歴史・時代小説 - 講談社 - 講談社文庫作品一覧

  • 草々不一
    4.3
    泣ける。笑える。心がほっこり温まる。 身分としきたりに縛られた暮らしにも、喜怒哀楽、切なくも可笑しい人生の諸相があった。江戸の武家の心を綴る、傑作時代小説短編集。 朝井節、ますますの名調子。 1冊に長編8作分の人生が。 「紛者(まがいもの)」助太刀を頼まれた、牢人者の信次郎。頼まれたら断れないのが武士だが。 「青雲」立身する者とできぬ者。分かれ道を説く上司に悩まされ。 「蓬莱」大身の旗本家へ婿入りしたはいいが、妻から3つの約束をさせられて。 「一汁五菜」刀ではなく包丁で仕える江戸城の料理人が、裏稼ぎに精を出す。 「妻の一分」大石内蔵助の妻、りくにとっての忠臣蔵を、そばで見守った者がいた。 「落猿」藩の外交官である江戸留守居役が、公儀との駆け引きの最中に。 「春天」剣術指南所の娘と二刀流の修行人。剣で心を通わせた二人の行く末は。 「草々不一」漢字を読めない隠居侍が、亡き妻の手紙を読むため手習塾に通い始める。
  • 其の一日
    4.0
    吉川英治文学新人賞に輝いた傑作短編集。安政7年3月3日、井伊家の密偵・可寿江(かずえ)は水戸浪士の不穏な動きを察知し、主君でかつて恋人でもあった直弼に通報しようとするが。「桜田門外の変」「箕輪心中」などの事件を題材に、江戸市中で懸命に生きる人々の、運命を変えた1日を描いた時代小説短編集。全4編を収録。<第24回吉川英治文学新人賞受賞作>
  • その夜の雪
    -
    祝言を間近にひかえながら暴漢に襲われ、命を絶った愛娘。「仏」の名を捨てて復讐に奔走する父として定町廻り同心・森口慶次郎が初登場する表題作や、妻に逃げられた男と子供を授からなかった女の交情を細やかに描いた「うさぎ」等、ままならぬ運命と向き合う江戸庶民の姿を鮮やかにすくいとった傑作短篇集。
  • そろそろ旅に
    4.1
    『東海道中膝栗毛』で一世を風靡(ふうび)するのはまだ先のこと。若き日の十返舎一九(じっぺんしゃいっく)、与七郎は平穏な暮らしに満たされず、憑(つ)かれたように旅を繰り返す。駿府から大坂、そして江戸へ。稀代のユーモア作家が心に抱いた暗闇とは何だったのか。意外な結末が深い感動を呼ぶ、直木賞作家渾身の長編小説。
  • 損料屋見鬼控え 1
    3.7
    文政元年(1818年)、損料屋(江戸時代のレンタルショップ)巴屋の惣領息子・又十郎は17歳になってからも親から丁稚扱いをされていた。損料屋といえばいちばんの得意先は長屋。長屋から長屋への引っ越しなどではわざわざ家財道具は購入せずレンタルで済ますことが、上方ほどではないにせよ江戸でもそれなりにあった。最初の事件は巴屋の店の入っている長屋だった。大家にヘンな物音がする部屋があるので見てほしいと頼まれてついていくと、部屋の隅に見事な幽霊の姿。もともと霊感らしきものが強いとは自覚していたが、あまりに鮮明なそのお姿に又十郎は腰を抜かしてしまう。これが「事故物件」のなせる業なのか!
  • 増上寺刃傷
    -
    将軍家光の死に際し、殉死しなかった祖父と、遊里で横死した兄。この二つの屈辱感を払拭するため、永井尚長は傲慢にふるまっていたのだが……。自らの生を見誤った者たちを描く歴史短編集。
  • 続 御書物同心日記
    3.7
    嫁入り道具の絵巻物を担保に、大名家が古本屋に金を借りにきた。目利きを頼まれた御書物同心の丈太郎は、極彩色の春画にうろたえる。一方、将軍家の書物を管理する御文庫では将軍遺愛の本が紛失した。書名を聞いた途端、丈太郎は驚愕する。そして「事件」は意外な展開をみせた・・・。江戸情緒あふれる連作集。(講談社文庫)
  • 大砲松
    -
    神田和泉橋の五兵衛店(だな)に住む締出し松こと松三は、故あっての長屋暮らしだが贅沢三昧。実は大名家お出入りを許された槍屋「槍丹」の息子である。時は幕末、慶応4年、背中の傷(いれずみ)を見こまれて上野彰義隊へ入隊、大砲掛を仰せつけられたまではよかったが……。吉川英治文学新人賞受賞の破天荒な痛快時代小説。(講談社文庫)
  • 高杉晋作奔る
    4.0
    幕末の長州に生まれ、先取の気性と果断な行動で尊王攘夷の志士となった高杉晋作。乱世を鮮烈に駆け、明治維新の功労者となった、彼の短かく激しい生涯は、まさに動乱の世を奔るものだった。その晋作のユニークな素顔を、松下村塾時代の師、仲間、奇兵隊結成でバックアップした豪商、あるいは愛人だった芸妓などの視点から、生き生きと捉え鮮やかに描き出した、著者得意の領域の魅力的な連作歴史小説集。若き英雄の素顔を、関係者の眼で描いた傑作!
