おすすめケンカップルBL漫画7選【憎まれ口は愛情の裏返し】
互いを憎からず思っているはずなのに、顔を合わせれば必ずと言っていいほどケンカばかりしているカップル、それがケンカップルです。「ケンカ=仲が悪い」と思われがちですが、それは大きな間違い！ ぶつからずにはいられないほど、相手のことが気になったり、素直に愛情表現が出来なくてケンカ腰になってしまったり、そこには奥ゆかしい愛情表現が隠されているのです！
今回は、素直じゃない…だけどそこがいい！ おすすめケンカップルBL漫画を7作品ご紹介します。
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『飴色パラドックス』
『飴色パラドックス』 1～5巻 夏目イサク / 新書館
【エロ度】★★★☆☆
ケンカップルの魅力を知るにはまずはコレ！
写真週刊誌の編集部で働く記者・尾上（おのえ）は政治事件をなど扱う「政治班」に配属されるはずが、ゴシップネタがメインの「張り込み班」に異動することに。想定外の異動に凹んでいると、さらに最悪なことに、自分の元カノを奪った同期・蕪木（かぶらぎ）とコンビを組まされてしまいます。全く正反対の性格の2人は、何かにつけぶつかり合い、コンビはあわや解散かと思いきや……？
キャンキャンとうるさい小型犬系男子をかわいく描かせたら右に出るものはいない、夏目イサク先生の代表作であり超人気作品。とにかく受けの尾上がかわいすぎます！ プライドが高く、実力もあるはずなのに、ライバル視している蕪木に軽くあしらわれ、思ってることが全部顔に出て嘘がつけず、走らせると女子より遅い……。情けない面もありつつ、仕事に対してはまっすぐで妥協のない尾上に、ほだされない男がいるはずない！ 誰からも好かれるけど誰にも本心を見せない蕪木も、少しずつ尾上のことが気になるようになっていきます。仕事で四六時中一緒にいる2人が、ケンカしながらも、友情や信頼関係、そして恋愛感情を育てていく過程は、「ケンカップルの聖典」として世界中に布教して回りたいほどの尊さです…！
最初は、尾上が蕪木に一方的に噛み付くようなケンカをしていましたが、蕪木が尾上とその友人に嫉妬するケンカをするようになり、関係が深まるにつれてケンカの内容が変わっていくのもニヤニヤしどころです。もうここまでくると、ケンカも前戯の一部みたいに見えてくる不思議……。いつまでも末永く仲良くケンカし続けてほしいカップルです。
『新婚さん！』
完結『新婚さん！』 全1巻 ちしゃの実 / 竹書房
【エロ度】★★★☆☆
ツンデレ✕ツンデレ 愛情が煮詰まりすぎた、こじらせ系ケンカップル
西園寺京介と西園寺（旧姓・田中）宝は腐れ縁の幼なじみであり、ハワイで挙式済み＆養子縁組済みの立派な新婚夫婦。夫の京介は、社会への憎しみをぶちまけるSNSアカウントがフォロワー1万人を集める、こじらせにこじらせた男。ある日、宝が夜の営みを断ると、京介は「エロ本で抜いて浮気してやる！」と夜の街に飛び出していき……。
口は悪いけれど、内心は宝にベタ惚れな京介と、そんな京介をめんどくさがってツンツンしながらもしっかり惚れ込んでいる宝。「ごちそうさまでした」としか言いようがない、見事なケンカップルです。6才の時に初めて出会ってから20年間、いつでも一番そばにいた2人だからこその遠慮のないケンカっぷりと、普段はめちゃくちゃに口が悪いくせに、ラブラブモードになると「たかちゃん……」と宝に甘える京介のギャップが美味しい！
『飴色パラドックス』では、性格が正反対の2人がぶつかり合うのに対し、本作はどこか似た者同士だからこそケンカができる、「ケンカがコミュニケーションの一部」な2人。京介は宝と、宝は京介とじゃないと対等なケンカができないんだろうなと想像すると……萌えるしかありませんね…。どれだけひどいケンカをしても、戻る場所は互いの腕の中。最高のケンカップルです。
表題作のカップル以外に、西園寺夫婦の友人・鳴瀬が主人公の「おクズの恋愛」も収録。こちらでは暴君系人気イケメン俳優✕ビッチ系美人バーテンダーのカップルが、素直じゃないケンカを繰り広げます。西園寺夫婦よりもこじらせていて、一筋縄ではいかないケンカップルの物語は読み応え抜群！ ケンカップルの尊さを再確認させてくれる1冊です。
『ねこねこダーリン』
『ねこねこダーリン』 1～3巻 楢崎壮太 / ビーボーイ編集部
【エロ度】★★☆☆☆
犬猿の仲？ いえいえ、ただのバカップルです！
