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「ロシアによる突然の、いわれのない大規模なウクライナ侵略は、侵略に対する武器としての制裁の本来の目的を今日的なものにした。二〇二二年二月以降、英米とヨーロッパ連合(EU)だけでなく、日本、韓国、台湾、シンガポールといったアジア諸国や、さらには長年の中立国、スイスを含めた三八カ国の連合による措置は、領土の保全という国際連盟の本来の目的に起源がある」(日本語版への序文より)
経済制裁は、国際平和を乱した国への懲罰メカニズムとして、近年、多用されてきた。この経済制裁は、第一次世界大戦後の国際秩序を構築する中で誕生したものだ。当時、経済制裁は「経済兵器」とも呼ばれていた。というのも、大戦で敗者となったドイツ帝国やオーストリア=ハンガリー帝国、中東などで経済制裁が多くの餓死者をもたらした生々しい記憶を伴っていたからだ。
本書は、第一次大戦後から第二次世界大戦勃発までの30年間に、どのように経済制裁が生まれ、現代のような形に発展してきたのかを英米仏の制裁主義者、国際主義者らの議論や各国の思惑を膨大な資料をもとに、気鋭の米国人歴史学者が描いたものだ。 ロシアも自国資源の石油、ガスを武器にして、中国などと連携する動きを見せるなど、ウクライナ戦争が「経済戦争」の様相も呈している中、これからの世界経済を考えるうえで必読書といえる。
Posted by ブクログ 2023年07月20日
古くは古代ギリシャまで起源を遡る経済制裁。近代から現代にかけては懲罰的な意味合いで用いられるが、武力を用いない攻撃として、経済兵器とも呼ばれる。
本書は、第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけて、経済制裁がどのように変化してきたかが描かれている。そして現代における経済制裁の是非がまとめられている。...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年03月28日
経済制裁の歴史的な推移について詳しく解説されている。軍事的な面の歴史的解説は多いが、経済的なしかも経済制裁に特化した歴史書は初めて読んだ。
経済制裁が戦争に行き着く可能性も高く、人道的な配慮も必要なことから、実際には十分な効果を発揮出来ない事が多い。
経済力がつき資源も豊富な中ロが支援すれば、制裁は...続きを読む
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