人情刑事・道原伝吉 横浜・彷徨の海殺人事件

梓林太郎

長野県警松本署に奇妙な電話があった。見慣れない男が敷地に立っていたので声をかけたが一言も喋らないという。道原らが駆け付け、男の身元を調べたところ意外なことが判明する。七年前、松本市内の老人ホームで、入居者の古賀鐘一が持ち込んでいた現金三千万円が盗難にあい、そのショックで死亡するという事件があった。犯人ではないかと疑われた元職員の滝谷文高だったのだ。警察に解放された滝谷は、その後京都で暮らす女性のもとを訪れ、一緒に横浜で暮らすことになった。しかし、ある夜、自宅前に置かれた栗の木でできた函を見て人が変わったように興奮する滝谷…。そして殺人事件が！ 横浜を引き払い新潟で暮らし始めるが…。大いなる逃亡が始まった！？書き下ろし長篇旅情ミステリー。

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内ミステリー
• 出版社: 徳間書店
• 掲載誌・レーベル: トクマ・ノベルズ
• ページ数: 240ページ
• 電子版発売日: 2023年10月30日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 1MB

[ブクログ · ★★★☆☆]

(2023年12月19日から21日にかけて読破)
長野県警松本署に入った､奇妙な電話が始まりだった｡知らない男の不法侵入があり､声をかけても何も話さない｡道原らが身元を調べたら､7年前の市内にある老人ホームで起きた現金窃盗罪で逮捕された元職員の滝谷文高と判明｡徹底した調査の末､道原は滝谷を解放し､移り住んだ横浜で､数日間監視した後､松本署に戻った｡
しかし､横浜で殺人事件が発生し､容疑者に滝谷が浮上!? さらに､滝谷は新潟に逃亡した!? 新潟に移り住んだ滝谷は､あき子と静香を尖閣湾観光に連れ出した時､静香は議員から多額の金を受け取ったことを告げた｡
その後､滝谷は浅間温泉にある中林木工に出向き､栗の木の函を作りたいと申し出た｡しかし､その函を海に投げ捨ててしまう｡滝谷は､偽名を使って佐渡汽船乗り場の雑約係を始める｡
松本では､60代男性が刺殺され､道原らが捜査に向かう段階で､法医学の関係者から話の段階で､滝谷が佐渡汽船乗り場の雑約係をやっている噂はあったが､偽名を使っているせいか､特定はできなかった｡
やがて､滝谷はあき子と静香を伴って､横浜に移り住む｡住まいは質素だが､あき子が何者かに襲われる｡議員とかと縁を切りたがっているが､どういうことなんだろうか｡滝谷は､千代子という女を探り出す｡
しかし､滝谷は菱友倉庫の仕事を辞め､千代子の家族を追い始める｡あき子に軒下などを歩かせるなど､調査は徹底している｡滝谷は､別の勤務地に仕事を決めている｡やはり､生活のため､お金を稼がなければならないのか｡相次ぐ引っ越しで､あき子と静香は大丈夫なのだろうか｡ある日､あき子の妹のしの子が現れる｡しの子は､滝谷が今住んでいる横浜は初めてだったらしい｡街を歩いて､しの子は帰っていった｡
しかし､ある夜に滝谷は悪夢を見てしまい､不安から食事が取りにくくなってしまう｡年齢か? 工場に刑事が訪問し､滝谷の所在を確認しに来たらしく､工場長は､滝谷を疑いたいのか? 突然､車を走らせていった滝谷の真実はー?