猫谷紗以（さい）は一見、普通の真面目な高校生ですが、心にショックを受けると黒猫に変身してしまう特異体質の持ち主。最近の悩みは、自分が生活委員の当番日を狙って遅刻してくる幼なじみの善治のこと。昔、猫に変身した瞬間を見られ、「こっちに来るな！」と拒絶されたのがトラウマになり、彼に苦手意識を抱えています。
無愛想で掴みどころのないイケメン・善治に対してツンツンとした態度を取ってしまう紗以ですが、端から見ていると「好きな子を意識しすぎてるのがバレバレでんがなーー！」という感じがビシバシ伝わってきて相当かわいいです。急に自分を構うようになった善治に対して、不信感と期待がごちゃまぜになった気持ちを抱え、悶々とする様子も思春期らしくて甘酸っぱい♡ 紗以が動揺すればするほど、「善治いいぞ、もっとやれ！」とけしかけたくなってしまいます。
また、猫に変身してしまう特異体質が、2人の関係にいい感じの波乱を起こしているのも素晴らしい！ 善治の匂い（フェロモン）に反応してうっとりしてしまったり、善治に彼女がいると勘違いしたときにはショックのあまり数年ぶりに猫になって部屋に引きこもったりと、盛大に善治に振り回されている紗以。表面上はどんなにツンツンしていても、善治のことが気になって仕方ない、彼の純情さにときめきが止まりません！素直じゃない紗以を振り向かせるべく奮闘する、善治の一途っぷりも萌えポイントです。
人間が猫に変身してしまうというファンタジー要素が魅力的な本作。実は紗以の弟・亜以が主人公の『ねこねこハニー』のスピンオフ作品なのです。こちらはメンタルが弱く、すぐ猫に変身してしまう亜以が、同級生の黒川に助けられながら、仲を深めていくというストーリー。楢崎壮太先生が描く、かわいい猫に惚れた！ という方にはこちらの作品もおすすめです。
『ばらの森にいた頃』
完結『ばらの森にいた頃』 全1巻 雲田はるこ / 祥伝社
【エロ度】★★★☆☆
昭和の香り漂うヤンキー2人が銭湯を舞台に育むケンカ愛
本作に収録されている短編「タクミとヨシキ」が、雲田先生イズムを感じさせる素晴らしいケンカップルです。暴走族の親衛隊長を務めるヨシキと愚連隊の三代目特攻隊長・タクミは犬猿の仲。しかし、タクミの実家である銭湯で顔を合わせるときだけは、一時休戦の協定を結んでいます。裸同士の付き合いが深まるうちに、ヨシキの胸中に、タクミに対する新たな感情が芽生え始めて……。
2人が会話を交わすのが、男同士の裸の社交場・銭湯ということで、男らしく筋肉がついているのにどこか柔らかそうでエロティックな裸体を存分に拝むことができます。また、普段はリーゼントヘアで強気にきめているタクミが、前髪をおろした濡れ髪になると妙にかわいらしくなるというギャップもたまりません！ そして、お風呂の中でどれだけイチャイチャしても、暖簾をくぐって外に出ると「仲良くしてやんのは風呂ん中だけだぞ」とケンカを再開する、お馬鹿ヤンキー感もおいしくいただけます。
雲田先生の描く、魅惑の曲線を持つ男体に魅せられた方にぜひ読んでみてほしいのが『新宿ラッキーホール』。新宿の片隅のアンダーグラウンドを舞台に、男同士の恋情と劣情が絡み合うエロティックな物語が満喫できます。
▼雲田はるこ先生の作品に関して詳しく知りたい方はこちらがおすすめ！
【全作品レビューあり】雲田はるこ大解剖！ BLから落語まで網羅する「くもはる」ワールドに迫る
『10DANCE』
『10DANCE』 1～5巻 井上佐藤 / 講談社
【エロ度】★☆☆☆☆
個性も性格も正反対の２人が魅せる、大人のケンカップル
社交ダンスの「ラテン・アメリカン」の日本チャンピオン・鈴木信也と「スタンダード」の日本チャンピオン・杉木信也。名前と体格が似ているもののダンスのスタイルは正反対という2人は、同じ舞台で戦うことはないはずでした。が、杉木に挑発され、スタンダード5種目・ラテン5種目の計10種目のダンスで競う「テンダンス」に挑戦することになります。互いの専門ダンスを教え合うレッスンではなかなか噛み合わない鈴木と杉木ですが、一緒に踊ることで互いのダンスの魅力に目覚めていき……。
雄々しい主人公2人が描かれた表紙に、手を伸ばすのをためらってしまう人もいるかもしれませんが、一度読み始めたら、溢れ出る大人の色気にノックアウト！ 本作の虜になってしまうこと間違いなしの名作です。キューバ育ちで情熱的なエロスの持ち主・鈴木と、上品で禁欲的な雰囲気の杉木。性質の違う2人が、
「顔が物欲しそうで卑猥」
