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いま、日本の社会が極端に弱っている。アガリやすく、キレやすく、無気力……これは身体からの警鐘だ。近代以降百余年、日本人の呼吸は浅く、速くなった。私たちの身体に眠る力強い「息の文化」をいかにして取り戻すか? 虚無僧尺八の偉才が体得した、呼吸の奥義。ナンバ歩き、古武術に続く画期的身体論。
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Posted by ブクログ
密息という、元来人間がしてきた呼吸法により、人間の本来の健やかさが得られる… 呼吸というのは、無意識に無数に繰り返す行動なので、ぜひ習得してみたい…!と思いました。
古くから伝わる呼吸法を忘れたことによって、日本人は知らず知らずのうちに、息だけではなく体全体の構え方、美的価値観まで欧米化してしまった。しかし日本人はいつまで経っても日本人であり、欧米人にはなれない。本来の型を忘れ、何にもなりきれない状態は、弊害しか生まないのではないか。今一度、持ち込まれたものでは...続きを読むなく、日本人に合った姿勢、呼吸法を学びなおすべきだ。
温泉に入った時に「ふ~っ」という吐息は、密息の名残だとか。 呼吸のリズムで体調の変化にも気づくことがあります。 日本人の呼吸は、日本の気候風土・文化が大いに関係しているとのこと。 呼吸が整った瞬間、呼吸をしていることさえ忘れ、集中力を高める業。 呼吸にとどまらず、音感、日本人自身が眠らせてしまってい...続きを読むるのはもったいない!
虚無僧尺八奏者がその研究で見付け出した、日本古来からの「呼吸法」を公開している。 中村さんはなかなかの博学者で、その知識が難しい言葉や名前と共にちりばめられている。内容は「密息」の紹介から始まって、日本の文化の特異性を密息と言う呼吸法から紐解いていく。 少しこじつけっぽくて無理を感じる所もなくは...続きを読むないけれど、なかなかユニークは発想があって面白い。 腹式呼吸と胸式呼吸があることは誰でも知っているけれど、少し不自然にすら思える密息なる呼吸法があって、それが日本独自の物だということだ。 読んでいる内に、密息を練習してどれだけ自分が変わるものか見届けたいという好奇心が沸いてきた。
ちょっと啓発本的な軽めのタイトルだけど、中身はバークレーも出た日本の伝統的尺八奏者である著者による、呼吸法から導かれる日本人の身体論であり文化論。骨盤の倒し方に長年伝えられてきた日本人の姿勢があり、呼吸法があり、それは床座の生活文化から培われてきたという至極あたりまえの指摘が、すうーっと腑に落ちる。...続きを読む 明治以後100数十年を経て生活様式は洋式化したとしても、身体はそう簡単に変わるものではなく(でもやはり室内で靴は脱ぐのだし、床に座るのだし)、常に「過渡期」なんだなと。文句なく面白い。吹きもの楽器をやっている人は、是非読んでみると面白いと思う。 でも、そういう呼吸法をトレーニングしようなんて思わないんだよなー。(←ヘタレ)
呼吸を含めて身体的なことに興味のあるこの頃。別の対談形式の本で知ったのをきっかけに買ってみた。「密息」という日本古来の呼吸法についてのあれこれが書かれた本。そのやり方も載っているが、自分でやってみても合っているのかいまいちよくわからんかった。西洋化の途中で忘れてしまった日本独自の音楽や空間の関わり方...続きを読むなど、考えてみるきっかけになったと思う。
「密息」・・・初めて聞く言葉です。 尺八の演奏をするときの呼吸法が、この「密息」です。 腰を落として骨盤を後ろに倒して、腹をやや張り出したままどこにも力を入れず、横隔膜だけを上下させて深く呼吸をする。 これが「密息」という呼吸法です。 かつて畳に座り、帯を腰に締めていた日本人は、ごく自然にこの呼吸法...続きを読むを身につけていたそうですが、近代の生活様式の中で、いつの間にか忘れ去られてしまいました。 尺八奏者の筆者は、虚無僧尺八の伝承者を訪ねる中で、この「密息」に気づき、さらに様々な日本文化とのつながりにも言及していきます。 忘れられた「息の文化」を回復する過程で、日本人の身体や日本文化を見る新しい視点を発見できるかもしれません。
