教育 - 講談社作品一覧

  • なっとくする群・環・体
    値引きあり
    4.8
    読めばなっとく、現代代数学のエッセンス! 群・環・体ってどんなもの? わかったようでわからない代数学の基礎を、現代的応用も交えて明快な論理で解きほぐす。名著者・野崎先生が語る、新感覚の入門書!※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • なっとくする虚数・複素数の物理数学
    値引きあり
    -
    実例でみる、i(ルート-1)の物理数学。虚数は現実世界に存在するのか、しないのか? 答えはひとまずお預けにして、使えばわかる虚数のスゴさ。いろいろな実例でなっとく! ――いったい虚数とは、数学という閉じ込められた箱の中にだけあるものなのか。それとも現実の「どこか」に存在しているのか? ──(本文より)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • 戦場に舞ったビラ 伝単で読み直す太平洋戦争
    3.0
    「君達の指導者は嘘つきだ!」「馬鹿共眼ヲ醒マセ」。兵たちの太平洋戦争。「死戦を越えて誤戦となり」、「日海空軍は何処へ行つたのだらうか」、「日本降伏せり」――。太平洋戦争で撒かれた無数の伝単=宣伝ビラ。ビルマで、フィリピンで、沖縄で兵士は伝単に何を思ったか? 日米「情報戦」の実態を分析しつつ、兵それぞれにとっての「戦争」を明らかにする。(講談社選書メチエ)
  • 大江戸商い白書 数量分析が解き明かす商人の真実
    3.5
    零細店舗あふれる江戸の町。外食屋七〇〇〇軒。一二六人あたり一軒の古道具屋。米屋は一日三〇名程度の来店客――。十数年しか続かず、血縁原理も働かなかった商家がほとんどだった花のお江戸の商人たちの選択のドラマとは? 狭くて人口密度が高く、売り手買い手ともに自由な一大消費都市江戸の商いのありようとは? 四〇〇〇軒の商家を徹底的に数値解析することで、従来の大商家「越後屋=三井」史観に決別する。(講談社選書メチエ)
  • ひとは生命をどのように理解してきたか
    3.5
    科学は、何を生命として捉え、分析してきたか? 現代生物学が拠って立つ論理と成立構造とは? 「遺伝子」概念が孕む揺らぎとは? ダーウィン以前から、分子生物学や遺伝科学が急速発展するポスト・ゲノムの現代まで「生物学」の成立過程を辿り、「科学の見方」を哲学の視点から問い直す、生命のエピステモロジー。(講談社選書メチエ)
  • 義経の冒険 英雄と異界をめぐる物語の文化史
    -
    「義経」の物語は、どのように生まれ、そして時代とともに変容していったか。大国主から鬼の国に至るまで、物語の基層を探る旅! 一篇の御伽草子『御曹子島渡』を手に携えて、英雄・義経の物語をめぐる旅が始まる──。『古事記』の大国主神話、吉備真備入唐譚、坂上田村麻呂と悪路王、鞍馬寺の毘沙門天信仰、陰陽道、蝦夷ヶ島などなど、古代から近世までを縦断する義経物語の遍歴を検証し、跡づける冒険的力作! (講談社選書メチエ)
  • テクノリテラシーとは何か 巨大事故を読む技術
    -
    技術の失敗、社会の失敗に何を読み取るか。巨大事故から学び取ることは何なのか。原発、飛行機事故から頻発する医療ミス、銀行のシステムトラブルまで。従来の哲学、法制度では解決できない「人工物」をめぐる問題群。失敗の本質を解き明かし、〈ものづくりの知〉の姿を明らかにする1冊。(講談社選書メチエ)
  • 大英帝国の大事典作り
    -
    ブリタニカ、OED、DNB。大辞書、大事典プロジェクトにとり組んだ巨人たちの物語! 『ブリタニカ百科事典』Encyclopaedia Britannica 『オックスフォード英語辞典』Oxford English Dictionary 『イギリス国民伝記辞典』Dictionary of National Biography……。18世紀後半から19世紀後半にかけて、イギリス人はこの3つの大辞書、大事典を編纂した。世界をリードする気概にあふれた当時のイギリス社会は、なぜ、このような大事業を敢行したのか。それらは、どのように利用され、効果を発揮したのか。近代の知のインフラを整備した人々と歴史を検証する。(講談社選書メチエ)
  • 古代エジプト文明 世界史の源流
    4.5
    世界史の中で古代エジプト文明が果たした役割とは何か。ミノア、ヒクソス、アッシリア、ペルシア、ギリシア、ローマ……西洋世界の源流のひとつとしてエジプトを捉えたとき、まったく新たな歴史像が立ち上がる。最新の研究成果をふんだんに盛り込み、「外」とのインタラクションという視点の下にその興亡を描き直す、画期的試み! (講談社選書メチエ)
  • 聖なる王権ブルボン家
    4.7
    内戦を勝ち抜いたアンリ四世。実母と抗争するルイ十三世。「太陽王」ルイ十四世。愛人たちに溺れたルイ十五世。そして断頭台の露と消えたルイ十六世。強き王と華麗なる人間模様が織りなすフランス絶対王政の栄華と自壊を活写する。(講談社選書メチエ)
  • 稲作の起源 イネ学から考古学への挑戦
    5.0
    縄文稲作はなかった。稲作のルーツは焼き畑農業ではない。サトイモなど水辺の根菜栽培に起源を持つ、「株分け」栽培から生まれた。イネ学最先端の知見から水田稲作という世界の農業上、最もユニークな農耕発生のメカニズムを解明し、照葉樹林農耕論をはじめとする定説の書き直しを迫る。(講談社選書メチエ)
  • ロシアのユ-モア 政治と生活を笑った三〇〇年
    4.0
    「共産主義時代にも盗みはあるでしょうか」「ないでしょう。社会主義時代にぜんぶ盗まれていますから」体制にとって「危険な世論」でありつづけたアネクドートは、口から口へと広まる。辛辣に権力を嗤いつづけたロシア人の過激な「笑い」を通して、ピョートル大帝期から現代にいたる、激動のロシア300年を読む。(講談社選書メチエ)
  • 地図入門
    5.0
    地図とは地形や道路、建物などの現実を記号化すること。そのためには、さまざまな省略があります。地図の制作者はどのように現実を記号化するのでしょうか。「総描」「転位」とはどのような作業なのか? また、基準を決めるのも重要です。たとえば、海抜0メートルの決め方とは? 地形図と海図の基準の違いとは? 日本の近代以降の地図を中心に、読み方から楽しみ方まで紹介する入門書の登場です。(講談社選書メチエ)
  • 江戸東京地名辞典 芸能・落語編
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 古典落語を中心に講談、浄瑠璃、歌謡などに現れる江戸の地名を採録。秋葉の原、池の端、永代橋、お歯黒溝、神楽坂、角海老、兼康、思案橋、痔の神様、とげ抜き地蔵。落語・講談・浄瑠璃・狂歌など大衆芸能にはその時代々々の地名が人々の日常を伴って生き生きと登場する。江戸・明治期のこれらの地名はその後どこへ消え、どう変わったのか。町名、橋・坂名、寺社、大名家、妓楼など1500余を収録し、解説する。(講談社学術文庫)
  • 魔女狩り 西欧の三つの近代化
    -
    15世紀後半~18世紀後半、4万人以上の魔女が殺戮された。中世ではなく、近代黎明期に魔女狩りが大流行したのはなぜか? 「魔女狩りとは何か」という問いかけは、「ヨーロッパ近代とは何か」とイコールである。魔女狩りとヨーロッパ近代誕生の関係を新視点から解き明かす。視覚文化論、哲学、宗教学的な知見を盛り込み、魔女狩りの歴史研究を通したヨーロッパ近代化論、および人間存在と人間文化を探究した冒険的著作です。(講談社選書メチエ)
  • 日本の戦争と宗教 1899-1945
    4.0
    「悪魔を懲らしめねばをかぬ」、「これは日本信仰と西洋思想との戦いである」――。「殺生」を禁ずるはずの宗教が、戦争、そして戦争協力を正当化するに至った論理とは。大日本帝国の時代、ミッションスクールでおこなわれた神道儀礼、銃後の守りを演出する戦没者法要、海外につぎつぎと建立される神社など、諸宗教の軍・政府との相互依存の全貌を、非戦論・抵抗の系譜とともに描き出す。(講談社選書メチエ)
  • アテネ民主政 命をかけた八人の政治家
    4.0
    数多くの市民が直接政治に携わり、特定の個人に権力が長期間集中するのを極力避ける、という徹底した直接民主政を約180年にわたって安定持続させた古代ギリシア屈指のポリス、アテネ。成功すれば最大限の名誉を与えられ、ひとつ間違えば弾劾裁判で死罪になるという「緊張状態」にさらされながら、政治家であろうとした8人の男たち。その生の軌跡を追うことで見えてくる、古代ギリシア精神の真髄と民主政治の原点とは?(講談社選書メチエ)
  • アイヌの歴史 海と宝のノマド
    3.8
    宝を求め、サハリン・アムール川流域に進出する戦うアイヌ。激しい格差、サケ漁をめぐる内部対立、「日本」との交渉――社会の矛盾に悩むアイヌ。北の縄文から近世まで、常識を覆すダイナミックな「進化と変容」。(講談社選書メチエ)
  • 穢れと神国の中世
    3.0
    東北から九州まで共通して見られる、死と出産を「穢」とみなす民俗習慣。その観念の起源をめぐる探究は九~十世紀に制定された『延喜式』に行き当たる。数多くの史料を、当時の息づかいがわかるように参照し、「穢」という不可思議な意識と社会秩序感覚が生み出された過程を明らかにする。挑戦的な歴史学の試み。(講談社選書メチエ)
  • 浜口雄幸と永田鉄山
    4.0
