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Posted by ブクログ
一気読み!
叫びだしそうな、泣き出しそうな、何かが決壊しそうな。
これなんだろう?
覚えがあるような。
ああ、そうだ。
小説の中に自分のコアな部分を見つけたときの気持ちだ。
主人公の界は幼少時に右手の小指と薬指を欠損している。
とある事件で学校に行かなくなり、不良連中とファミレスで馬鹿話を繰り返す日々。
そんなある日、出会った年上の男・橘さんに傾倒していくーーー。
田舎の小さな世界で、自己否定感と自己肥大感をこじらせるさまが、リアリティを持って迫ってくる。
界は何度か「こいつのせいで」と欠損した指に対する憎しみを思う。
でも、それは、ある意味、自分に対する言い訳で、それに無意識に気づいている。
だから、(界の指を)気にしない人に出会うと恥ずかしいのだ。
リアリティ、と書いたが、リアリティって、人によって違う。
田舎の中学生ヤンキーとは全然接点を持ったことないが、彼の鬱屈は覚えがある。
ときが過ぎたから分かること、最中にいるから感じること、そのどっちも感じられるような気がする小説。
疾走感ある面白いインディーズ系青春映画を見たような爽快さ。
こういうの大好き。
Posted by ブクログ
地方と都市という普遍性のある対比と、何者にもなれないという葛藤が合わさる作品はよく見かけるけれど、本作では主人公の界(かい)が関わる人たちとの会話や行動が生々しく、地方の若者達のリアルな様子が読者に覆い被さる。
界は自分は今、現実世界とちゃんと関わっているのだと感じているが、実際は何も関わることができておらず、それに対しての絶望と、絶望さえも感じていない様が読んでいてヒリつく。
確かにラスト付近の唐突な展開はビックリするが、その出来事さえも現実とコネクトしていないんだと読んでいて気付くと、どこか達観した気持ちになる。
うまい。文章が上手すぎる。
町田康さんとの対談が『文藝2023冬号』に載っているが、次は大麻の話を書いているという。
切れ味鋭い新人が現れたと目眩がした。
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