日本の中国侵略の一環として行われた内蒙古(内モンゴル)独立工作、いわゆる内蒙工作とは?
陸軍の「支那通」たちの状況や、軍内部での駆け引き、外務省と陸軍との確執、中国各地に設置された特務機関の活動、そして中国側の内戦の状況などが克明に描かれています。
著者は内モンゴル史の研究者で、以前にも『徳王の研究
...続きを読む』という著作がありますが、本書は徳王が中心ではあるものの、主に日本陸軍の事情を踏まえて内蒙工作と徳王について述べられています。
そして『徳王の研究』には無かった、内モンゴルの地図が添付されており、地理関係を解りやすく認識できます。
また新しい視点として、「欧亜防共回廊」という航空路開拓の試みについても一章が割かれており、ナチスとの同盟という世界的視野の中での内蒙工作の位置付けを理解できます。
同じ講談社選書メチエの『日本陸軍と中国─「支那通」にみる夢と蹉跌』を読んでから、本書にとりかかるのがいいでしょうw
著者はまったく違いますが、内容が密接に関連しており、一方について他方の観点からの再認識が可能です(^^)v
つまるところ、当時の日本陸軍内に強力なリーダーシップが存在せず、陸軍省、参謀本部、関東軍、支那駐屯軍、各地の特務機関等がてんでバラバラに行動していたのが、関東軍や特務機関の暴走の原因でしょうね。
ニン、トン♪