    第一次世界大戦の未曾有の惨禍は日本指導層に甚大な衝撃をもたらした。もはや進むべき道は国際協調以外にないと対中融和を含む協調路線に賭けた浜口。最終戦争は必至と満蒙・華北領有を含む軍中心の総力戦体制の構築を計った永田。ともにテロに斃れた2人の国家存亡を巡る究極の対立を描く。(講談社選書メチエ)
  • 日本文法 口語篇・文語篇
    値引きあり
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 日本を代表する国語学者の代表作「口語篇」(1950年)と「文語篇」(1954年)を1冊に収録した初の文庫版。 ヨーロッパの言語学に依拠した明治以降の国語学に抗して独自の体系を築いた稀代の学者・時枝誠記(1900-67年)。人間の心の中で起きる言語の働きに注目し、言語を実体的な対象として捉えることを拒む時枝は、文の構成要素となってそれに対応する意味を生み出す「詞」と、それを心の中で生きさせる働きそのものである「辞」を区別する。そして、「辞」が「詞」を包含し、そのまとまりがより大きなまとまりに包含されていく「入れ子構造」を基本に据え、「言語過程説」と呼ばれる独自の理論を築き上げた。 言語過程説は『国語学原論』(1941年)として発表されたが、この一般理論は具体的な日本語を説明できなければ、単なる理論で終わってしまう。だから、時枝は口語と文語のそれぞれについて、文法の詳細な解説を形にする必要があった。それこそが、本書にほかならない。 「時枝文法」の全容を明らかにした本書は、日本語に潜む文法の実相を、広い読者に向けて、全力で説き明かそうとした渾身の作であり、日本語について考える上で避けて通ることのできない不滅の古典である。読みやすさに配慮して旧字体は新字体に変えつつも、かな遣いについては時枝自身が望んだ「旧かな遣い」を保持した本文庫版を、前田英樹氏による情熱あふれる「解説」とともに味読する喜び。 【本書の内容】 [口語篇] はしがき 第一章 総 論 第二章 語 論 第三章 文 論 第四章 文章論 [文語篇] はしがき 第一章 総 論 第二章 語 論 第三章 文 論 第四章 文章論 注意すべき動詞活用例 解 説(前田英樹)
  • ぴかりか ノーベル賞受賞者列伝
    -
    1巻1,760円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 科学をおもしろく学べるシリーズ 誕生! 「ぴかりか」は子どもにとって興味がわきやすく、そして調べ学習にもつかえる内容を、わかりやすくまとめたシリーズです。 どこから読んでもおもしろい、豊富なトピックが魅力。 むずかしい言葉の説明や、復習クイズ、人物まとめ、さまざまな切り口からノーベル賞受賞者を解説するコラムも充実。 たくさんの図や写真と共に、たのしく学べます。 小学5年生以上 第1弾は「ノーベル賞受賞者列伝」。 ノーベル賞を受賞した11人の人生や研究内容を学んでみよう! 深く知ることで、いろいろなつながりが見えてきます。 「iPS細胞」「中間子」「DNAの合成」など、むずかしい内容は深掘りして、ていねいに解説してあり、 コラムも充実なので、小学生から大人まで楽しめます。 1 iPS細胞で医療の可能性を広げる 山中伸弥 2 天才だって、後悔する アルベルト・アインシュタイン 3 日本人初のノーベル賞受賞者 湯川秀樹 4 レントゲン検査に名を残す ヴィルヘルム・コンラッド・レントゲン 5 ノーベル賞を2回受賞した女性科学者 マリー・キュリー 6 ノーベル化学賞を受賞した、原子物理学の父 アーネスト・ラザフォード 7 結核から人々を救った細菌学の父 ロベルト・コッホ 8 自分の体で心臓カテーテルの実験をした ヴェルナー・フォルスマン 9 年齢差12歳の名コンビ ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリック 10 DNAの合成に関わる「酵素」を発見! アーサー・コーンバーグ プラスワン(コラム) そもそもノーベル賞って何? ノーベル賞を受賞した日本人 身近なところにもあるよ! ノーベル賞をとった研究 自分の体で実験した科学者 コラムも含めて登場するノーベル賞受賞者は68人! <監修者> 若林 文高 国立科学博物館名誉研究員。元国立科学博物館理工学研究部長。1955年東京生まれ。京都大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科修士課程修了。専門は触媒化学、物理化学、化学教育、化学普及。博士(理学)。
  • 黄禍論 百年の系譜
    -
    アメリカが取り憑かれ続けてきた強迫観念―「アジア人が攻めてくる!」 中国が日本と結び、西洋世界へと牙を剥く。驚異的な人口のパワーに、欧米は飲み込まれてしまう…… こうした「黄色い禍」という強迫的観念は、日露戦争で日本がロシアに勝利したことをきっかけに生まれた。 そしてこの「人種主義的思考」は、西海岸に多くの日系移民が押し寄せたアメリカにおいてはとりわけ強く刻まれ、形を変えながら現在に至るまで、社会・政治のなかに脈々と息づき続けている。 「我々は白人種と交わることのない人々から同質な人々を作り出すことはできない」 ―ウィルソン(第28代米大統領・国際連盟提唱者)が署名したアジア人移民排斥を訴える文書 「黒人はアフリカに、黄色人はアジアに、そして白人はヨーロッパとアメリカにいるべきだと強く思うんだ」 ―トルーマン(第33代米大統領)が妻に送ったラブレター コロナ禍によって黄禍論的思考はいまだ欧米社会に根を張っていることが明らかとなり、アメリカでは人種をめぐる対立がいまもってなお深刻であることが露となったいま、トランプ大統領を生み出したアメリカ社会に100年以上根づく「人種主義的思考」の歴史をひもとかなければならない。 【本書の内容】 東洋人の群れ ―「日中同盟」の悪夢 幻の「人種平等」 ―国際連盟設立と人種差別撤廃案、そして排日移民法 汎アジア主義の勃興と破綻 戦争と人種主義 消えない恐怖 ―冷戦下の日米関係 よみがえる黄禍論
  • シルクロード世界史
    4.6
    かつて、「歴史」を必要としたのは権力者だった。権力者は自らの支配を正当化するために歴史を書かせた。歴史家は往々にして、権力者に奉仕する者だったのである。しかし、近代歴史学の使命は、権力を監視し、批判することにこそある。近代世界の覇権を握った西洋文明を相対化し、西洋中心史観と中華主義からの脱却を訴える、白熱の世界史講座。 近代以前の世界では、中央ユーラシア諸民族の動向が、歴史を動かしていた。騎馬遊牧民はどのように登場し、その機動力と経済力は、いかに周辺諸国家に浸透していったのか。シルクロードのネットワークを媒介とした「前近代世界システム論」とは。ソグド人やウイグル人のキャラバン交易や、キリスト教の最大のライバルだったマニ教の動向などを、ユーラシア各地に残る古文書、石碑の読解から得たオリジナルな研究成果をもとに解明していく。そこから見えてくるのは、あらゆるモノは歴史的所産であり、文化・言語・思想から、政治・経済活動まで、すべては変化し混ざり合って生み出され、純粋な民族文化や普遍的な国家など存在しない、という真実である。さらに、近年日本で発見されて世界的な注目を浴びるマニ教絵画から、日本伝来の史料で明らかになるシルクロードの実像まで。「興亡の世界史」シリーズ最大の話題作『シルクロードと唐帝国』の著者による、待望の書下ろし。
  • 喧嘩両成敗の誕生
    4.5
    中世、日本人はキレやすかった!大名から庶民まで刃傷沙汰は日常茶飯、人命は鴻毛のごとく軽かった。双方の言い分を足して二で割る「折中の法」、殺人者の身代わりに「死の代理人」を差しだす「解死人の制」、そして喧嘩両成敗法。荒ぶる中世が究極のトラブル解決法を生みだすまでのドラマ。
  • 鎖国前夜ラプソディ 惺窩と家康の「日本の大航海時代」
    3.0
    朝鮮出兵を経て成し遂げられた徳川の天下統一。そんな、日本をはじめとする諸国が平和を希求し、新たな国家形成と国際関係をさぐる時代に現出した「日本の大航海時代」。東アジアのみならず東南アジアをも舞台に交錯する人びとの理想、理念、思想、そして政治と欲望。戦乱と「鎖国」のはざまに二つの精神の邂逅がもたらした、自由と寛容さを追求する時代の実像を大胆に描き出す。
  • モンゴル帝国誕生 チンギス・カンの都を掘る
    4.0
    13世紀にユーラシアの東西を席巻したモンゴル帝国。その創始者、チンギス・カンは、質素倹約、質実剛健なリーダーだった。それを物語るのが、著者が近年、発掘成果をあげているチンギスの都、アウラガ遺跡である。良質の馬と鉄を手に入れ、道路網を整備することで、厳しい自然環境に生きるモンゴルの民の暮らしを支え続けたチンギスの実像を、さまざまな文献史料と、自然環境への科学的調査を踏まえ、気鋭の考古学者が描く。
  • 俗語発掘記 消えたことば辞典
    -
    メッチェン、モダンガール、ニコポン、人三化七、土曜夫人、ヤンエグ、アッシー君……消えて行った日本語=死語、そのなかでも一段品の落ちる単語=俗語ばかりを収録。辞典風に五十音順に並べ、さらに詳細な説明や派生を加えた。俗語研究の第一人者による、ひとつの近代日本史。
  • 偏差値20台から医学部合格したけど、何か質問ある? カリスマ講師の最強受験術
    -
    3000人の受験生を医学部に合格させたスゴ腕講師が教えるその秘密。合格できそうにない子、やる気の出ない子をどのようにして合格させてきたのか。医学部受験生の親、わが子の将来を考えている親は必読!!
