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創作大賞2023(note主催)朝日新聞出版賞受賞作! 家事代行歴3カ月・津麦の新しい勤務先はシングルファーザーの織野家。家の中に入ると「洗濯物の海」が広がっていた──。仕事・家事・育児……何かを頑張りすぎているあなたへ贈る物語。期待のデビュー作!
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Posted by ブクログ
穏やかな内容の本を読めるということは、自分の心の状態が穏やかだということ。 自分の苦手分野を主題とした内容の本を読めるということは、苦手を克服したいという願望が芽生えてきているということ。 今、このタイミングでこの本に出会えてよかった。 主人公は、商社の激務で身体を壊して退職し、家事代行サービスで...続きを読む働き始めた津麦(つむぎ)。 幼い頃から、毎日取り憑かれたように家事にのめり込む母親に手厳しく教育されてきた影響で、一通りの家事はこなすことができるようになっていた。 彼女が新しく受け持つことになった織野家には、シングルファーザーと、五人の子どもたちがいた。 部屋の床一面は家族全員分の洋服で埋め尽くされ、見たこともない光景に津麦は呆然とするが、要望は片付けではなく、予想外にも「食事を作ってほしい」。 自分が織野家のためにしたいと思うことと、織野家から求められることとの間に乖離を感じた津麦は、悩みながら、そもそも家事とはなんなのか、何のために人は掃除や料理をするのか、考えるようになる。 津麦がご飯を作るシーンが何度か出てくるのだが、その料理がどれも本当に美味しそうで、心があったまって、不覚にも急に涙まで出てきてしまった。 食材も、調味料も、手順も至ってシンプル。 誰でも、どこのスーパーにでも売っている食材で、ぱぱっと作れるメニューばかりだ。 それなのに、読んでいると、フライパンで熱されている食材の香りがふんわり漂ってくるような、油がパチパチいう音が聞こえてくるような、あったかくて、穏やかで、どこか切ない気持ちになった。 その切なさの根源は何だろうと考える。 わたしは家事が苦手で、中でも料理が絶望的にできないので、夫や息子にいつも気を遣わせてしまっている。 何品か作っても全体的にイマイチで徒労感だけが残ったり、美味しいと言ってもらえたものを繰り返し作って飽きられてしまったり、わけのわからない高い調味料を買ってみるも、慣れない味に全員で顔をしかめることになったり、そんな苦い記憶ばかりだ。 「名前のある料理を作るのが間違いないよ」 「◯◯の××風、というようなレシピは、だいたい味が複雑なことになるから避けた方がいいね」 というのが、夫から来る定番のアドバイス。 名前のあるもの。肉じゃが。生姜焼き。カレー。筑前煮。照り焼き。そうね、間違いなさそう。 でも性格が捻くれたわたしはつい、基本の味が確立されていないのにふらふらっと脇道に逸れて、隠し味とか言ってバルサミコ酢とかフレーバーのついたオイルとかなんか珍しい種類のよく知らない野菜とか、そういうものを入れてしまう。 自分でも、絶対にそれが間違っていると思う。 津麦が作る料理の数々を見て、やっぱり夫の言うことは正しいな、と、改めて反省したのだった。 結婚してもう15年になるけれど、年々、夫の言葉に対して反射的にシニカルな対応を返してしまうことが増えてきた自覚がある。 いやでもこれ入れたら味に深みが出るって聞いたし。あなたがこないだもうこれ飽きたって言ったから仕方なくちょっと変えてみたんだし。旬の食材がいいって言われたから今が旬の(この見たことも聞いたこともない野菜だか何だかもわからない)これ、買ったんだし。 わたしにだって言い分はいくらでもある。 でも、どちらが正しいのかは明白だ。 最近は、スーパーやコンビニで売っているお惣菜の類もクオリティが本当に高くなった。 種類も豊富で、どんどん新商品も現れる。 手間はかからないし、洗い物もいらないし、野菜や米の価格が高騰していることを考えれば、下手したら自分で作るよりも安上がりでさえある。 日々そういうものに甘え、頼りまくっているわたしは、この本を読みながらあたたかい気持ちになれたけれど、同時に、切なさも感じずにはいられなかった。 便利さや楽さを追求した食卓には、やはり何か足りないものがあって、わたしはそれを今からでも、少しずつでも埋めていきたいと思った。 鶏肉とキャベツのトマトカレー。 ブロッコリーのバター醤油炒め。 二度目に織野家を訪れた際に津麦が作ったメニューの一部だ。 ちょうど今日はスーパーで鶏肉が特売日で、戸棚にトマト缶もあったので、真似をして作ってみた。 食材や調味料の細かい分量は記載がないから、苦手な目分量で、しょっちゅう味見をしながら。 たぶん、美味しくできたと思う。 今夜は夫が出張でいないので、息子と二人の食卓になる。 美味しいって言ってもらえたらいいんだけれど。
