銭躍る東シナ海 貨幣と贅沢の一五~一六世紀

銭躍る東シナ海 貨幣と贅沢の一五~一六世紀

1,925円 (税込)

9pt

4.5

〈共進化する東アジア史を、貨幣という視点から捉える!〉

「ちかごろ北京城の内外で人々は贅沢を好み、貴賤を問わず、みな金襴や宝石を身に着け、服装がみずからの分限を甚だしく越え、どの宴席でもいつも盛りだくさんの料理や菓子などが並べられ……」
15世紀後半、明の都・北京では人びとが競って贅沢にふけるようになった。奢侈の風潮は、さらに朝鮮半島、そして日本列島にも伝播し、絹製品や陶磁器・金銀・珠玉などの「唐物」が東シナ海を盛んに行き交うこととなる。

大陸・半島・列島にわたる「贅沢の連鎖」はなぜ起こったのか?
それは単なる偶然ではなく、また各地域内の単一事象だけでも決して説明がつかない、世界史的事件であった!

これまで日本史の枠内で捉えられていた応仁の乱前後を画期とする日本列島の経済成長も、日朝交易が過熱化し半島から列島へ流れ混む朝鮮綿布、琉球を経由した唐糸・青花の流入といった多地域にわたる国際交易の活況と切り離して考える事ができない。
中世日本の経済成長、私鋳銭の流通や石高制への変化などの事象も、東アジア各地の経済成長と連動したものであった。

本書は、中国・朝鮮・日本の経済変動が相互に影響を与え合い、複数の起点からなる共時的な歴史変動がいかに生起するかを探る試みである。


【本書より】
総じて、およそなんの関わりもないように思われてきた東アジア各地の個々の事象が互いに関連し合い、やがてひとつの大状況(東アジア大での経済成長、日本銀の登場、倭寇的状況など)を創出し、さらにその大状況が多数の事象を派生させるとともに、これらの事象によってふたたび変容する、そのような歴史過程を描き出すことが本書の目的である。いままで意識されなかった歴史の「流れ」を見出し、その生成・展開を跡づけることを通して、この時期の中国史・日本史そして東アジア史をめぐる既存の認識とは多少なりとも違ったストーリーを提示できればと考えている。


【主な内容】
第一章 贅沢は連鎖する ─明・朝・日の経済成長
第二章 悪銭と悪貨─ 巻き起こる通貨変動
第三章 そして「倭銀」があらわれた
第四章 活況と騒乱の東アジア─ シルバー・ラッシュがもたらしたもの
おわりに ─ 「唐物」と「夷貨」:東アジア史を動かす“モノ”

...続きを読む

銭躍る東シナ海 貨幣と贅沢の一五~一六世紀 のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2022年09月04日

    東アジアの貨幣と経済の歴史を、各地の様々な出来事が相互に影響しあう様子を叙述することで描き出す内容。各国における通貨変動の関連性や、銀の大量流入を経ての貨幣政策推移など興味深い内容が多い。

    0
    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2021年12月31日

    1.贅沢は連鎖するー明・朝・日の経済成長
    東アジア各国の経済は、互いに影響しあい15世紀後期より好景気と奢侈の風潮が席巻していった。明建国当初は戦乱や明初体制の引き締めで停滞していた経済も、成化・弘治年間を画期として経済が復調する。また、銅銭の煩雑さや交鈔の暴落によって銀経済が持ち上がり、国税や軍糧...続きを読む

    0

銭躍る東シナ海 貨幣と贅沢の一五~一六世紀 の詳細情報

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

講談社選書メチエ の最新刊

無料で読める 学術・語学

学術・語学 ランキング

同じジャンルの本を探す