スーパーマン・スマッシュ・ザ・クラン

スーパーマン・スマッシュ・ザ・クラン

少年・青年マンガ
2,376円 (税込)

11pt

5.0

舞台は1940年代。チャイナタウンからメトロポリスに引っ越してきたティーンエージャーの兄妹ロベルタ・リーとトミー・リー。なんと新居の近くに住むのは、あの有名なヒーロー“スーパーマン”だった! ある夜をきっかけに、二人はスーパーマンと秘密結社クランの戦いに巻き込まれてしまう。ロベルタとトミーはスーパーマンを助け、この戦いに勝利することができるのか?

●収録作品●
『Superman Smashes the Klan』#1-3
(c) & TM DC.

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    Posted by ブクログ

    移民や差別を扱った傑作。「移民としてのスーパーマン」の描写は、邦訳アメコミでは「ヒットマン」や「スーパーマン:アメリカンエイリアン」にあったが、本作ではそれが前面に押し出されている。

    1946年、チャイナタウンからメトロポリスに引っ越してきた中国系アメリカ人の少女が主人公。彼らを排斥しようとするクラン(ようはKKK)と、ヒーロー活動を始めたばかりのスーパーマンが対決する。

    マイノリティである主人公家族が社会参加する難しさや思春期の子どもが抱える孤独感と、自分が異星人(=移民)であることに悩む若きスーパーマンが重ね併せて描写されているのが、とてもよい。クランが、スーパーマンを「白人の優越性の象徴」と見ているところや、中国系とアフリカ系の人種的マイノリティ同士で差別意識をもつところなど、差別構造の複雑さをしっかりと描いている。

    本作のスーパーマンを読んで、ぼくは鉄腕アトムを連想した。人間をはるかに超越した能力と高い倫理観をもちつつ、半分は人間・半分は非人間であるため、アイデンティティに苦悩し、それゆえに他者との融和の象徴ともなりえる存在。日本人アーティストのグリヒルさんの、マンガっぽい描線がそう思わせているのもあるだろう。

    どちらのキャラも歴史が長く、設定が後付けされていたり、さまざまなテーマで作品が描かれていたりするので一概には言えないのはわかった上で書くが、スーパーマンと鉄腕アトムという、日米のマンガ・コミックのヒーローの代表が、似たような背景を持つキャラクターなのはとてもおもしろい。

    夏目房之介は鉄腕アトムをはじめとする手塚作品に「両義性」(例えばアトムであれば「人間」の心を持った「ロボット」であるということ)を見いだし、その後の日本マンガにも受け継がれていったことを解き明かした。ただ、スーパーマンの両義性を考えると、もしかしたら、マンガ・コミックというジャンルが本質的にそういう想像力を喚起するのかもしれないなあ。

    0
    2020年11月30日

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