  • 都市の起源 古代の先進地域=西アジアを掘る
    4.0
    「都市の起源」を探究することは、文明の起源を知ることである。従来、「世界最古の都市」とされてきたエリコ遺跡は、近年、その「都市説」が見直されている。本書では、イラクのウルク遺跡と、シリアのハブーバ・カビーラ南遺跡を「世界最古」の有力候補とし、さらに、メソポタミア各地の遺跡を検討。人の移動、すなわち「よそ者」の流入を契機に快適な生活空間への工夫がなされ、同時に人々の「格差」が生まれるまでを解明する。
  • 世界史の図式
    3.0
    七つの地域世界と「優位勢力」の移り変わりから、歴史の大きな「図式」と「流れ」を掴む「世界史再入門」。世界史とは、七つの地域世界が、時代によって「支配する側」と「支配される側」とに分かれ、興亡を織りなす過程である。まず、ランド・パワーを拡大させた中東地域が、その後、シー・パワーを展開したヨーロッパが、20世紀には、エア・パワーを手にしたアメリカが覇を唱える。自然環境も視野に入れ、今後の展望まで語る。
  • 終戦後史 1945-1955
    -
    敗戦、GHQによる占領、独立。農民・労働者・女性・子どもの地位向上と、復員・引揚者への冷淡なまなざしという社会的権力関係の逆転。戦勝国に対する敗戦国の屈折したナショナリズムと、大衆にまで浸透するアメリカ型消費文化。自由経済か統制経済か、保守一党優位体制か、政権交代を伴う二大政党制か――。いくつもの国家像を模索し、新しいかたちを選び取っていった転換期日本の歴史空間を再現する。(講談社選書メチエ)
  • フリーメイスン もうひとつの近代史
    4.0
    謎めいた存在ゆえに、陰謀論の格好の対象となるフリーメイスン。秘密に包まれたイニシエーションの実態とは? 「自由、平等、兄弟愛」などキリスト教ルーツの価値観を政治から切り離し、「普遍価値」として復権させることが彼らの使命である。アメリカ独立戦争、フランス革命から『シャルリー・エブド』事件まで、フリーメイスンの誕生と変容を辿りながら、西洋近代をもうひとつの視点からとらえなおす。(講談社選書メチエ)
  • 〈学級〉の歴史学 自明視された空間を疑う
    4.2
    理想論・タテマエ論への違和感の根源――「学級」という幻想! 我々はどうして席に座って教師の話を聞いていたのか? それは教育の普遍的システムなのか? 〈崩壊〉という事態は何なのか? 近代の発明品〈学級〉の歴史性と限界を暴き、自明視された空間で暮らす子どもと教師を救済する! (講談社選書メチエ)
  • ティムール帝国
    4.0
    「チンギス・ハンは破壊し、ティムールは建設した」――。一四世紀から一五世紀にかけて、中央ユーラシアの広大な領域を統合した大帝国。現世の楽園とも言える庭園(バーグ)を数多く建設し、青に彩られた帝都サマルカンドとその周辺に高度な文化を花開かせた帝国はいかにして繁栄したのか。マムルーク朝やオスマン帝国など西アジアの敵対勢力をも打ち破った創始者ティムールと後継者たちの知られざる実像に迫る。(講談社選書メチエ)
  • 町村合併から生まれた日本近代 明治の経験
    4.0
    明治七年の町村七万八〇〇〇、明治二二年の町村一万六〇〇〇弱。明治の大合併、それは新たな境界線を社会に引く試みだった。あいつぐ町村からの異議申し立て、合併後も紛争を抱える自治体……。近世の地縁的・身分的共同体というモザイク状の世界から、近代の大字-市町村-府県-国家という同心円状の世界へ。府藩県三治制、大区小区制、そして明治二二年の大合併にいたる「地方制度」の変遷をたどりながら、近代社会を問い直す。(講談社選書メチエ)
  • 小説作法
    -
    瀬戸内寂聴、吉村昭、河野多惠子、津村節子、新田次郎ら錚々たる作家を輩出した同人誌『文学者』を主宰し、文壇の大御所として絶大な人気を博していた昭和二十年代後半、『文學界』に連載され、異例の反響を得た名著。人物の描き方から時間の処理法、題の付け方、あとがきの意義、執筆時に適した飲料まで。自身の作品を例に、懇切丁寧、裏の裏まで教え諭した究極の小説指南書。
  • 戦国日本を見た中国人 海の物語『日本一鑑』を読む
    4.0
    16世紀半ば、戦国時代の日本をルポルタージュした中国人がいた。その後すっかり忘れ去られていた貴重な記録『日本一鑑』には、いったい何が書かれているのか。明清時代の中国を、ユーラシアの陸と海から大きな視点でとらえた著作で高く評価される著者が、日本の戦国時代を描き直す意欲作。 1523年、戦国日本の有力者、大内氏と細川氏が日明貿易をめぐって争い、中国の港町を争乱に巻き込んだ「寧波事件」は明朝に衝撃を与えた。密貿易と倭寇への対策に悩む朝廷の命を受けて、日本の調査のために海を渡ったのが、『日本一鑑』の著者、鄭舜功である。「凶暴、野蛮な倭人」という従来の先入観にとらわれない鄭舜功の視線は日本の武士から庶民におよぶ。生活習慣や日本刀の精神性、切腹の作法、男女の人口比など多岐にわたって、凶暴なるも礼節を重んじ、秩序ある日本社会を描いている。 また、日本さらに畿内への詳細な航路の記録は、当時の日本の政治・軍事状況を映し出す。九州の東西どちらを通るのか、瀬戸内航路か太平洋航路か――。しかし、大きな成果をあげて帰国した鄭舜功には、過酷な運命が待っていたのだった。 本書によって、日本の戦国時代は、応仁の乱から関ヶ原の合戦へという「陸の物語」ではなく、実は日本からの銀の輸出と海外からの硝石・鉛の輸入を主軸とする「海の物語」であったというイメージが、新たに像を結んでくるだろう。 目次 はじめに─―忘れられた訪日ルポには何が書かれているのか 序 章 中世の日本を俯瞰する 第1章 荒ぶる渡海者 第2章 明の侠士、海を渡る 第3章 凶暴なるも秩序あり 第4章 海商と海賊たちの航路 終 章 海に終わる戦国時代 あとがき
  • 中華を生んだ遊牧民 鮮卑拓跋の歴史
    4.0
    中国の歴史は、統一王朝時代と分裂時代の繰り返しである。そして、漢族と北方遊牧民との対立と融合の歴史でもある。なかでも、秦漢帝国が滅亡した後の「魏晋南北朝時代」は、それまでの「中華」が崩壊し、「新たな中華」へと拡大・再編された大分裂時代だった。この「中国史の分水嶺」で主役を演じたのが、本書の主人公、拓跋部である。 拓跋部は、モンゴル高原の騎馬遊牧集団・鮮卑に属する一部族だった。3世紀、部族国家を築いて歴史に登場し、386年には拓跋珪が北魏王朝を開いて、五胡十六国の混乱を治めた。 北魏では、皇太子の母が死を賜る「子貴母死」や、亡き父の妃を息子が娶るレビレート婚など、遊牧社会の伝統を残しつつ、雲崗・龍門の石窟寺院で知られる仏教文化や、名君・孝文帝の漢化政策により文化の融合が進み、「新たな中華」が形成された。北魏の首都・洛陽の平面プランは、唐の都・長安に受け継がれ、さらに奈良・平城京へともたらされるのである。 北魏は6世紀に東西に分裂するが、その後、中国を統一した隋王朝、さらに大唐帝国の支配層でも拓跋部の人々は活躍し、「誇るべき家柄」となっていた。「夷狄」「胡族」と呼ばれた北方遊牧民の子孫たちは中国社会に溶け込みつつも彼らの伝統を持ち込み、「中華文明」を担っていったのである。 目次 はじめに――分裂と夷狄・胡族の中国史 第一章 拓跋部の故郷――遊牧と伝説                             第二章 部族を集めろ――「代国」の時代 第三章 部族を再編せよ――北魏の成立 第四章 中華の半分を手に――胡漢二重体制 第五章 中華の中心へ――孝文帝の「漢化」 第六章 胡漢融合への模索――繁栄と分裂 第七章 誕生! 新たな中華――隋唐帝国の拓跋 おわりに――なぜ中華文明は滅びないのか あとがき 参考文献 索引
  • 室町社会の騒擾と秩序 [増補版]
    4.0
