おすすめのメリバBL漫画10選【「共依存」に反応する人必見】
BLの一大人気ジャンルである「あまあま」「ほのぼの」と真逆の方向性でありながら、それらと双璧をなす人気を誇るのが「メリバ」BL。ストーリーの行く末に希望の光が一切見えない、破滅的でシリアスなストーリー展開が腐女子の心をつかんで離しません。読み終わった後には心がずしりと重くなることもありますが、その分ストーリーの深さや読み応えは抜群! そんなメリバBLのオススメ10作品をご紹介します。
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目次
「メリバ」とは?
「メリーバッドエンド」、略してメリバ。その語源ははっきりとしていませんが、メリー(幸せな)バッドエンドという名前の通り、第三者から見ると不幸せな結末であるにもかかわらず、主人公カップルたちにとってはそれがハッピーエンドである――というストーリーを意味します(反対に、第三者から見るとハッピーエンドなのに当人達にとってバッドエンドというストーリーをメリバに含めることも)。物語の結末がハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、解釈や想像を自由に繰り広げられることから人気を集めるジャンルです。加えて、主人公カップルが共依存的な関係に陥り、2人だけの世界に閉じこもろうとする「病み」要素が読み手の心を惹きつけます。一度読み始めたらただハッピーなだけのBLにはもう戻れない……そんなクセになる奥深さがメリバBLの魅力です。
おすすめのメリバBL漫画10選
『にいちゃん』
完結『にいちゃん』 全1巻 はらだ / プランタン出版/Canna Comics
【エロ度】★★★★☆
”人を愛する”その行為の深淵に迫る問題作
発売と同時に「この漫画をBLというジャンルだけで語っていいのか?」と読者をざわつかせた、はらだ先生の問題作。小学生の時に同じマンションに住む優しい”にいちゃん”こと景に体の関係を持ちかけられたゆいは、生理的な恐怖から部屋を飛び出し、その現場を母親に見られてしまいます。周囲の大人たちによって引き離された2人ですが、「被害者」であるはずのゆいは”にいちゃん”のことが忘れられずにいて……。
成人男性が小学校低学年くらいの男の子に近づき、性的な関係を持とうとする衝撃的なシーンから始まる本作。無邪気な男の子を言葉巧みにセックスへと誘う姿はリアルで、まるで犯罪現場を覗き見ているようなグロテスクさが漂います。しかし、高校生になったゆいは
「あのとき”にいちゃん”を受け入れていれば」
と後悔して、当時住んでいた街を訪れては景のことを探し歩いていたのです。その努力が実を結んで景との再会を果たしたゆいは、昔の「裏切り」を償うかのように、自らがボロボロになるまで景にその体と心を捧げます。それでもゆいの気持ちが信じられず、彼を嬲ることでしか関係を保てない景。この関係は一体なんなのか、2人をつなぐ感情は恋愛なのかそれともただの執着なのか――読み手にさまざまな疑問をもたらしながら、その答えははっきり示されないまま物語はラストまで疾走します。ショタコン、レイプ、リバなど刺激的な描写に加え、両親との確執や世間の目への恐れといった心の闇表現も満載の本作ですが、好き嫌いを超えて心を動かされること間違いありません。
『やたもも』(竹書房)や『ヘンアイ』(ビーボーイ編集部)といったコメディテイストと『カラーレシピ』(新書館)や『ネガ』(竹書房)などのダークテイストとの間を自由に行き来し、圧倒的な物語を紡ぐはらだ先生。BLがはらむダークサイドを恐れずに描き切った本作はファンならずとも必読です。
『イトウさん』
完結『イトウさん』 全1巻 冥花すゐ / 茜新社
