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Posted by ブクログ
記憶障害という現実を抱えながらも前を向こうとする綾夏と、彼女を一途に想い続ける優高。
この物語は、“忘れても、何度でも恋をする”という強いテーマを軸に描かれた、切なくも温かいラブストーリーでした。
第2章では、綾夏の病状が明らかになり、彼女は優高の未来を思って別れを選びます。
けれどその事情を、優高はまだ知らない。
理由も告げられないまま大切な人に去られる彼の姿があまりにも切なく、どちらも悪くないのに終わってしまう恋の残酷さに胸を締めつけられました。
物語が大きく揺れるのは、手術前の優高の覚悟です。
成功率という冷たい数字を前にしても、「成功率はただの数字だ」と言い切り、「金も会社もいらない。ただ生きていてくれればいい」と祈る。
愛する人の命の前では、すべてが些細になる。
あの場面は、優高の愛の深さと覚悟が最も鮮烈に描かれた瞬間でした。
そして、水の中で記憶を追いかける綾夏。
掴みかけた魚の尾が、やがて温かな大きな手へと変わる描写は圧巻。
“忘れても、何度でも恋をする”という物語の核心が、美しい比喩で表現されていて思わず息を呑みました。
エピローグでは、失った記憶を悲劇としてではなく、これから更新していく未来として受け止めるふたりの姿に救われます
その前向きな強さが、静かに心を満たしてくれました。
番外編では、穏やかな朝のコーヒーや何気ないやり取りが描かれ、本編であれほど苦しんだふたりが日常を共有していること自体が何よりのご褒美。
優高の甘さと独占欲がにじむ幸福な空気に、思わず頬が緩みました。
壮絶な切なさを越えた先にある、確かな幸福。
最後まで読んで本当に良かったと思える、最高のハッピーエンドでした。
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