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本土防空、松山三四三空の撃墜王・鴛淵孝大尉の戦い。25歳で散った清冽な青春を描く!精鋭二五一空、三四三空で零戦、紫電改を駆り、ソロモン、日本本土上空で戦ったエースの生涯を、海兵同期の直木賞作家が描く感動のベストセラー!
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Posted by ブクログ
一番気に入っているのは、兵学校時代の話である。 著者の豊田穣氏も卒業生であることから、兵学校での生活の様子がよくわかり、同期生たちの様子も活き活きとしている。 たとえば、兵学校を合格し江田島へ行った日、仲間たちと古鷹山へ登ることになったとき。 どん尻を行く豊田氏のあとから応援の声を出しつつ、さらに遅...続きを読むれて私も一緒に登っている。 入校式が済んだあと、階段上りで豊田氏が豚にたとえられながらやり直しを命ぜられているのを心の中で励まし、自分もやり直しを言い渡されて移動先へ着くまでにすっかり疲弊している生徒は私。 と、現実的には学力・体力共に入校のためには力不足を感じるものの、本の中では鴛淵生徒や豊田生徒と共に江田島へ入った江田島健児になれる。昭和12年4月1日に緊張と不安、それからこの先の未来に少しの希望をもって江田島の朝を迎えたひとりの生徒である。 そんな風に楽しめたのは、江田島時代に登場する豊田生徒はあくまでも一人の登場人物であり、それを書いている「自分」とは書かれていない。その表現がとてもよい効果を生んでいたからだ。 折に触れ、スマートな鴛淵生徒とは対称的な豊田生徒を引き合いに出すので、豊田生徒にはすっかり親しみを感じている。「七十五キロの」というのはすっかり記憶に刻み込まれてしまった。(が、おそらく兵学校生徒として励まれるうちに、スマートになられたことと思う。) 冒頭、すでに三四三空戦闘七〇一の飛行隊長となった鴛淵孝大尉が登場するので、戦記中心の内容だろうかと思いきや、ページの半分は兵学校時代のことであった。 残りは幼少期や戦闘機乗りとして活躍されている時代の鴛淵大尉を振り返る。 もしかすると戦闘機乗りとしての部分には創作が含まれていると思うが、幼少期のことは著者自ら取材されているので情報として価値がある。出てくる地名も地図で辿れるので、そういうことが好きな方も楽しめる。 大尉は小学校・中学校の同級生や豊田氏から、まったく同じ点を記憶に強く残されているようで、本書の中で「目のくりくりした」という言葉がよく出てくる。 目にしたことのあるご本人の写真では、どちらかというとほっとさせる笑顔のほうが印象的であったが、言われてみれば大きな目をされているかもしれない。 おそらく、単純に目の大きさのことというよりは、幼少期から周囲の様子をよく見ておられたり、絵も得意であられたとのこと。よく見るために目を動かしていた様子が相手から「くりくり」しているふうに感じられたのかもしれない。好奇心の旺盛な方だったのかなとも思う。 いずれにせよ、相手の心を掴むような愛らしい目をされていたということだろう。それは、軍人のイメージからはずいぶんとかけ離れたものである。 本書を読んでいて、なぜ豊田氏は数多の同期の桜の中で鴛淵孝という人間のことを書こうと思われたのかと考えた。 読んでいると、ほかにもとても気になる個性豊かな桜たちが登場するのだが、その面々の中でもこのお一人を書かれようとしたのは何故だろう。 たった四年の兵学校生活の中で、鴛淵孝という人がそれだけ豊田氏の心に、記憶に、魅力ある人として印象深く残っていたからではないだろうか。 著者の胸の内まで覗けてしまう、亡き同期生を偲んだ心のこもった一冊だった。 読むことができて良かった。
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