「エロくないラテンダンサーなんて目も当てらんないだろ」
なんて、密着状態で言い争いながら踊る姿が、たまらなく萌えます……！ キャンキャン争うケンカップルもかわいいですが、どこか余裕を感じさせる大人のケンカップルも尊いのです！
鈴木のエロティックな腰つきや杉木の大胆かつ優雅な動きを、井上佐藤先生の卓抜した画力で描き切っているのも本作の魅力。ダンスを極めたチャンピオン2人だからこその、究極の求愛のようなダンスシーンは必見！ 直接的なBL表現は少ないものの、杉木にリードされた鈴木が
「姫になった!! 今なら子供いっぱい産めそうです！」
と頬を染める名シーンなど、ダンスを通して結びつきを強めていく姿に、こちらの女性ホルモンも分泌されっぱなしになること間違いなしです！
▼『10DANCE』に関して詳しく知りたい方はこちらがおすすめ！
競技ダンス漫画とBLの奇跡の融合『10DANCE』【ネタバレ注意】
『言い間違いは聞き手の粗相』
完結『言い間違いは聞き手の粗相』 全1巻 案丸広 / 竹書房
【エロ度】★★★☆☆
スポーツも勉強も学年1位！王子の片思いの相手は……？
成績優秀、スポーツ万能なモテ男・鳥坂勇介には、たった1人、一度も勝ったことがない相手がいます。それは鳥坂の幼なじみの王子さつき。何かにつけ競い合っていた2人ですが、ある日、定期テストで1位になった鳥坂は、8位にまで順位を落とした王子から、競うのはもうやめたと告げられて……。
2人の因縁の始まりは10年前。泣き顔がかわいい「さつきちゃん」を女子と勘違いして一目惚れした鳥坂が、真実を知ったショックで王子を激しく拒否したことから、互いをライバル視して張り合うようになる……というのは鳥坂側の見解で、実は王子は「鳥坂に好きになってもらうため」にスポーツや勉強を頑張っていたのでした！ 鳥坂も涙をこぼしながら本心を告白する「さつきちゃん」に心動かされ……って、結局10年越しの両片思いですね！
一度結ばれたことで犬猿の仲も丸く収まるかと思いきや、王子が満点で華麗に1位の座を取り戻し「もっと好きになってもらえるように もう10年頑張ることにした」と謎の競争継続宣言。これからも2人のケンカは続いていくのね、とほっこりさせてくれます。
案丸広先生の短編集『そのふたり、炎上中につき』にも、一風変わったケンカップルが登場します。ネット炎上を鎮火する「火消し屋」✕炎上を起こす「火つけ屋」というお仕事BLとしても個性的な本作。ライバル業者同士の諍いに、エロいお仕置きも絡み、読み応えたっぷりの贅沢な作品に仕上がっています！
『咬みつきたい』
完結『咬みつきたい』 全1巻 常倉三矢 / 芳文社
【エロ度】★★☆☆☆
優しく愛し合うだけがBLじゃない…ヒリヒリするような大人の恋愛を描いた
いつも自分の眼前に立ちふさがる同期・似鳥を疎ましく思っている、サラリーマンの志野。どうにかして似鳥に一泡吹かせてやろうと、彼が気に掛けているらしい後輩・常磐とベタベタすることで動揺を誘うという、姑息な作戦を企てます。
似鳥が思いを寄せていたのは、実は常磐ではなく志野でした。似鳥のテクニックに翻弄され一夜を共にしてしまった志野は、激しく後悔するものの、2人は時々体を重ねる関係に。仕事では太刀打ちできない似鳥に惚れ込まれ、求められることに優越感を覚える志野ですが、同時に男としてのアイデンティティが揺らいでいくのも感じます。「受け側は攻めから与えられる愛で満たされてしまっていいのか」という、BL全体に関わるような問題提起に対する志野の答えは、ゾクリとさせられる危うさと強い決意に満ちていて、クライマックスの彼の表情に思わず鳥肌が立ってしまいます。
「ケンカしつつもなんだかんだで両思い」という王道ストーリーとはひと味もふた味も違う、常に相手の喉元に牙を立て合うような、ヒリヒリするケンカップルBL。甘い恋愛だけでは満足できない人に、ぜひ手に取ってみてほしい作品です！
最後に
「恋愛対象として相手のことが好き」というだけでなく、敵対心、嫉妬、反発などさまざまな思いが錯綜するケンカップル。男同士の意地のぶつかり合いから生まれた複雑な感情をたっぷりと堪能できる、「これぞBLの醍醐味！」なジャンルといえそうです。王道系から変化球系まで幅広い作品が揃う人気ジャンルなので、必ずお気に入りのケンカップルに出会えるはずです。
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