    「ハードボイルド」で「アナーキー」な、現代人には到底受け入れがたい中世社会を活写しながら、そこに存在する中世人独自の秩序を魅力的に描いてきた著者の原点! 「荘園制と室町社会」および原本に未収録だった幻の博士論文「序章」の一部と「終章」を収録。「喧嘩両成敗」も「大飢饉」も「耳鼻削ぎ」も、すべてはここから始まった――。  流罪に処されると、そのほとんどが道中で殺害されてしまい流刑地にたどり着くことさえできない一方で復讐を目的に自害し、また諸大名の軍勢が御所を取り巻いて将軍に異議申し立てを行うかと思えば、没落が確定した大名屋形には都市民衆が火事場泥棒に押し寄せる――。室町時代は現代人の目にはなんとも騒がしく物騒な社会に映る。しかし、それはよく言われる「自力救済」の暴力のみが支配する無秩序なものでは決してなかった。多様でいささか奇異な法慣習や民間習俗を分析対象としながら、その背景にある複雑で微妙なバランス織りなされる中世人の論理を、著者ならではの筆致で活き活きと豊かに描き出す。  さらに、そのようないわば中世的文化の「野蛮さ」が、江戸時代最初の100年を通していかに変容しひっそりと払拭されていくのか、それでもなお残りつづけているものとは何なのか、各主題を通じてその変容が浮かび上がる。  禁酒令、耳鼻削ぎ刑、梟首(晒し首)、都市民衆に開かれた禁裏など、魅力あふれる意外な視点から、中世社会を動的かつ大きな展望のもとに描いたデビュー作の決定版! (原本:吉川弘文館、2004年) 【本書の内容】 序章 ふたつの室町文化    第1部 室町社会の法慣習 第一章 「御所巻」考――異議申し立ての法慣習 第二章 中世社会の復讐手段としての自害――復警の法慣習 第三章 政権抗争劇のなかの都市民衆――掠奪の法慣習 第四章 室町幕府「流罪」考――失脚者の末路をめぐる法慣習 第五章 室町殿の紛争解決法――紛争解決の法慣習    第2部 室町時代の都市生活 第一章 足利義持の禁酒令について 第二章 正長の徳政一揆と山門・北野社相論 第三章 ある室町幕府直臣の都市生活――『碧山日録』と「春公」についてのノート 第四章 荘園制と室町社会    第3部 戦国時代の文化変容 第一章 室町後期における都市領主の住宅検断 第二章 織豊政権の成立と処刑・梟首観の変容 第三章 「耳鼻削ぎ」の中世と近世 第四章 戦国期における禁裏空間と都市民衆 終 章 あとがき 学術文庫版あとがき
  • 近代アジアの啓蒙思想家
    4.0
    香港に国家安全維持法を導入した習近平の中国、ミャンマーの軍事クーデタ、フィリピンで強権をふるうドゥテルテ大統領など、現在、アジアの国々で、自由と人権の尊重、民主主義といった近代の潮流とは逆方向の動きが目立っている。アジアではこの100年余り、西欧起源のこうした思想と原理で自国を作り替える試みが続いてきたが、いまだ完全に自らのものとするに至っていないのである。しかもこうした「逆方向の動き」は、アジアのみならず、欧米社会でも起こっている。 そもそも、ヨーロッパに生まれた「啓蒙思想」は、アジア各地の知識人にどんな衝撃を与えたのか、そして、彼らはどんな社会をめざしたのか。アジア各国の啓蒙思想家の生涯から、近代アジアの苦闘の歴史と、現代にいたる矛盾をとらえ直す。 序章では、その最初期のモデルとしての福沢諭吉を取り上げる。以下、中国で革命を志した陳独秀と胡適、インドネシアの女性運動の先駆者カルティニ、インドのネルーとガンディー、朝鮮の儒教知識人・朴泳孝、日本に近代化を学んだベトナムのファン・ボイ・チャウ・・・。いずれも、アジアの進むべき道をしめした「道先案内人」であり、日本の啓蒙思想家・中江兆民が言うところの「種を播いた人」であった。そして、「啓蒙思想」は過去のものではなく、それを実現するための運動は今も受け継がれて「現在進行形」なのである。
  • イブン・ジュバイルの旅行記
    3.5
    本書は通称「イブン・ジュバイルの旅行記」、原題「旅路での出来事に関する情報覚え書き」の全訳です。才智あふれるジュバイルが美文で綴ったこの「旅行記」は、12~13世紀にあっては優れたメッカ巡礼案内として広く読まれ、また後にはイブン・バットゥータ(14世紀)などの旅行記のお手本とされ、多くの旅行記編者が都市の記述を「借用」してきました。そして現在、中世イスラム社会の事情を知る上では欠かせない、貴重な文献となっています。  敬虔なイスラム教徒で、ムワッヒド朝のグラナダ太守に書記として仕えていたジュバイルは、太守が戯れに「酒盃七杯飲むべし」と下した厳命に抗えず、禁を犯してしまいます。それを悔いた太守が盃七杯に金貨を満たして与えると、ジュバイルは罪を償うためにその金貨を元手にメッカ巡礼に旅立ちました。キリスト教徒の巡礼者と同船してアレクサンドリアへ。メッカでは大モスクやカアバ神殿の威容に触れ、メディナからバグダッドへ。そして「東方の真珠」ダマスクスでウマイヤ大モスクに圧倒され、十字軍支配下にあったエルサレムでは、かのサラーフ・アッディーン(サラディン)の勝利の目撃談に触れる……。ベドウィンの襲撃、船の難破に遭うなど、艱難辛苦の旅を詳述した「旅行記」ですが、十字軍時代の地中海東方事情を知るための基本図書でもあります。 〈原本:『旅行記』関西大学出版部、1992年〉 【目次より】 まえがき(監訳者による) 1 グラナダ~エジプト 2 メッカ巡礼 3 聖都メッカ 4 メディナ~バグダード 5 マウシル~アレッポ 6 ダマスクス 7 アッカ 8 シチリア~アンダルス
  • ヨーロッパ世界の誕生 マホメットとシャルルマーニュ
    4.3
    「地中海世界」の没落と「ヨーロッパ世界」の誕生、その背後で決定的役割を果たしたイスラムへの着眼――。歴史家が晩年の20年に全情熱を傾けたテーマ。ピレンヌの集大成にして、世界的に参照され続けている古典的名著、待望の文庫化!
  • 戦国時代
    4.0
    大名はいかに戦ったか。民衆はいかに生き抜いたか。日本はいかに変容したか。戦後日本史学の巨人が、戦国時代というものの全体像を描き出した決定的論考。戦国大名たちはいかに統治し戦ったか。人々はいかにして戦乱の時代を生きたか。新技術によって木綿や鉄砲が普及し何が変わったか。後北条氏の台頭から豊臣政権まで、時代の全体像と動因を、明晰かつ生き生きと描き出す!―四つの「時代を見る目」で読み解く―第一に、群雄だけでなく全社会層の動きを構造的にとらえる。第二に、動乱のもたらす社会変動を、もっとも深奥から考える。第三に、革新と創造の時代として描く。第四に、世界史的な視野の中で見通す。解説(本郷和人・東京大学史料編纂所教授)より―永原の研究成果は、対峙する人間を選ばない。どんな立場から歴史を研究するにせよ、それが実証的であれば必ず、彼の到達に直面する必要に迫られる性質のものである。研究者は永原の提示した推論に学ぶ。それを学んで、乗り越えるべく努力を重ねていく。ある研究者は、努力の末に、永原論のある部分を乗り越えることに成功するだろう。ある研究者は懸命に挑戦しても、永原論の確かさを追認するだけにとどまるだろう。ともあれ、彼の研究業績は、後からやってくる研究者のチャレンジを静かに待っている。乗り越えられることを待っている。この意味で永原は実にフェアーで、尊敬すべき先達なのだ。中世史の良心というべき偉大な研究者、それが永原である。※2000年刊『戦国時代 16世紀、日本はどう変わったのか』(小学館ライブラリー)上下巻の合本復刊【主な内容】戦国時代の開幕惣・一揆と下克上の社会状況「世界史」の成立と新技術関東・東北の争覇戦中国・四国の戦い軍事力の構成領国経済体制都市と商人九州の情勢とキリシタン大名畿内政権と京・堺大名国家と日本国織田信長の進出一向一揆と本願寺「天下布武」
  • 大正=歴史の踊り場とは何か 現代の起点を探る
    4.0
    大正時代、都市化の進行や人々の意識の変化は、明治に始まった「官製の近代化」とは質の違う近代を歩み始めたのではないか。新しい社会・思想の源があったのではないか。「震災」「民生」「学区」「趣味」「娯楽」「サラリーマン」「職業婦人」「専業主婦」「地方(ぢかた)」「自由」など、この時代の言葉に着目、その発生や流行の社会状況を立ち上がらせながら、現代の社会や暮らし方の起点となった時代を読み解く。
  • 革命論集
    -
    稀代の革命家アントニオ・グラムシ(1891-1937年)が1914年10月から逮捕・収監される直前の1926年10月に残した論考群。イタリア共産党結成に参加し、逮捕状を出されながらもムッソリーニのファシスト政権と対決し続けたグラムシは執筆活動でも戦闘を展開した。のちの「獄中ノート」に結実する独自の思想の土壌を形成する時期の論考を精選・収録した本書は、その大部分が本邦初訳となる第一級の文献である。
  • アメリカ 異形の制度空間
    4.5
    アメリカとは単なる地名でもなければ国名でもない。キリスト教旧世界が新たな大地に作り出した制度空間の名である。1492年、コロンブスにその一端が「発見」された新天地。西洋から見て「無主の地」は「法的所有」の対象となった。征服と植民により獲得され拡大する新世界。そこに教会・旧制度から逃れるように<自由>と<個人の自立>の観念が生い茂る。今や世界の隅々に浸透しているその根強い規範性の由来を探る。
  • 易、風水、暦、養生、処世 東アジアの宇宙観(コスモロジー)
    3.0
    万物を生み出す気の循環。陰陽五行の八卦。古代中国から江戸の日本社会まで、深く浸透してきた東アジアの宇宙観(コスモロジー)を、易、風水、暦、養生、処世の5章に分けて、はじめてその全体像を描き出した力作。ここに、21世紀を生きる知恵がある!