【エロ度】★★★★☆
名も無き殺し屋と男娼の、破滅への逃避行
10歳にもならない頃から体を売って生活をしてきた男娼のキョウスケ。1時間1万5千円で誰にでも体を開き、手酷いプレイを強要されても「まぁ金にはなったか」と諦念とともに受け入れるような、刹那的な生き方しか知りませんでした。そんなキョウスケに、ミステリアスな常連客「イトウさん」が、アタッシュケースいっぱいの札束を「これを君にあげよう」と差し出します。そこから、闇に生きる男たちの”初恋”が始まって……。
名前も感情も持たなかった殺し屋「イトウ」と、恋をしたことがない百戦錬磨の男娼キョウスケが、互いに初めての恋をしてしまったことから物語は動き出します。このカップリングからしてハッピーエンドなど望むべくもありませんが、ダークな世界観の中で青く燃え上がる恋情や、それを引き立てる端正なタッチが、読者の心を切なく高鳴らせるのです。
たった2人で世界を敵に回して逃避行へ走るイトウとキョウスケ。電気もガスもない廃墟で、ろうそくに火を灯して冷たい缶詰を食べるという粗末な夕食にもかかわらず、「今まで生きてきた中で一番幸せ」という表情を見せる2人。この時間が長く続かないことを予感させる儚さがあまりに美しく、涙がこみ上げます。
程なくして、イトウの属していた組織に追い詰められたイトウとキョウスケは、絶望の淵でどんな純愛の花を咲かせるのか……。希望と絶望がない交ぜになったラストは必見です。
ダークな世界観と端正なタッチが持ち味の冥花すゐ先生。2人の男子高校生×音楽教師という異色の三角関係を描いた『三角オペラ』(茜新社)でも、その魅力を発揮しています。地味で真面目な教師が、「学園の王子様」と呼ばれるイケメン生徒と「学園の情報屋」とあだ名される問題児に翻弄される様を楽しんでみてください!
『刺青の男』
完結『刺青の男<単行本未収録コミック付>』 全1巻 阿仁谷ユイジ / ビーボーイ編集部
【エロ度】★★★☆☆
致死量超えの痛さと切なさに要注意
牡丹、ラナンキュラス、鮫、それぞれの刺青を持つ3人の男が裏社会を舞台に繰り広げる、痛くて切ない恋の物語。「僕のカタギ君」「ラナンキュラスの犬」「狂い鮫とシンデレラ」「みんなの唄」の4つの短編から成る作品です。刑事の久保田とヤクザの潟木、潟木の兄貴分の武藤と組長の息子・有馬、そして潟木や武藤の組と対立関係にある埜上。この5人の運命が複雑に絡み合い、堕ちていく様が描かれます。
ヤクザである潟木、武藤、有馬、埜上は言わずもがな、刑事として潜入調査を繰り返す久保田ら5人の男は、誰もが刹那的な世界に生きています。本気で愛する相手を裏切ったり、たった10分の遅刻が他人の運命を変えてしまったり、壊そうとした相手に壊されたり……。それぞれの短編だけでも十分にノワールな世界観が楽しめますが、シリーズ完結編である「みんなの唄」の切れ味は半端ではありません。互いを裏切り合った久保田と潟木は互いの罪を見張り合い慰め合いながら共に生き、有馬と武藤は空っぽだけど幸せな夢の住人となる――ある側面ではおとぎ話のように幸せであり、ある側面ではこれ以上ないほど残酷なラストは、「これぞメリバ」と唸ってしまう見事なもの。何度でも読み返して、その度に胸を突かれるような痛みを味わいたくなります。
エンディングに容赦がなさすぎる本作。「痛すぎて立ち直れない……」というメリバ初心者の方は、ぜひ阿仁谷ユイジ先生の『もういちど、なんどでも』(祥伝社)を手に取ってみてください。記憶喪失になってしまった攻めと健気受けが愛を取り戻す切ないストーリーと、阿仁谷先生らしい曲線美が魅力的なエロスが心を癒してくれるはず。
『依存の楔』
完結『●特装版●依存の楔【電子限定おまけ付き】』 全1巻 akabeko / シガリロ
