2023年11月読了。
著者は最近、テレビ等の媒体でもよくお見掛けするし、著作や連載等も楽しんできた一読者であった。
だから本書も「何か歴史学のトリビアが…?」くらいの気安さで読み始めたのだが、読んでビックリ!
これは、一人の日本史の歴史学者の嘘偽りない懺悔であり告白であり、尚且つ『このままでは歴
...続きを読む史学が形骸化してしまう!』と云う告発の書ではないか!!
「歴史」特に「日本史」と云うものは、小説や漫画で読む分には楽しいものの、「学校の教科」として見れば《年号の暗記ばかりでちっとも楽しくない科目》であるのは、誰一人として否定しないと思う。実際「古文書等を調べて、コツコツと実証していく地味な学問」だと、自分も思っていた。
「司馬遼太郎らが書いてるのは大衆文学」等と研究者は背を向け、更に世の若者の探究心を削いでいる現状を見れば、一般市民が「研究者に期待すること」等も全く無いと思っていた。
しかし本書を読んで、著者の、いや本郷先生の《本気度》に触れて、いつの日か「日本の歴史観」がしっかりと地に根を張る日が来るのではないかと、心躍る様な気分で読み終えた。
本書は歴史書ではなく、歴史学者に依る「歴史観への挑戦布告」の書であると言いたい。
システマティックに予算配分したり、上の意向に沿って「英語とIT」を日本史研究のテーマに据えようと思っている文科官僚は、本書を読んで《自分達は国の税金を使って、一体何をしようとしているのか》を国民に正々堂々と説明出来るのか、良〜く考えて欲しい。
本書は『自分の国の歴史』への責任感を、しっかりと感じ取れる良書である。特に、若い人達には読んでいただきたい、