  • プラントハンター ヨーロッパの植物熱と日本
    -
    19世紀イギリス。誰も知らない珍しい花や樹々を求め、国中が沸きたっていた。この要求に応えて世界をかけめぐるプラントハンターたち。ラン、チャ、ユリ……。エキゾチックなあこがれを満たすべく、彼らはジヤワ、中国、そしてニッポンをめざす。豊富な文献渉猟から植物をめぐる文化交流をあざやかに位置づけた力作。(講談社選書メチエ)
  • 精神分析と自閉症 フロイトからヴィトゲンシュタインへ
    4.5
    フロイト、ヴィトゲンシュタイン、自閉症理解の変更を迫る画期的試み! 永らく精神分析の「躓きの石」であった自閉症。両者の不幸な出会いを、フロイト思想の原点「心理学草案」に戻ることによって解消し、さらにはヴィトゲンシュタインの思考を媒介に、新たな自閉症理論を構築する。(講談社選書メチエ)
  • 魂と体、脳 計算機とドゥルーズで考える心身問題
    4.0
    ライプニッツのモナドロジー、ベルグソン『物質と記憶』、ドゥルーズ『シネマ』『襞』……「私の発生」をめぐる思考をシミュレーションする! 本当に存在するものは何だろうか? 私の「今・ここでの体験」だろうか? それとも、他人からみた「物質としての脳」だろうか? もちろん、両方だろう。ところが、そう言った瞬間、「私の」体験と「他人からみた」脳を結ぶメカニズムが知りたくなる──ライプニッツのモナドロジー、ドゥルーズの思考を、コンピュータ・シミュレーションで展開。心身問題への新たなアプローチがはじまる! (講談社選書メチエ)
  • 日本陸軍と内蒙工作 関東軍はなぜ独走したか
    4.5
    エリート軍人はなぜ独走しかつ失敗するのか。壮大かつ無謀な内蒙古独立工作はなぜ立案されたのか? 対ソ連・対中国の陸軍基本方針から陸軍軍人のメンタリティーに至るまで、必然の失敗に至る構造的欠陥を新資料を駆使して分析する。(講談社選書メチエ)
  • フィリピンBC級戦犯裁判
    3.0
    独立国家として歩み出したフィリピン政府は、戦後の国際状況と対日関係、そして激しい国民の怒りを前に、この裁きに、どのような意義を見出し、困難に直面したか。一五一名の被告は、いかにして裁かれ、獄中を過ごし、そして処刑、恩赦に至ったか。日比両国の数多くの資料と当事者たちの証言を丹念に検証し、これまで様々に語られてきた戦犯裁判という問題に、実証の光を当てる試み。(講談社選書メチエ)
  • 愛と欲望のナチズム
    4.0
    すべての性欲を解放せよ!!! 人間の欲望さえも動員するナチズムの〈性-政治〉。産めよ殖やせよ。強きゲルマン人の子を大量に得るために性の解放を謳うナチズム。従来の定説を覆し、欲望の禁止ではなく、解放により大衆を支配しようとしたナチズムの「性の政治」の実態に、豊富な原資料から光を当てる。(講談社選書メチエ)
  • 〈自己愛〉の構造 「他者」を失った若者たち
    3.4
    心が生涯求めつづける究極の存在とは? 「他者」なき現代人を襲う病理とは? 他者との関係性のなかで「自己」の構造をとらえなおしたコフート。フロイトの精神分析をぬりかえ、90年代アメリカで隆盛を誇る理論でよみとく現代日本の病理。(講談社選書メチエ)
  • 敦煌三大石窟 莫高窟・西千仏洞・楡林窟
    -
    中国美術の至宝、敦煌『三所の禅窟』。シルクロードのかなたに千年をかけて描きつがれた仏教壁画。様々な仏像たち……。敦煌研究の第一人者が、窟の生成、図像の意味・芸術性を、新しい解釈を加えあますところなく描いた渾身の書! (講談社選書メチエ)
  • 十八史略
    3.0
    神話伝説の時代から南宋滅亡までの中国の歴史を1冊に集約した『十八史略』。「臥薪嘗胆」「鶏鳴狗盗」「三顧の礼」など、そこには人生を生きる知恵が煌めいている。太公望、韓信、孫ピン、諸葛孔明、関羽をはじめ躍動する多彩な人物、飛び交う権謀術数、織りなされるさまざまな悲喜劇――。簡潔な記述で面白さ抜群、中国の歴史・文化理解のための必読書。(講談社学術文庫)
  • 伊勢神宮と三種の神器 古代日本の祭祀と天皇
    4.0
    原初の三種の神器(銅鏡・鉄剣・勾玉)は、天皇制が確立すると、「勾玉」が「神璽」に取って代わられました。勾玉は、呪術具・祭祀具・儀礼具・宝飾具という多義的な宝器として古日本では重要な役割を持っていました。民俗的信仰から国家的信仰へ、地方の王から国の天皇へ……。神器の意味づけはどう変わったのか? 武家の時代に神器の扱いはどうなったのか? 神器を通してみる、日本の歴史と民俗を問い直します。(講談社選書メチエ)
  • 戦国大名の「外交」
    4.9
    戦国大名たちは合戦だけをしていたわけではない。 和睦や軍事同盟、領土交渉という「外交」を、活発に行って戦国時代を生き抜かんとしていた。 武田信玄・今川義元・北条氏康による名高い「甲駿相三国同盟」の成立の舞台裏をはじめ、文書と交渉者「取次」が飛び交う、外交の現場を生々しく描き出す。 最新の戦国期研究の成果がここにある! (講談社選書メチエ)
  • アーリア人
    4.2
    スキタイ人・メディア人・ペルシア人・バクトリア人・パルティア人……史上最初の騎馬民族にして壮大なる世界帝国の樹立者。ユーラシア大陸を舞台に興亡を繰り返す諸民族の足跡を、「アーリア性」をキーワードに気鋭のイラン学者がたどる。(講談社選書メチエ)
  • 大仏師運慶 工房と発願主そして「写実」とは
    5.0
    鎌倉時代の大仏師、運慶とはいかなる存在だったのか。 定朝を祖とする正系仏所三派中の奈良仏師に連なる運慶。 朝廷・幕府という二元的権力構造による時代の大きな変動期、 院・天皇・将軍・御家人など各種パトロン層の依頼を受けて 東大寺・興福寺の復興、円成寺・願成就院などの様々な造像に 関わった実情と、工房主宰者としての実力とは? 後に「霊験仏師」「天才」とも冠されることになる運慶の実像に迫る。
  • 叱られ、愛され、大相撲! 「国技」と「興行」の一〇〇年史
    -
    日本の伝統文化にして「国技」とされる大相撲は、一方で八百長疑惑や「横綱の品格」をめぐって、世間から叱られ続けている。この「叱られ体質」は、いつから、何に由来するのだろうか。大相撲100年の「叱られ、愛された歴史」を、「スー女」を自認する著者が丹念に掘り起こした意欲作。明治42年(1909年)、落成したばかりの相撲常設館、その名も「国技館」の「玉座」で、8歳の少年が相撲を観戦した。この少年――明治天皇の皇孫、のちの昭和天皇に愛されたことが、大相撲の黄金時代と深い苦悩の始まりだった。「国技」とは一体何か。「初っ切り」や「相撲甚句」「化粧まわし」は、「国技たる武道」の堕落ではないのか? 本書には、それぞれの「相撲道」を模索した人々が登場する。植民地台湾に力士100人を招いた任侠の親分。東京の相撲界に反旗を翻し、大阪で「角力」を興した異端児。「相撲体操」を考案し、台湾や満洲で相撲教育に邁進した熱血教師。勃興したスポーツジャーナリズムの中で、独自の相撲論を展開するインテリ力士。戦地慰問に疲労困憊しながら連勝記録を樹立した大横綱。そして1945年11月、焼け野原の東京、損壊甚だしい国技館に満場の観客を集めて、戦後初の本場所が開催される。「国技」と「興行」のジレンマに悩みながら、いつも愛され、そこにあった大相撲の近代史。
  • 地中海の十字路=シチリアの歴史
    3.7
    長靴の形をしたイタリア半島に蹴り上げられるように、地中海に浮かぶ最大の島、シチリア島。マフィアの故郷として知られ、人気の観光地でもあるこの島は、現在はイタリア共和国の一部となっているが、しかし、古くからここは「イタリア」だったわけではない。文明の先進地域・地中海とヨーロッパの歴史を常に色濃く映し出し、多様な文化と宗教に彩られてきたシチリア島。その3000年に及ぶ歴史を描き出し、シチリア島から世界史を照射する。シチリアの覇権をめぐって最初に争ったのは、古代ギリシア人とフェニキア人だった。その後、ローマの「最初の属州」となり、ローマ帝国の穀倉となった。中世にはイスラーム勢力が柑橘類の栽培や灌漑技術を導入し、当時の先端文明と通商ネットワークをもたらしたが、北フランス出身のノルマン人たちがこれを屈服させて「シチリア王国」を建て、栄光の時代が訪れる。さらにドイツのホーエンシュタウフェン家、フランスのアンジュー家の支配が続き、ヴェルディのオペラで知られる「シチリアの晩祷事件」を境に、アラゴン・スペインによる「長く、暗い時代」に入る。フランス革命期にはイギリスの保護下に置かれるが、19世紀にはイタリアの統一運動、すなわちリソルジメントに巻き込まれ、イタリアに併合されていく。絶え間なく侵入した「よそ者」と、宗教・文化の交錯の過程で、シチリア人の誇り高いアイデンティティは形成された。そして今、北アフリカから小さなボートで「新たなよそ者」が押し寄せているシチリアは、まさにグローバル化した世界の台風の目となっている。〈目次〉序章 シチリア島から世界史をみる/第一章 地中海世界と神々の島/第二章 イスラームの支配と王国の栄光/第三章 長くて、深い眠り/第四章 独立国家の熱望と失望/第五章 ファシズムと独立運動/終章 「シチリア人」の自画像/あとがき/参考文献/関連年表/シチリア王の系譜
  • 「怪異」の政治社会学 室町人の思考をさぐる
    3.0
    怪異とは、それぞれの時代の特徴を、もっとも生々しく切り取る切り口のひとつなのである。それぞれの時代の社会が直面し、そして説明しきれず、恐れねばならなかった問題は、いったいなんであったのか。その問題と関連づけながら、政権中枢に向かって……どのような思考や実践がおこなわれたのか。……怪異を切り口にすることで、政治・経済・文化にまたがる人びとの思考を、われわれは動態的にみてゆくことができるのである。
  • 〈お受験〉の歴史学 選択される私立小学校 選抜される親と子
    4.0
    お受験といえば現代社会特有の現象のように思いがちです。しかし1930年代にはすでに、幼稚園の教師から合格のお墨付きをもらっていたのに、入学資格を与えられなかった母親が嘆きの手記を残しています。進物をしなかったからかと自分を責めるその姿は、子を思う親の心がいつの時代も変わらないことを教えてくれます。子と同時に親も選抜されるお受験。ママカーストについても、その実態を数字から暴き、お受験の今に迫ります。(講談社選書メチエ)
  • 戦国大名論 暴力と法と権力
    5.0
    戦国時代、大名の配下にありながら、「家中」と「領」をもつ者がいた。戦国領主と呼ばれる存在である。大名の生命線は、彼らをいかに統制するかにあった。暴力の時代にあって、いかに支配を安定させたのか。暴力と法のせめぎ合いから、新しい権力が誕生した。群雄割拠の時代を権力論の視点から読み直す。(講談社選書メチエ)
  • スタンダード 工学系の複素解析
    -
    電気系・情報系など、工学部の学科で必要とされる複素数の基本をコンパクトにまとめた。講義を組み立てやすくする工夫満載。関数の定義域としての複素平面の扱いなど、フルカラーで視覚的にもわかりやすく解説する。*端末によりカラー表示が出来ない場合があります。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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  • スタンダード 工学系の微分方程式