【エロ度】★★☆☆☆
心の檻の中で何度も繰り返される歪なラブストーリー
数日間の眠りから覚めると、自分の過去の記憶を失くしていた男・とし。自称・彼の恋人であるまちという男に世話を焼かれながら記憶を取り戻そうと暮らしますが、まちは外界からとしを隔離するかのような振る舞いを見せます。一見、健気で可愛らしいまちが何を隠しているのか、としは一体何者なのか……。マンションの一室を舞台に、サスペンスフルな密室劇の幕が上がります。
物語の始まりは、ありがちな記憶喪失BLとも言えそうなどこかほのぼのとした雰囲気が漂う本作。しかし、まちがとしの外出を禁じたり外部との連絡を遮断しようとしたりするなど、徐々に不穏な空気が濃度を増していきます。そんな中で、まちを愛していた記憶を取り戻そうと努めるとしですが、不意にまちの首を絞めたい衝動に駆られる自分に気付いてしまうのです。2人は本当に恋人関係だったのかと不安が膨らんでいくとしに対し、異常な執着とも取れる愛情表現を続けるまちが少しずつ恐ろしくなってきます。不安と疑念がピークに達したとき、としはまちとの記憶を取り戻しますが、明るみに引きずり出された真実はあまりにも歪で狂っていて……。歪になるほど、狂ってしまうほどの愛情がどこにも行き着くことができず彷徨う、衝撃的なラストをその目で見届けてください。
自分がオメガであることを受け入れられない少年を主人公にシビアでダークな物語が展開する『少年の境界』(ビーボーイ編集部)や、美人のドS上司×大型わんこ系ドM部下の『蝶と花の関係性』(竹書房)など、様々な作風でヒット作を生み出す新鋭・akabeko先生。BL好きなら要チェックの作家さんです!
『みずのいろ。』
『みずのいろ。』 1巻 槇えびし / 大洋図書
【エロ度】☆☆☆☆☆
暴力、ドラッグ売買、殺人などありとあらゆる犯罪が日常茶飯事の無法地帯「天国」。全身傷だらけの殺し屋セツと記憶喪失の少年・礼夏(リーシア)は、危険と隣り合わせながらも2人寄り添うようにして暮らしていました。しかし、セツの過去を知る男・ロマネがやって来たことで、2人の日常に変化が……。
約10年の歳月をかけて描かれたという本作。人を愛するという行為の素晴らしさと身勝手さや、赦し赦されることの難しさを、BLの枠に収まらない深度で描いています。物語の核となるのはセツのトラウマと贖罪です。幼少期からのひどい虐待の末に母親の手で「天国」に捨てられたセツは、礼夏やロマネと出会い、彼らを愛し愛される中で人間らしい心を取り戻していきます。しかし、礼夏の愛もロマネの愛も、結果的にはセツの大切な人や居場所を奪い、彼を傷付けることに。誰もがセツを幸せにしたかったはずなのに、その行動が彼を追い詰めていくことが切なく胸を締め付けます。そしてまた、セツが望んでいた「救い」も、他の誰かを深く傷付けることで……。この悲しい運命の連鎖はどこかで断ち切られるのか、じっくり噛みしめるように読んでほしい作品です。
コミカライズ版『天地明察』(講談社)や真田幸村を主人公にした『朱黒の仁』(朝日新聞出版)など、一般漫画で知られる槇えびし先生ですが、BL作品の魅力も折り紙つき! 借金持ちのわんこ系青年と訳あり気な茶屋の主人が心を通わせていく過程を描いた『きみにあげる。』(大洋図書)もおすすめです。
『薫りの継承』
完結『薫りの継承』 全2巻 中村明日美子 / ビーボーイ編集部
【エロ度】★★★☆☆
禁断の薫りで満たされた、耽美な世界に溺れたい
母親の再婚を機に、連れ子として資産家の息子となった竹蔵。彼はそこで義理の兄となる美しい少年・忍に心を奪われますが、忍は竹蔵を冷たく突き放します。大人になっても変わらず忍への想いを秘めていた竹蔵は、忍の息子・要の手引きで忍と体を重ねる機会を得て……。