家事に正解はないので他人と比べる必要はないという考え方はすごく良いなと思った。私は料理を作ったり掃除をするのがとても苦手で、大人になったらどうなるんだろうととても不安に思ってたけど最初から完璧にできる人はいないし、こうじゃなきゃいけない!!なんてことも無いので少しずつ覚えようと思った。 しかし津麦の...続きを読むお母さんはなんであんな態度だったのかなということだけ少し気になった。
久しぶりに小説のジャンルを読んでみたが、とても面白かった。 どんな自分でも、誠意を持って一生懸命に働いていたら報われる時があると実感した。 いろんな人がいるのが世の中だが、皆良い面が必ずあるとコミュニケーションの大切さも感じられた。
コンパクトで読みやすい。毒がなくてほっこり爽やか、タイトルとカバーが好きな人はいい感じにぺろっと読めると思います。
タイトルと表紙でジャケ借り。 家事代行の津麦と、シングルファーザーの朔也と5人の子どもたちのお話。パパ一人で5人の子ども……もう大変どころの騒ぎではない。 家事が崩壊してしまっている織野家だが、読んでいて辛くなるほどパパが頑張るし、気を張っている。頑張るけれどこぼれ落ちた家事が、海のように大きくな...続きを読むってしまっている。 家事とは何なのか。生活とは、生きることとは? みんな完璧にやっていると思うかもしれないけれど、意外とそんなことはないのかも。 毎日、仕事に家事に育児に追われていて、あれもこれも頑張らなきゃ、と思っていたけれど、少し肩の力を抜いて、できる範囲でほどほどに頑張ればいいんじゃないかなと思わせてくれた作品。 表紙みたいに優しくてあたたかいお話でした!
極端に荒れた部屋に、家事代行で入る主人公。 やばい家かと思いきや、 ちゃんとまともな家だった。 ラストはちょっと思ったのと違うけど、 これはこれで爽やかですな。
読みやすくて一気に読み終えました。 家事なんて…と思ってる人に是非読んでもらいたい本。当たり前のようにやっている主婦は凄いんです。 津麦ちゃんのように冷蔵庫の中身(残り物)をみてあっという間にメニューを決めて手早く料理できるのが理想。家事に終わりはなくて、毎日続くもの。頑張りすぎないでいきたい。
とっても読みやすかったです。 あと、料理が美味しそう~! 津麦さん、私よりか家事できてるよ笑 決められた時間内でそんなに作れません。 家事って本当に終えても終えても終わらんですよねぇ。わかります。 家事代行サービスって名前だけ聞いたことあるんですけど、これは誰でも出来ることじゃあないなと思います。 ...続きを読む家事をしてくれている家族の誰かに感謝しなければいけないですね。
家事なんて山ほどある。それを無理に頑張らなくてもいい、誰かと比べなくてもいいんだよ、とそっと背中を撫でてもらったような作品でした。私はこういう系、好きだなあ〜
商社を辞めて家事代行を始めた津麦。 新しい依頼人は子ども5人とシングルファーザーの織野家。 部屋の中は洗濯物がところ狭しと広げられていて海のよう。台所も汚れてはいるが食事は作っているようで、冷蔵庫には新鮮な食材が入っている。朔也は出身地がキャベツの産地らしく特にキャベツが好きらしい。 この織野家と関...続きを読むわることで自分が何を追い求めていて、何をしたいのかを見つけていく津麦。そして同じように頑張りすぎている織野家のシングルファーザーの朔也にも頑張りすぎないことを気付かせる。 津麦は母を、朔也は亡き妻を追いかけ疲れ切ってしまう。 誰しも、同じようにはいかない。目指すものはあったとしても、手を抜きつつやることも大事。自分の頑張りすぎが周りを窮屈にしていないとも限らない。 自分なりの頑張りを実践すればいいのだ、と言うことを教えられた気がする。 心がほっこりする終わりだった。 新人作家らしいがいい本に出会えた。
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クリームイエローの海と春キャベツのある家
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せやま南天
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