    -
    微分方程式をたてて標準的な方法で解けるようになることを目標に、工学部全学科必須範囲をカバーする。講義が組み立てやすい15章構成。要点が見やすく理解しやすいフルカラー教科書。*端末によりカラー表示ができない場合があります。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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  • ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789-1815
    4.6
    1789年の大革命から1815年のワーテルローの戦いまで、ナポレオンの熱狂情念が巻き起こした相次ぐ戦争による混乱と怒濤の30年。この偉大なる皇帝の傍らに、警察大臣フーシェ=陰謀情念と外務大臣タレーラン=移り気情念なかりせば、ヨーロッパは異なる姿になったにちがいない。情念史観の立場から、交錯する三つ巴の心理戦と歴史事実の関連を丹念に読解し、活写する。(講談社学術文庫)
  • 源実朝 「東国の王権」を夢見た将軍
    4.3
    「文弱の貴公子」という八百年来の誤解から実朝を解放する。政治状況の精緻な分析と、和歌への犀利な読み込みが明らかにする「東国の王権」を夢見た男の肖像。(講談社選書メチエ)
  • 木喰上人
    -
    かつてない表情をたたえる木喰仏に一目で魅入られた著者の情熱が、上人が生地に書き残した記録の発見という僥倖を呼び、後半生をかけた五千里にも及ぶ廻国修行で千躰以上の仏躯を刻んだという、江戸後期の知られざる行者の、想像を絶する生涯の全貌が明らかに。全国各地で忘れられていた多くの木喰仏が発掘される調査の過程が、後の民藝運動の礎となった記念碑的研究の書が初文庫化。
  • 神武天皇の歴史学
    3.0
    天皇の初代とされる神武天皇は、生没年はもちろん、その実在さえ定かではない。しかし、伝説上の重要人物として、日本の歴史に大きな影響を与え、論争を呼び起こし、時に政治問題となってきた。天皇陵をめぐる近世・近代史の研究者である著者が、「神武天皇陵」の所在地論争と、橿原神宮の創建を軸に、「歴史学の主題」としての神武天皇に迫る。 初代天皇の墓所「神武天皇陵」は、実は江戸時代になるまで定かではなかった。元禄時代の江戸幕府の調査で、奈良・四条村の塚山に「定められた」のである。しかし、当初からこれには異論があり、幕末期には孝明天皇の意思により、その300メートルほど南の「神武田」に改められ、ここが、現在も天皇が参拝を行う神武天皇陵となっている。一方、国学者の本居宣長らは、畝傍山中の丸山を主張して根強い支持を得ており、明治期になっても「疑念」はくすぶり続けた。さらに、水戸学の巨頭・徳川斉昭、寛政の三奇人・蒲生君平、幕末の能吏・川路聖謨、明治大正の文人画家・富岡鉄斎らの見解もみていく。 また、神武天皇を祀る橿原神宮の創建と隆盛に尽力し、のちに決裂した民間勤王家・奥野陣七の生涯や、明治期に「神武天皇祭」に冷徹な目を向けたお雇い外国人にも注目し、「紀元節」から「建国記念の日」へと、現代にいたる「神武天皇」と日本社会をとらえ直す意欲作。 目次 序章 現代の神武天皇 第一章 三ヵ所の神武天皇陵 第二章 幕末動乱と神武天皇陵 第三章 奈良奉行所与力の結論 第四章 文久の修陵 第五章 明治天皇の親祭 第六章 橿原神宮と民間結社 第七章 消えない疑念 終章 紀元節から「建国記念の日」へ
  • 越境の中国史 南からみた衝突と融合の三〇〇年
    4.0
    香港の民主化運動への禁圧、台湾への軍事的圧力――。現在の中国が見せる、特に南部への強硬な姿勢には、どのような歴史的背景があるのだろうか。中国史のフロンティア=華南地方の周辺民族と移民活動に焦点を当て、南から中国史を見直す。 中国の歴史は従来、黄河流域に展開した古代王朝の興亡史や、騎馬遊牧民が打ち立てた大帝国など、「北から動く」ものとして捉えられてきた。しかし、清代末期、広州などの港町を窓口とした近代ヨーロッパとの出会いをきっかけに、新しい時代が始まる。洪秀全の太平天国、孫文の辛亥革命など、社会変革の大きな動きは南から起こり、中国史上初めて「南からの風が吹いた」のである。その「風」を起こしたのは、漢民族にヤオ族・チワン族やミャオ族、さらに客家など様々な人々が移動と定住を繰り返す「越境のエネルギー」だった。 世界のチャイナタウンではなぜ広東語が話され、福建省出身者が多いのか。周辺民族は、漢民族のもたらす「文明」にどのように抵抗し、あるいは同化したのか。辺境でこそ過剰になる科挙への情熱や、キリスト教や儒教と軋轢を起こす秘密結社、漢民族から日本人そして国民党と、波状的な支配を受ける台湾原住民など、中国社会の多様性と流動性を史料と現地調査から明らかにし、そこで懸命に生きてきた人々の姿を見つめる。 目次 序章 中国史のフロンティア=華南 第一章 動き出した人々――福建・広東の移民活動 第二章 越境する漢人移民――広西と台湾への入植 第三章 辺境の科挙熱――中国文明と向き合う 第四章 周辺民族の抵抗と漢文化――流入する移民と秘密結社 第五章 太平天国を生んだ村で――移民社会のリーダーたち 第六章 械闘と動乱の時代――つくり直される境界 終章 越境してやまない人々――海外移住と新たな統合 あとがき 参考文献 索引
  • 銭躍る東シナ海 貨幣と贅沢の一五~一六世紀
    4.5
    〈共進化する東アジア史を、貨幣という視点から捉える!〉 「ちかごろ北京城の内外で人々は贅沢を好み、貴賤を問わず、みな金襴や宝石を身に着け、服装がみずからの分限を甚だしく越え、どの宴席でもいつも盛りだくさんの料理や菓子などが並べられ……」 15世紀後半、明の都・北京では人びとが競って贅沢にふけるようになった。奢侈の風潮は、さらに朝鮮半島、そして日本列島にも伝播し、絹製品や陶磁器・金銀・珠玉などの「唐物」が東シナ海を盛んに行き交うこととなる。 大陸・半島・列島にわたる「贅沢の連鎖」はなぜ起こったのか? それは単なる偶然ではなく、また各地域内の単一事象だけでも決して説明がつかない、世界史的事件であった! これまで日本史の枠内で捉えられていた応仁の乱前後を画期とする日本列島の経済成長も、日朝交易が過熱化し半島から列島へ流れ混む朝鮮綿布、琉球を経由した唐糸・青花の流入といった多地域にわたる国際交易の活況と切り離して考える事ができない。 中世日本の経済成長、私鋳銭の流通や石高制への変化などの事象も、東アジア各地の経済成長と連動したものであった。 本書は、中国・朝鮮・日本の経済変動が相互に影響を与え合い、複数の起点からなる共時的な歴史変動がいかに生起するかを探る試みである。 【本書より】 総じて、およそなんの関わりもないように思われてきた東アジア各地の個々の事象が互いに関連し合い、やがてひとつの大状況(東アジア大での経済成長、日本銀の登場、倭寇的状況など)を創出し、さらにその大状況が多数の事象を派生させるとともに、これらの事象によってふたたび変容する、そのような歴史過程を描き出すことが本書の目的である。いままで意識されなかった歴史の「流れ」を見出し、その生成・展開を跡づけることを通して、この時期の中国史・日本史そして東アジア史をめぐる既存の認識とは多少なりとも違ったストーリーを提示できればと考えている。 【主な内容】 第一章 贅沢は連鎖する ─明・朝・日の経済成長 第二章 悪銭と悪貨─ 巻き起こる通貨変動 第三章 そして「倭銀」があらわれた 第四章 活況と騒乱の東アジア─ シルバー・ラッシュがもたらしたもの おわりに ─ 「唐物」と「夷貨」:東アジア史を動かす“モノ”
  • 南極ダイアリー
    4.5
    棚氷の崩壊、氷河の後退、上昇する海水温……。南極大陸と南極圏の島々では、自然環境と生態系の変化が複雑に絡み合い、予想外の事態が次々と起こっている。 荒れ狂うドレーク海峡の先にある南極の“日常”を二〇年にわたり撮り続けた写真家は、何を見て、聴いて、嗅いで、触れたのか。 五感による、未知なる大地の記録! 深夜2時、白夜のに写るペンギンの長い影。 深く厚い氷の下のカラフルな海の表情――。 温暖化で変わるゆく南極の動物たちや景色を 貴重な写真120点に及ぶ写真とともに描写する。 カラー口絵32ページつき はじめに 第一章 温暖化の波のなかで――南極半島 第二章 南大洋に浮かぶ生きものたちの楽園――サウスジョージア島 第三章 コウテイペンギンの国――ロス海、ウエッデル海の奥懐へ
  • 新校訂 全訳注 葉隠 (上)
    -
    佐賀藩士・山本常朝が語り、田代陣基が筆録した武士道書『葉隠』は、「死ぬ事と見付たり」に代表される過激な文言と、切れのいい文体で、多くの人をひそかに魅了し続けてきました。本書は、天保本を、はじめて底本として採用し、新たに綿密な校訂を施して、原文の息づかいをそのまま伝える本文の再現に努めました。独特の文体の魅力を堪能してください。
  • 改訂新版 新書アフリカ史
    4.5
    【アフリカ入門書の決定版が20年の月日を経て大改訂!】人類誕生から混沌の現代へ、壮大なスケールで描く民族と文明の興亡。新たなアフリカ像を提示し、世界史の読み直しを迫る必読の歴史書。変化の激しいアフリカ現代史を新たに書き加え、従来の記述も新しい知見や主張に基づいて内容を大幅に見直した改訂新版。
  • 禅 沈黙と饒舌の仏教史
    -
    禅はどのように言葉と対峙してきたのか。仏教史から読み解く、「語り得ぬもの」の伝承。
  • 熱力学
    値引きあり
    4.0
    熱力学は数式が抽象的でわかりにくいことで物理の中でも特に初学者に不評な科目です。本書は、熱力学に初めて触れる初学者を念頭に置いて、熱力学に出現するいろいろな物理量や基本法則を理解できるようにした教科書です。概念の詳しい説明はもちろんのこと、例題を活用してできるだけ数式の物理的意味を習得してもらえるようになっています。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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  • 連続講義 現代日本の四つの危機 哲学からの挑戦
    4.0
    日本を代表すると言っても過言ではない12名の哲学者たちが、一般の聴衆を前に「現代日本の危機」を提示し、その打開策を探る「哲学からの挑戦」の試み。2014年から2015年にかけて行われ、大きな反響を呼んだ連続講義を基に、熱のこもった会場の模様を完全再現する。ライヴ感あふれる口語体で「知」「ことば」「いのち」「戦争」という「四つの危機」を取り上げ、立ち向かおうとした哲学者たちによる真剣な格闘の記録。(講談社選書メチエ)
  • 精読 アレント『全体主義の起源』
    3.5