  • 滝沢馬琴(上)
    5.0
    滝沢馬琴の苛酷な生を描く吉川英治文学賞受賞作。「南総里見八犬伝」「椿説弓張月」等で名声を得た馬琴は、保守的で狷介な性格のため人と衝突することも多く、苦しい家計と病弱な家族の煩労も、一身に負っていた。
  • 武田勝頼(一) 陽の巻
    4.0
    戦国の雄・武田信玄を継いだ青年武将勝頼は、しばしば猪突猛進、思慮分別の浅い武将だとの評価を受ける。だが、史料、史蹟を徹底的に調べると、全く別の人物像が浮かび上がる。戦国武将団の統領の懊悩と悲劇。激動の時代を生きた波乱の人生。ここにその実相が展開する。新田次郎の記念碑的歴史大作。(全三冊)
  • 竹千代を盗め
    -
    駿府の今川家の人質となっている松平元康(もとやす)の子・竹千代と奥方らを救い出す依頼が、甲賀の忍びの頭目・伴与七郎(ばんよしちろう)に舞いこんだ。綿密な算盤(そろばん)をはじき、銭四百貫文で商談は成立したのだが、乗り込んだ駿府で予期せぬ困難が続出する。窮地に追い込まれた与七郎は、甲賀に伝わる「大きな瓶(かめ)」の話に光明を見出した。(講談社文庫)
  • 火除け地蔵 立ち退き長屋顛末記
    -
    長男一家が行方知れずの富蔵お熊の夫婦、病弱な妻を抱える八百屋の正市、暴力夫から逃れてきたお静、拾い子のお染……深川の弥次郎兵衛長屋の火除け地蔵は、そんな住人たちを見守っていた。ところが一帯を火除け地として空き地にしたいお上は、破落戸(ごろつき)どもを使って住人たちに立ち退きを迫ってきた。物言えぬ地蔵が引っ越せないみんなを心配する、文庫書下ろし人情シリーズ第一作。(講談社文庫)
  • 立花三将伝
    3.5
    戦国最強と言われた立花宗茂が当主になる前、筑前に感動の青春群像ストーリーがあった。大国に翻弄された若き武将らを描く歴史長編! 関ヶ原の戦いに参戦せずとも、当時最強の武将と謳われた立花宗茂。だがその一世代前、宗茂活躍の礎ともなった若き武将や姫たちがいた。──時を遡ること40年、筑前国の要衝を占める立花家は、「西の大友」と呼ばれる名門であった。大友宗家から立花入りした15歳の三左衛門は、四つ年上の勇将・和泉、三つ上の軍師・弥十郎らと出会う。腕に覚えのあった三左衛門は和泉に打ち負かさられるも、すぐに弟子入り。寡兵で大軍を退けた弥十郎の知略にも驚かされる。また、当主の娘・皐月姫や和泉の妹・佳月らの恋心も絡み、三将の絆は深まっていく。8年が過ぎる。筑前では毛利の調略が進み、諸将が次々に大友を離反。立花家は孤立していく中で家中も毛利派と大友派に分裂する。そしてついに、三将の運命を変える大きな政変が……。
  • 田沼意次(上)
    -
    旗本の長男として生れた田沼意次は、大胆卒直な、器量すぐれた若者に育ち、将軍世子・家重の側小姓に登用される。19歳で家督を継ぎ、美しい妻を得、出世を重ねて、やり手の上司・大岡忠光にとり込まれてゆく。有能だが、特に強い後楯を持たない意次は、進歩的な能吏として、どのようにして幕閣の迷路を生き抜いてゆくのか。田沼意次の生涯を描いた大作、全3巻。
  • 玉川兄弟(上)
    -
    江戸は飲み水に不自由な土地であった。町の発展ひいては幕府の威令をいきわたらせるため、多摩川の水を江戸に曳くという壮大な計画が生れた。多摩川上流に生をうけた土木業者、枡屋庄右衛門・清右衛門兄弟は、目先の利益を排して見事入札に成功、数多の困難に立ち向う。若い兄弟の不屈の闘いをえがく歴史巨篇。玉川上水開墾に雄々しく立ち向かう若い兄弟の物語。
  • 血汐笛
    3.0