2016年に『同級生』が、2017年に『ダブルミンツ』がそれぞれ劇場映画化された、BL界の巨匠・中村明日美子先生による義兄弟BLです。
目元に火傷を負い、包帯で目隠しをされた忍の寝室に、彼の妻の香水と手袋を身に着けた竹蔵が訪れたことから、2人の秘密の関係は始まります。それ以降、忍が竹蔵の前で目隠しをするのが情事の合図。目隠しをした無防備な状態で体を竹蔵に委ねるという、忍の誘い方がなんともエロい……! 言葉もなく貪るように互いを求め合う情事は、儚く何も生み出しません。しかし、その激しさから、普段は不仲な2人が心のどこか深くで通じ合っているのでは……と妄想がはかどります。
中村先生の美しい絵柄で、耽美かつ重厚な世界観に浸ることができる贅沢すぎる本作。竹蔵と忍が囚われてしまった禁断の薫りが誌面から漂ってくるかのよう。兄弟BLでしか味わえない危うさや切なさを、余すことなく満喫しましょう。
『泥中の蓮』
完結『泥中の蓮』 全1巻 ためこう / 祥伝社
【エロ度】★★★☆☆
汚れれば汚れるほど、禁断の愛は美しく咲き誇る
両親を早くに亡くし、狭いボロアパートで寄り添うように2人で暮らしてきた橘兄弟。男に体を売って生活費を稼ぐダメ人間の兄・元春の唯一の希望は、推薦で進学校に通う優等生の弟・秋生。しかし、しっかり者で真面目に見える秋生には、元春に隠している本性があり……。
学校から帰ると家で兄と客の男がセックスしている――まさにタイトルの通り、泥の中でもがくような日々を送る元春と秋生。秋生の周囲は口を揃えて「そんな環境は悪影響」「兄には近づくな」と警告します。しかし、より深い泥の中にいるのは、実は秋生のほう。泥酔状態で男に抱かれて意識を失った元春の体を弄んだり、彼がどん底に堕ちて自分以外の全てから見放されることを望んだりする、究極の執着系ヤンデレなのです。救いの予感が1ミリもない拗れに拗れた関係が、ヒリヒリとした萌えを与えてくれます。『心を殺す方法』と並ぶ、闇系兄弟BLの雄といえるでしょう!
本作のように闇は深くありませんが、ストーカー気質のイケメン幼馴染✕天然系童貞男子の『なつめくんはなんでもしってる』も執着攻めBLの名作。受けを溺愛するヤンデレ攻めが好物の人にはたまらない一作です!
『花椿秘恋唄~100年先まで』
完結『花椿秘恋唄~100年先まで【コミックス版】』 全1巻 梨花チマキ / 黒ひめコミック
【エロ度】★★★☆☆
「心の中にお前がいれば……」ピュアで切ない悲恋メリバ
舞台は江戸。浮世絵師に憧れながらも、彫師として罪人に入れ墨を彫り生計を立てていた桐生のもとに、一晩で百両を稼ぐ美貌の男花魁・白鷺に墨を入れてほしいという依頼が。高飛車で奔放な性格の白鷺に、真面目で純粋な桐生はからかわれてばかりでしたが、年の近い2人はいつしか惹かれ合っていきます。しかし、時代の波は厳しく、別れの気配がひたひたと忍び寄り……。
「なんだそのまらの皮もムケてなさそうな地味な奴は」
「だいぶ前につるっとムケてますけど」
出会い頭でそんな憎まれ口を叩きあった白鷺と桐生。犬猿の仲に見えた2人ですが、白鷺の肩に墨を入れるため、何度も顔を合わせるうちに打ち解け、一緒に祭りに行ったり、さらには体を重ねるようになったりと、どんどん関係が深まっていく様子にキュンキュンさせられます。しかし、白鷺の体は病に侵されており、幸せな時間は長く続きません。心を通わせ合っていく過程が幸せに満ちあふれていただけに、転がり落ちるようにバッドエンドへ向かう2人の姿が重く胸にのしかかります。
『百と卍』(祥伝社)や『雪と松』(ホーム社)など、切なさと甘さを併せ持った時代物BLは最近人気のジャンル。身分差や時代の波といったままならないものに翻弄されながらも、懸命に愛を貫く姿は現代物とは一味違った切実な魅力に満ちています。