    ハンナ・アレントの主著が『全体主義の起源』であることに異論はない。ところが、全三部から成るこの大著を愚直に読み、その構成や論の展開を跡づけた研究は今日に至るまで存在していない……。邦訳書が改訂を加えられたドイツ語版を底本とする中、本書は初版である英語版を順序どおりに精読する試みである。ナチズムとスターリニズムという20世紀がもたらした最大の謎にして災厄に取り組んだ大著の全容が、ついに明らかになる。(講談社選書メチエ)
  • 室町幕府論
    4.0
    朝廷権力の「肩代わり」から「主体」の政権へ。室町幕府を読み直す画期的論考。100メートルを超える大塔、眩く輝く金張りの仏閣、華やかな祭礼──首都京都の強大な経済力を背景に空前の「大規模造営」を将来した武家政権は、今や朝廷を凌ぐ威光を確立した。弱体政権論を覆し、武家政権が「権力」と「権威」を2つながら掌握してゆく過程を義満時代を中心に描く。(講談社選書メチエ)
  • 近代性の構造 「企て」から「試み」へ
    4.6
    鐘楼が時計にかわったとき、近代は始まった。そして、いま――。人種・環境・差別・体制……。山積みの問題に、世界はあえいでいる。のりこえる道はあるのか。切断線としての1968年の意味を問い直し、時間と機械の精神が支配する「近代性」の根源を洗い出し、脱-近代を「試み」る意欲作。(講談社選書メチエ)
  • 英国ユダヤ人 共生をめざした流転の民の苦闘
    3.0
    ユダヤ人永久追放はなぜおこったのか? 儀式殺人告発とは何か? そして国王の恣意税(しいぜい)とは……。苛酷な差別にさらされながら共生の道をさぐる「離散する民(デイアスポラ)」にとって、島国イギリスは安住の地たりえたのか。英国史の文脈のなかにユダヤ人世界を明確に位置づけた力作。(講談社選書メチエ)
  • 教会の怪物たち ロマネスクの図像学
    3.5
    教会は、怪物、魔物、実在のまた想像上の動・植物などのシンボルに満ちた空間です。グリーン・マン、双面のヤヌス、人魚、ドラゴン、グリフォン……。怪物的シンボルが横溢するロマネスク教会を中心に、解読をしていきます。キリスト教と一見無縁に思われる不思議なイメージの中に、失われた民衆の精神史を探ります。また、実際の教会巡りの際に、役立つ図像事典の性格ももたせ、旅行ガイド的要素も盛り込みます。(講談社選書メチエ)
  • 国鉄史
    4.5
    【"この国のかたち"を鉄路で描いた者たちの、栄光と蹉跌の全史】 かつて日本には、国家の所有する鉄道があった。 その組織は平時においては陸軍をしのぐ規模を誇り、列島津々浦々の地域を結びつける路線を構想することは、社会のグランドデザインを描くことそのものであった。 歴代の国鉄トップは、政治家や官僚たちは、そして現場の人々は、この巨大交通システムに何を託し、いかに奮闘したのか。 近代化に邁進する明治政府が新橋・横浜間を開設してから昭和末期に日本国有鉄道が分割民営化されるまで、「鉄道と国家」の歴史を一望する壮大なパノラマ! 【本書より】 日本の鉄道の歴史は大きく四つの時代に分けることができます。まず、明治時代の私鉄が主役だった時代、次に、日露戦争後に多くの私鉄を買収した政府が直営した時代、さらに、第二次世界大戦後、国鉄が公社化されて日本国有鉄道となった時代、そして現在のJRの時代です。 (中略) 本書ではこれから、日本の鉄道の歴史を、鉄道がいかにあるべきかというグランドデザイン、その実現のための経営体制、そしてそれを動かしてきた人物ということに焦点を当てて描き出していきます。それにあたって、この四つの時代区分という捉え方は、たいへん見通しをよくしてくれるので、これに従って議論を進めていきたいと思います。 【本書の内容】 プロローグ 「鉄道一五〇年」と国鉄 [第一部  「国鉄」形成の道程] 第一章 私鉄の時代(一八七二─一九〇六) 1.官設鉄道の誕生  2.「鉄道の父」井上勝  3.鉄道敷設法と私鉄の繁栄  第二章 国家直営の時代(一九〇六─一九四九) 1.鉄道国有法の制定 2.「国鉄」の誕生 3.初代総裁後藤新平の組織作り 4.原敬と改正鉄道敷設法 5.国鉄ネットワークの充実 6.戦時下の苦闘とその遺産 [第二部 日本国有鉄道の興亡─公社の時代(一九四九─一九八七)] 第三章 「復興」の中で(─一九五五) 1.占領期の混沌 2.「公共企業体」の桎梏と総裁たち 3.組織と人々 第四章 「近代化」への邁進(―一九六五) 1.新しい時代の鉄道像 2.「改主建従」の夢 第五章 光と影の昭和四〇年代(─一九七五) 1.都市交通と国鉄の使命 2.効率化がもたらすもの 3.「政治主導」の時代 4.国会とストライキと債務と 第六章 再建の試みと崩壊(─一九八七) 1.「後のない計画」 2.分割民営化への道 エピローグ JR以後(一九八七─)
  • 忠臣蔵まで 「喧嘩」から見た日本人
    3.5
    1巻1,980円 (税込)
    江戸以前、武士とはどうしようもない暴力的存在(野蛮なかぶき者)だった。本書は時代をさかのぼり、戦国期の武士を貫く行動原理がどのようなものであり、太平の時代になっていかに危険なものとなったかを明らかにする。そして、じつは赤穂事件こそが復讐の論理を忠義の論理に切り替える(すり替える)という、真にアクロバティックな思想的転換であったことを示す。  野口武彦氏にはすでに『忠臣蔵―赤穂事件・史実の肉声』(ちくま新書、現在はちくま学芸文庫)という傑作があります。そこでは事件の発端から終結まで、後世の潤色を取り去り、史料の叢から元禄の人間ドラマをよみがえらせました。  しかし、それだけでいいのか。ここから著者の新たな追跡がはじまります。  「後世の潤色」にはいろいろありますが、その最たるものは武士道というイデオロギーによるものです。忠義のベールに覆い隠された事件の本質はなんであり、それを取り去ったあとに残るものはなにか……。  それは自力救済と復讐の論理であり、武士という存在のどうしようもない暴力性です。ガルシア=マルケスのひそみに倣えば、「忠臣蔵」とは「元禄の予告された殺人の記録」なのです。  本書は時代をさかのぼり、主に戦国期の武士を貫く行動原理がどのようなものであり(野蛮であり、傾奇者であります)、太平の時代になり、権力にとっていかに危険なものとなったかを明らかにします。そして、じつに赤穂事件こそが復讐の論理を忠義の論理に切り替える(すり替える)という、じつにアクロバティックな思想的転換であったことを示します。 げに武士道とは、始末に負えぬものなり 江戸以前、武士はどうしようもなく暴力的で野蛮な存在だった。太平の世を迎え、権力は自力救済と復讐の論理を服従の美学に転換させるべくさまざまな努力を重ねる。それでも間歇的に噴出する異議申し立て。その頂点が赤穂事件だった。忠義のベールを取り去ったあとに残る「日本人の正義」の原形質を明らかにする歴史エッセイ集。
  • イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国
    3.5
    「イスラエル」は、どんな国でしょうか? 中東でよく戦争をしている、小国だが強大な軍事力をもっている、と思う人もいるでしょう。一方、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『シンドラーのリスト』(1993年)を思い出しながら、長らく迫害されてきたユダヤ人がナチスによるホロコーストの末、ついに作り上げた国と考える人もいるかもしれません。 迫害されてきたかわいそうなユダヤ人が念願かなって作った国、しかしアラブ人(パレスチナ人)を迫害している攻撃的な国――このような対極的なイメージは、いかにして生まれてきたのか。本書は、この謎に迫ります。 ホロコーストがイスラエル建国の大きな後押しになったことは間違いないとしても、そのことはイスラエルの軍事的な志向性を説明しません。さらに歴史を遡ると、19世紀後半からユダヤ人が変化していったこと、それが「国家」による自衛を求める動きにつながっていったことが明らかになります。そこで重要な役割を演じたのが、ロシア人でした。 その具体的な動きを追っていくために、本書はまずロシアのリベラリストに注目します。民族の自由を訴え、それゆえユダヤ人の同化にも反対したマクシム・ヴィナヴェル(1863-1926年)の活動を追っていくとき、パレスチナにユダヤ人国家を作ることを目指すシオニズムに共鳴したユダヤ人の中にも同じ主張をもつ者がいたことが分かります。その典型は、ダニエル・パスマニク(1869-1930年)に見られるものです。 ところが、1880年代にロシアで「ポグロム」と呼ばれるユダヤ人への迫害が始まると、ユダヤ人的側面とロシア人的側面を共存させていたロシアのユダヤ人たちは、徐々にユダヤ的側面に特化していきます。そのときユダヤ人たちがもったのが、ロシアの近代化に寄与してきたユダヤ人は「西洋的」だが、ロシアはそれに対立する「東洋的」な性格を持ち続けている、という認識でした。「東洋的」なロシアによって「西洋的」なユダヤ人が苦境に陥ったとき、「西洋的」な国家はユダヤ人を助けない──その経験は、やがてイスラエルが建国され、アラブ人の暴動が起きたとき、同じ構図をユダヤ人の中に想起させるのです。 『ロシア・シオニズムの想像力』で高い評価を受けた気鋭の研究者が巨大な問いに挑む渾身の論考。現代世界を読み解く手がかりが、ここにあります。 [本書の内容] 序 章 二種類のユダヤ人 第一章 内なる国際関係 第二章 ユダヤ人とロシア帝国 第三章 「ロシア・ユダヤ人」の興亡 第四章 ファシズムを支持したユダヤ人 第五章 民族間関係の記憶 第六章 相補関係のユダヤ化 終 章 多面的な個が民族にまとまるとき
  • 大阪アースダイバー
    3.9
    1巻1,980円 (税込)
    著者は、心の無意識までを含んだ四次元の地図を作成する作業の全体を、「アースダイバー」と名づけました。258万年前から現在にいたる地質の変遷を示す「第四紀地図」図と考古学の発掘記録、それに現代の市街図を組み合わせて、土地のもつ「本当の姿」を明らかにしていきます。またその作業には、古代人の心の構造を教える人類学、歴史学、心理学などあらゆる知が境界を越えて動員されます。今回その対象となるのは、大阪です。現在の大阪は5000年前にはほとんどが海面下にありました。南北に走る細長い上町台地だけが、古くからある陸地です。その南北の線を軸に、そして東の生駒山脈から発する死のパワー(デュオニソス軸)が、東西に力を加え、その座標軸が大阪の基盤をつくっていると著者は考えます。そしてその交点にある四天王寺が大阪の中心となっています。物差しをもつ聖徳太子=太子信仰は、職人的世界のバックボーンになっています。一方ミナミ、キタ、ナニワなど大阪の中心地は、「くらげなす」砂州の上に成立し、それゆえに浮遊する世界=都市=商業を発展させえたということなります。大阪の古層にある、南からの海洋民、半島から到達した「海民」をキーワードに、大阪の無意識へとダイヴィングするスリリングな冒険を試みます。
  • 創造の星 天才の人類史
    -
    魔女狩りの嵐が吹き荒れる15世紀から、「魔術」と「科学」が分岐する17世紀、その結果として「非理性」が噴出を始める18世紀を経て、ベートーヴェンの《第九》で開始され、ヴァーグナーの《ニーベルングの指環》を生み出す19世紀、そして「非理性」を特異な形で先鋭化させたナチスを登場させた20世紀へ──。第一級の精神科医が放つ、500年間に及ぶヨーロッパ精神史!
