けたな。ジャーナリズムとはこういうことなんだな。 まさにタイトル通り、統一教会・現役二世信者たちの声を聴ける希有な一冊。
インタビュアーの瓜生崇氏の人間としての誠実さと宗教家としての寛容さが一番のクライマックスだと思う。とてもよかった。
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統一教会・現役二世信者たちの声―壁の向こうの言葉を聴く―
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瓜生崇
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