『花椿秘恋唄~100年先まで【コミックス版】』を試し読みする
『僕たちがなくしたもの』
完結『僕たちがなくしたもの【電子版限定特典付き】』 全1巻 名目古グリズリー / ジュネット
【エロ度】★★★★★
すれ違う心と離れられない体が生んだ悲劇
幼い頃から「遊び」と称して、互いの体を弄り合う秘密の関係を持ち続けてきた光斗と俊哉。高校生になった今、異物挿入に女装プレイと、もう後に引き返せない爛れたものになっていました。しかし、光斗に彼女がいることが発覚したのをきっかけに、7年越しの関係が解消されることになり……。
「この遊びはいつでもやめられる」
「これは一時的なヒマつぶし」
お互いにそう割り切っていたつもりだった2人。しかし、俊哉は彼女を作ってもどこか満たされず、光斗はどんな手を使ってでも俊哉を手放したくないと思っている自分に気付いてしまうなど、関係の解消をきっかけに深みへとハマっていく歪んだ共依存関係にゾクゾクさせられます。一緒にいようといまいともう幸せにはなれない――そんな未来に絶望しながらも、共に堕ちていく光斗と俊哉はまさに理想のメリバカップル。普段は真面目で物静かそうに見える俊哉が、光斗とのセックスでは淫語を連発して乱れるというギャップも、2人のどうしようもなさを表していて最高です!
体が心を裏切りメリバエンドとなった光斗と俊哉。彼らと反対に、SMのプレイメイトという関係から気持ちを通わせるまでの過程を描いたのが『夜はともだち』(ふゅーじょんぷろだくと)。希望あるBLを読みたくなったら、こちらをどうぞ!
『僕たちがなくしたもの【電子版限定特典付き】』を試し読みする
『病みBL』
完結『病みBL』 全1巻 SHOOWA ・ 綺月陣 ・ 山本小鉄子 ・ 六青みつみ ・ 緒川千世 ・ タクミユウ ・ 倫敦巴里子 ・ 紺色ルナ ・ タカハシマコ ・ 麻生ミツ晃 ・ 黒田屑 ・ 大島彰子 / 海王社
【エロ度】★★★☆☆
ようこそ、めくるめくダークサイドの楽園へ
「病み」がテーマの作品を集めたアンソロジー。『ほんと野獣』(海王社)の山本小鉄子先生や『イベリコ豚』シリーズ(海王社)のSHOOWA先生ら豪華執筆陣がダークな物語を紡ぎます。
中でもメリバ好きにとってたまらないのが、紺色ルナ先生の「さよならバイバイまた会う日まで」です。義父からの性的虐待が原因で強迫性障害を発症し、他人と触れ合うことができない葵と、彼の恋人で幼馴染の椎名が主人公。生きているうちは互いに触れ合うことは叶わない2人は、葵が死んだら彼の体を抱くという約束を交わします。そしてその夜、再び義父に犯された葵は彼を殺して自らの命を断つ――すると椎名は葵との約束を果たすと、迷うことなく葵の後を追うのです。「何も死ななくても」「他に道があったはず」そんな仮定を全て拒絶するように、当たり前に死んでいく様が潔く美しい……。
葵との行為を終えた後に椎名が呟く
「だからやはりこの瞬間、死ななくてはいけない」
という言葉に、メリバの全てが凝縮されています。
その他にも、暴力を愛情表現と思い込む歪んだ男子高校生と他人を救いたいスクールカウンセラーの共依存関係を描いた麻生ミツ晃先生の「青いカルテ」や、殺してしまった恋人を食べることで究極の愛を完成させるSHOOWA先生の「I will be with you forever」など名作揃い! 様々なタイプのメリバに巡り合える贅沢な一冊です。
最後に
読後感は重たいものの、その分物語の奥深さを味わったり、様々な解釈を楽しむことができるメリバBL。「病み」「共依存」「執着」といったキーワードにキュンキュン来る方は、メリバBLの深淵をぜひ覗き込んでみてください。
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