  • 凱旋門と活人画の風俗史 儚きスペクタクルの力
    -
    古代ローマに倣うように、ルネサンス宮廷に甦る仮設建築の凱旋門。それは入市式における君主の行列を迎える舞台、またメッセージを伝える大道具として機能し、さらに「生きた人間による絵画」の展示を加えて、大がかりな演劇的空間を作り出した。束の間の宮廷祝祭を彩った凱旋門と活人画は、その後、国民国家の記憶装置あるいは上流社会の娯楽としての道を歩みやがて明治日本にも伝来し独自の変容を遂げてゆく。
  • 忘れられた黒船 アメリカ北太平洋戦略と日本開国
    -
    アメリカ海軍はペリーの他にもうひとつの艦隊を派遣していた。司令長官は海軍大尉ジョン・ロジャーズ。「ペリーとハリスのあいだ」の「ロジャーズ来航」は黙殺され、まさに「忘れられた黒船」といっていい。それはいったいなぜなのか? 本書は、これまでほとんど本格的に検証されることのなかった測量艦隊の、具体的な来日の経緯と国際環境について明らかにし、日本開国の事情をこれまでとは異なる観点で描きなおすことをめざす。
  • 権力の日本人 双調平家物語ノート1
    3.7
    1~2巻1,980~2,189円 (税込)
    平家は倒れた。だから悪い?平清盛は悪人?では、どう悪いのだろう。"日本のルーツ"平安時代に生きる人々は、実はあまりにも、「現代人」だった。院政、摂関政治、女帝、国家……知らないことだらけの歴史を見直してみる。「諸行無常」で片づけられない日本の歴史。古代の権力世界の住人達から、新しい歴史の広がりを見る縦横無尽の史論。
  • 大東亜共栄圏 帝国日本の南方体験
    -
    1940年8月1日、「大東亜共栄圏」という言葉が外務大臣・松岡洋右によって初めて公表された。新秩序構想を支えるスローガン「八紘一宇」はどのような思想的・歴史的背景から出てきたのか。やがて東南アジアを軍事占領し、対米開戦に至る日本の針路はこの構想で想定されていたのか。200万以上の日本人に「南方」での生活を強い、東南アジアの人々に日本と日本人を目撃させた「外交政策」を検証する。
  • フィールドガイド ボルネオ野生動物 オランウータンの森の紳士録
    4.0
    オランウータンにはどこで出会えるか? くりくり目玉のメガネザル、大きなお鼻のテングザル、世界最小のクマ・マレーグマ、大きくても目がやさしいアジアゾウ、奇っ怪な鳥・サイチョウ、派手なアゲハチョウなど、日本にいちばん近い秘境の動物153種類を、解説付きカラー写真で徹底紹介。ボルネオ島は――――6時間足らずで行ける、日本にいちばん近い秘境!※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • 身体の零度 何が近代を成立させたか
    3.4
    纏足(てんそく)やコルセットのような不自然な風習を、なぜ私たちは続けてきたのだろうか。〈私〉をつくりだす源に、何があるのだろうか。謎はみなひとつのところから流れでている――。本書は、東西の豊富な文献を駆使して、泣きかた・笑いかた・行進・舞踊など人間の表情や動作に立ちむかう。そして、身体へのまなざしの変容こそが、近代の起点であることをあざやかに検証する。社会史・思想史のなかに、身体を位置づけた力作。(講談社選書メチエ)
  • 平泉 北方王国の夢
    4.0
    奥州藤原氏の政庁平泉館跡で発見された儀式・宴会用の大量のかわらけ。金、馬、鷲羽の交易で得られた巨富。紛争の調停者として所領支配を保障し、平和の実現をもって家臣団を統合する独自の安全保障体制――。中国大陸までつながる交易網を築き、一宮二十二社制や真言密教など中央の神仏体系を拒否した奥州藤原氏。ヤマトともアズマとも異なるもうひとつの世界を明らかにし、歴史のなかの「東北」を問い直す。(講談社選書メチエ)
  • 怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史
    4.3
    偉大な皇帝ナポレオンの凡庸な甥が、陰謀とクー・デタで権力を握った、間抜けな皇帝=ナポレオン三世。しかしこの紋切り型では、この摩訶不思議な人物の全貌は掴みきれない。近現代史の分水嶺は、ナポレオン三世と第二帝政にある。「博覧会的」なるものが、産業資本主義へと発展し、パリ改造が美しき都を生み出したのだ。謎多き皇帝の圧巻の大評伝!(講談社学術文庫)
  • 満蒙 日露中の「最前線」
    3.0
    二〇世紀前半、日本、ロシア、中国のそれぞれの「辺境」地域は、なぜ「生命線」となったのか。義和団戦争から満鉄解体まで、満蒙でくりかえされる軍事衝突には、「鉄道」をめぐる利権が絡んでいた。ロシアが「北満洲」に設立した中東鉄道とライバル会社満鉄との権益競争、ロシア革命後の「革命派」と「反革命派」の内戦、張作霖など軍閥とスターリンの対決……。鉄道をめぐるドラマを辿り、新しい国際政治史を描く。(講談社選書メチエ)
  • 我に秘薬あり 家康の天下取りと正倉院の名薬「紫雪」
    -
    1巻2,035円 (税込)
    家康の二度にわたる正倉院開封の目的は幻の妙薬「紫雪」にあった! 天下取りを目前に毒殺をなによりも恐れた家康。幕府を磐石にし、子々孫々に権力を末長く伝えていくためにも、政敵の魔手から逃れる万能の解毒剤を独占したかった……。そのために家康がとった手段とはいかなるものだったのか……。 クスリを通して歴史の闇に迫るmedical history novel。 ●徳川家康はなぜか東大寺の正倉院を二度にわたって開けさせています。正倉院は勅封といわれ、天皇の命令がなければ開けることができません。源頼朝、足利義政、織田信長、豊臣秀吉も開けさせていますが一回だけです。  正倉院には天平以来の珍奇な生薬や鉱物薬が納められています。いっぽう家康は養生にきわめて関心が深く、みずから薬を調合するのがなかば趣味だったともいわれています。とすれば、家康の正倉院開封の目的は薬にあったのではないか。しかも収蔵帳には、古来、万能の解毒剤とされてきた幻の妙薬「紫雪」の二文字が記されていました……。  多くのライバルの非業の死を目の当たりにしてきた家康。天下取りを目前に毒殺をなによりも恐れていたにちがいありません。しかもその権力を磐石にし、子々孫々に末長く伝えてくためにも、暗殺の魔手から逃れる妙薬を独占したかった……。そのために家康がとった手段とはいかなるものだったのか……。また、徳川三百年の平和の背景にあった「紫雪」とはいったいどのようなクスリだったのか。 ●……高貴中の高貴薬といわれるのが、「紫薬」である。まさに秘薬であった。 医薬の研究者なら一度は目にして、できれば口に含んでみたいと熱望する名薬である。口中に投じれば淡雪のように融けるという。そこから、「雪」の字が当てられていた。用いる生薬類も入手困難のうえに高額で、製法に高度な技術を要するので、当時、製剤は事実上、不可能だった。中国から輸入され、唯一、正倉院に所蔵されているだけである。奥医師ですら現物を見た者はいない。幻の薬である。 その幻の薬を家康は欲したのではないか。医典籍を渉猟し、みずからも製剤するまでに医療に長けた家康だからこそ、正倉院に幻の薬を発見して入手を思いたったといえる。 家康は単なる好奇心だけで「紫雪」を探したのだろうか。……

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