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幻の書の新発見か、それとも偽書か。高校生のぼくは、うさんくさい男と〈謎の書〉の存在を追う。その名は、『皆のあらばしり』。探求は真と嘘の入れ子を孕み、歴史をさかのぼり、コンゲームの様相を呈しつつ、ついに世界の深奥にある〈ほんまもん〉に辿りつくが……。大逆転の結末に甘美な香気さえ漂う表題作のほか、「ニセ偽書事始」「『皆のあらばしり』の成立について」を収録した傑作。
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Posted by ブクログ
自分が知らないというだけで興味を持たず、自分のことだけ考えて死んでいくから苦しい、すぐ読んでもらわねば意味がないという軟弱な自意識等、知識や学問への敬意からか、結構過激な言葉が出てくる。一つ一つ刺さる。高校生くらいの時に、こんな大人に出会ったら、心酔するのではないか。
歴史研究部に所属し、栃木市の皆川城内町の郷土史を研究する僕は、皆川城址にて関西弁を操り、並大抵じゃない学を持つ謎の男と出会う。彼は「陸奥日記」の著者•小津久足のまだ世に出ていない謎の書「皆のあらばしり」を追っていた。未知に惹かれた僕は彼と手を組むこととなり——— 私に学がないばっかりに、日本の歴史...続きを読むをなぞっていく物語は、なかなか頭に入ってこなかった。それでも、未知の書の真偽や所在を解き明かしていく様には、興奮したし、読む手が止まらなかった。ラストだってかなり満足したし、美しく素晴らしい終わり方だったと心の底から言える。 だからこそ、中盤の歴史解説部分を真に理解できない自分が悔しい。本当ならもっと面白い小説なのに、と思ってしまう。 知的探究心をくすぐられ、何かを学びそして活かすことの楽しさを、訴えかけてきた作品。 すごく良かった。
歴史は苦手であまり興味のある分野ではないのだけれど、郷土史を研究することの面白さが伝わる快作 メインの2人の会話のテンポも良くて、先入観を逆手に取って見事に裏切られる小説的な面白さもあって読んでいて楽しい作品でした
『皆のあらばしり』なる幻の書物を巡る、ボーイミーツおっさんによるボーイの成長物語。本当にあった本なのかなと思ってしまうくらいたくさんの知識が詰め込まれているけれども、それでいて衒学的ないやらしさがなく楽しく読めた。 男の正体は、とか、『皆のあらばしり』は実在するのか、みたいなエンタメ的興味で読むと物...続きを読む足りなく感じてしまうかもしれないけど、謎の男さんみたいにいろんなことを知ってたら世界はとても楽しいだろうなと思う。せめて自分の周りしか見ない人間にならないように生きていきたいものですねえ。
文庫で再読。二篇追加され、物語の制作の背景が分かった。やはり高校生とオッサンとの掛け合いが知的好奇心をそそる。
歴史が好きな人には楽しめそうな作品。 高校生の主人公は、1人の男との出会いをきっかけにある書の存在を知る。 それは偽書なのか? 物語は栃木県の地理や歴史をたどりながら進んでいく。 最後まで完全にはスッキリしない部分もあるが、すべてを明かすことがこの作品の目的ではないのだろう。 作者がかなり調べ、練...続きを読むって書いたのだろうと感じさせる内容だった。
面白かった!関西弁の男は博識だし高級時計持ちだし『本物の読書家』の関西弁おじに見えなくもなかった。乗代氏自身が自分の足や資料を通して小津久足と栃木市を丁寧に描いた作品だなあと感じた。 作品中、男が琴平神社の石段の窪みを見て自分の足を嵌める姿や、「伝わらんでも人の思いが残る法もあると知らせとるがな。そ...続きを読むの思いを後世の人間が汲んでやれば当人たちも報われるっちゅうもんやないか(略)。」と言った場面が作者の仕事ぶりを表しているようで、こういうところに感動してしまう自分がいた。 巻末の成り立ちでは、研究者(参考文献の著者)の方の『皆のあらばしり』の読み方について現実の方が小説においついてきたとあった。もちろんその読み方は研究者じゃないと知り得ないものだったので一読者である自分(読書家とはとてもいえない)が気づくわけがないのだけども。
ある偽書(それさえも作者の創作)をめぐる小説。先日観た演劇がメタメタメタメタのメタという構造をしていたこともあり、新しさは感じなかったが、小中学校の図書室に置いていたらキャラの魅力で好きになりそうではある。
博覧強記な関西弁の胡散臭い男と歴史研究部の賢い高校生が幻の書の存在を追う。二人の会話が卓球のラリーのように小気味良い。高校生が胡散臭い男にファウルフェローをディズニー土産として渡すのが面白い! 二人の騙し合いも楽しい!
素数の木曜日という響きも良く、それを待ち侘び、その間起きたことは二人の会話でしかわからず、わくわくしながら次の素数の木曜日を読み、最後はどこから形成逆転したかに驚き…もう一度読まないといろいろついていけないと思うが、わくわく感だけは間違いない。 青年がどんな大人になりたいか、語ったことこそがわくわく...続きを読む感に繋がっているのだと思った。
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皆のあらばしり(新潮文庫)
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乗代雄介
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