もともとこの本を読むきっかけになったのは、内田樹氏の「武道的思考」で紹介されていたからでした。 内田氏の本のなかでは「呼吸していることが外形的にはわからない呼吸法」という説明がついていました。套路をやっているときでも、動きに先立って肩がひょこっと上に動いてしまうことが良くあります。特に師匠に個人レ...続きを読むッスンをつけていただいているとき、指摘されたところに集中をしていて、身体が緊張してくるとよく起こります。すかさず師匠から肩が動いた、と注意されます。なのでほかの人から見ていていつ息を吸ったのかわからない呼吸というのはできたらいいな、と単純に思いました。 「密息」は、吸うときも吐くときも腹を張り出し続けて、横隔膜の上下だけで行うそうです。やることとしてはそれほど多くのことを求めているわけではなく、そのため、密息のやり方について触れているのはほんの10ページです。後半は、日本人古来の「密息」という呼吸法を行ってきたため、文化的にどのような影響があったのかを様々な角度から説明しています。 「密息」を何とかできるようになりたいと思っていた自分にとっては、後半の説明にページを割くぐらいなら、どうやったらできるようになるのかをもっと説明してほしいと感じながら読み進めていました。 6章の「日本人の動作」、7章の「静止する文化」あたりを読んでいた時に、密息が具体的にどんなふうに使えるのかを感じることができ、単なる文字だけの理解ではなく、少しではありますが、「密息」を体感できた気がしました。例えば、忍者が気配を消すとき、肩で大きく呼吸をするのではなく、身体の動きを最小限にした呼吸にするそうです。それが「密息」 この本を読みながら、立禅や坐禅をするときに、「密息」を試みてみました。呼吸を意識しすぎてしまい、どうしても身体に力が入ってしまいました。「密息」のやり方の説明のなかで力を抜くことも重要だと書いてありましたが、なかなかうまくいかないものです。 太極拳を教える中で呼吸法はどうしたらよいのか、を考えていくための大きな参考になりました。ただ、この本のなかでは密息は日本人の生活環境のなかからうみだされたものだという説明があります。これを中国文化である太極拳と折り合いをつけることができるのかは、これからの修行の中で確認していこうと思います。
著者は尺八奏者。「密息」とは「秘密の息」ではなくて「密やかな息」のことらしい。要は尺八の演奏に際して、より多くの息を使えるようになるためにはどうしたらいいか、それを追求する過程で辿り着いたひとつの答えだそうである。 しかし、それはむしろ日本伝統の呼吸法であるという。そもそも立ち居振る舞い(ナンバ)...続きを読むを始め、建築、絵画(マンガも含む)、舞台(能・映画)、料理(和食)、禅、俳句、茶道など、古今日本の文化は密息あってのものだという。 どういうことか。 方法論としては、身体の上下動が生じない呼吸である。すなわち視点の水平が定まる。それにより全体(従構造、ディテール)に意識が向き始め、主構造が隠れる・・・。 と続く説明は哲学調を帯びてくるが、例えば日本独特の「間」って要は「呼吸」だよねと思えば、なかなか納得の話なのであった。
日本の身体技法に興味があって、手に取った。 いわく、伝統的な日本の姿勢は骨盤が傾いていた。 いわく、腰を落とし、すり足で歩いていた。 いわく、からだにひねりやねじりがなく、反動を使って動作しない…。 本書では、特に呼吸法のことがメイン。 それは、密息という。 腹式呼吸とも、胸式呼吸とも違うらしい。...続きを読む 吸うときは腹が膨らむが、吐く時は横隔膜を落とすだけ。腹は膨らんだままだという。 呼気も吸気も量が多く、吐く量も安定させられるそうだ。 そうして、密息で声を出すと、倍音を含んだ音になると。 倍音が多いと、子音や雑音が多くなる、というのはちょっとよく理解できなかったが、以前読んだ『日本人の声』という本の中で、日本ではかすれたような「渋い声」を好む傾向が特徴的だといった指摘を思い出す。 う 正直に言って、自分の体の中に落ちてくるような理解をできていないから、日本文化のさまざまな分野に密息の影響を見ていく第八章は半信半疑。 それでも、日本のt造形の美しさが、全体の統一性でなく、細部の一つ一つの要素をフォーカスして楽しむようなものになっている(そしてそのような眼が密息によって生み出されている)というのは面白かった。
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「密息」で身体が変わる(新潮選書)
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