    尊皇攘夷の声、漸く高まる花のお江戸。麗しい双子の将軍家息女をめぐり、公卿と幕閣の間に、陰謀が企てられていた――暗躍する刺客団に立ち向うは、滅法強い謎の剣士・笛ふき天狗、そして孤独の影やどす美丈夫・きらら主水(もんど)。運命の糸に操られ、快刀乱麻を断つ大活躍……痛快無比、胸のすくような一大ロマン。
  • 地のはてから(上)
    4.0
    凍てつくオホーツク海に突き出し、人も寄せ付けぬ原生林に覆われた極寒の地・知床。アイヌ語で「地のはて」と呼ばれたこの地に最後の夢を託し、追われるようにやってきた開拓民の少女。物心ついたときにはここで暮らしていたとわは、たくましく生きる。今日から明日へ、ただ生き抜くことがすべてだった。中央公論文芸賞受賞。(講談社文庫)
  • ちゃんちゃら
    4.0
    江戸・千駄木町の庭師一家「植辰」で修行中の元浮浪児・ちゃら。酒好きだが腕も気風もいい親方の辰蔵に仕込まれて、山猫のようだったちゃらも、一人前の職人に育ちつつあった。しかし、ある日を境に、一心に作庭に励んでいた一家に、とんでもない厄介事が降りかかる。青空の下、緑の風に吹かれるような、爽快時代小説! (講談社文庫)
  • 中国皇帝伝 歴史を動かした28人の光と影
    3.3
    中国史上、一番の名君は誰か。歴代皇帝の総数は少なくとも二百を超えるが名君と呼ばれる皇帝はわずかだ。しかし名君とは何か、その答えは簡単ではない。王朝の創業者か、領土を拡げた征服者か、善政を布いた為政者か。あるいは上司にするなら誰がいいか、という身近な基準もありだ。様々な角度から探った素顔の皇帝伝。
  • 中国の歴史 近・現代篇(一)
    5.0
    列強の蚕食に苦しむ清国では、甲午の役(日清戦争)の敗戦で不満が爆発。保皇派の康有為は公車上書を著し、立憲君主制を提唱する。義和団事変で8ヵ国連合軍が紫禁城に乱入し、権勢を誇った西太后も光緒帝(こうしょてい)と西安に逃れた。王朝打倒を目指す孫文ら若き革命家たちは集結を始める。中国近代史の精華〈全二巻〉。
  • 超合本 梟与力吟味帳
    -
    暗い世相に目を光らせ、闇に潜む悪を捕らえる北町奉行所吟味方与力の藤堂逸馬は“梟”の異名で知られていた。同じ寺子屋で学んだ幼なじみの、計算が得意で神経質な八助、根っからの助平だが憎めない信三郎、性格も生活もバラバラの2人とともに、逸馬は世直しに立ち向かう。NHKでドラマ化もされた人気シリーズ全12巻をまとめた合本版!
  • 超巨人・明の太祖朱元璋
    -
    明の太祖・朱元璋――信長・秀吉・家康の三大英傑をひとりで演じた男の、波乱万丈の生涯。その面白さは三国志を凌ぎ、太閤記もはるかに及ばない。ダメな組織にいても、成功するには! 不利な状況の中でも、勝ち抜くには! 超巨人・朱元璋の思想と行動が、あらゆる現代人に大きな勇気と多くの知恵を与える。
  • 張騫
    5.0
    前漢帝国に君臨する武帝劉徹の御世。大月氏(だいげつし)と対匈奴(きょうど)同盟を結ぶため、初めて西域=シルクロードを開いた張騫、父の志を継ぎ大著『史記』の執筆に挑む若き日の司馬遷、群盗蜂起の陰に仕組まれた陰謀を暴く青州刺史雋不疑。太陽の如き皇帝の下(もと)で活躍した3人の物語を通じ、時代の光と影を描く中国歴史名品集。(講談社文庫)
  • 超高速! 参勤交代
    4.1
    ときは享保20年(1735)初夏、改革の嵐吹き荒ぶ8代将軍吉宗の時代。わずか1万5000石の磐城湯長谷藩に隠し金山の嫌疑がかかり、幕府老中から「5日以内に参勤せねば、藩を取り潰す」と難題をふっかけられた。若殿様以下7名は東国一の忍びの力を借りつつ、陸前浜街道、水戸街道、さらには山野を踏み越え江戸城本丸へ急ぐ。軽量化のため竹光しか持たない一行を阻む公儀御庭番と百人番所の精鋭。湯長谷藩の運命や如何!?
