小学校受験～現代日本の「教育する家族」～

望月由起

急速に進む少子化にもかかわらず、日本の受験戦争は過熱している。また苛烈を極める中学受験を避けるため、主に都心部で小学校受験を検討する親も増えている。一方、極端な早期選別は格差の拡大や階層の固定化を促進するという見方もある。小学校受験について多面的な研究を続ける教育学者が、私立・国立小学校受験の現状を、当事者の声も交え具体的かつリアルに報告。多様化する受験の実際や問題点、評価すべき点などを伝える。

• カテゴリ: ビジネス・実用
• ジャンル: 学術・語学 / 教育
• 出版社: 光文社
• 掲載誌・レーベル: 光文社新書
• 電子版発売日: 2022年12月14日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 38MB

[ブクログ · ★★★★★]

受験の当事者ではなく、俯瞰した目線から統計データを元に現代の小学校受験を分析した本。示唆に富んだデータが多数あってかなり興味深かった。

受験する家庭は「地位を世代的に継承（再生産）する手段として学校教育に着目」しているというのは合点がいった。

その他、子育て行動に関する受験家庭・一般家庭の差異も興味深い。感情的に叱る・思わず叩く・何でも口出しするといった行動はいわゆる受験家庭のステレオタイプな行動のように思われるが、実際には一般家庭の方が有意に多くこれらの行動を取っていることが明らかになる。小学校受験を検討していなくても一見の価値あり。