  • 長勝院の萩(上)
    5.0
    今川氏の質子として忍苦の青春を送る松平元信(家康)は、流芸人おちいの翳りある美貌に魅せられる。桶狭間の戦を機に家康は独立を果し、おちいはお万の方とよばれる側室に。だが、そこには正室築山殿との凄絶な女の戦が待っていた……。家康の愛妾お万の愛と性の修羅を濃密艶冶に描く長編力作。
  • 重耳(上)
    4.3
    黄土高原の小国曲沃(きょくよく)の君主は、器宇壮大で、野心的な称(しょう)であった。周王室が弱体化し、東方に斉が、南方に楚が力を伸ばし、天下の経営が変化する中で、したたかな称は本国翼(よく)を滅ぼして、晋を統一したが……。広漠たる大地にくり広げられる激しい戦闘、消長する幾多の国々。躍動感溢れる長編歴史小説全3巻。
  • 朝鮮戦争(上) 血流の山河
    3.8
    一九五〇年六月、北朝鮮軍の韓国奇襲で火蓋を切った朝鮮戦争。それは、共産主義圏拡大を目論むソ連・中国と、米国をはじめとする資本主義陣営による、世界最大規模の代理戦争でもあった。半島全土が血塗られた三年間の激闘、そして超大国の非情なまでの思惑を、膨大な史料から描いた傑作戦記。文庫書下ろし
  • 長宗我部 最後の戦い(上)
    3.5
    一時は四国一円を平定し、全国に武威を轟かせた土佐の戦国大名・長宗我部氏。その強豪が歴史の渦に巻き込まれ消滅した史実を、最後の当主・盛親の生涯から辿る大河小説。一族の骨肉相食む争い、非情な粛清、そして滅亡。歴史小説家・近衛龍春が膨大な史料をもとに奏でる長宗我部氏の鎮魂歌。文庫書下ろし
  • 長宗我部元親
    3.0
    弟や従兄弟と違い、色白で細身だったその姿から「姫若子」と揶揄(やゆ)されていた幼少期。父の心配もあり、22歳という遅すぎる年齢での初陣となった。だがそこで冷静な判断に裏付けされた、大胆な行動を披露する。始皇帝の血を引くとも言われる長宗我部家、その当主となり、元親は天下を目指す。
  • 蝶々さん(上)
    4.3
    明治初頭、長崎港外の深堀に士族の娘として生まれた蝶は、父の形見の『学問のすゝめ』を読んで育つ。かくれキリシタンの少女ユリとも仲良しになり、文明開化の夢がふくらむものの、コレラの流行で母と祖母を失って運命は一変。小学校を卒業すると同時に丸山遊郭「水月楼」の女将の養女となって長崎へ向かう。(講談社文庫)
  • 蝶舞う館
    3.0
    多数派キン族の支配下、経済成長に沸くベトナム。だが中部高原には少数民族モンタニャールの存在がある。ベトナム解放30周年記念番組のロケ中に、女性タレントが誘拐された。叛乱の萌芽か。元戦場カメラマンとともに、奥地へ向かう菱沼大介。そこで目にしたものとは? 弾圧と蜂起、壮烈なる魂の黙示録。(講談社文庫)
  • 千世と与一郎の関ヶ原
    4.0
    細川忠興(ただおき)の嫡子与一郎は秀吉の仲立ちで前田利家の七女千世を娶った。睦まじい夫婦ぶりも束の間、秀吉の死後家康から前田家との縁切りを迫られる。姑の玉も石田三成が人質にとろうとするのを拒んで自害し、追い詰められた千世は屋敷を逃れて落魄(らくはく)の身に……。関ヶ原の思わぬ実像を描き出した傑作歴史小説。(講談社文庫)
  • 中国の歴史(一)
    4.4
    1~7巻1,012~1,100円 (税込)
    中国の歴史は奥深い。三皇五帝の時代から夏・殷へ、そして孔子や老子など諸子百家が輩出した群雄割拠の春秋戦国時代へ、数多の英雄が登場し、やがて消え去る。――覇権を争い、権謀術数の渦巻く滔々たる時の流れを、豊かな史料から考察し、祖国への愛と憧憬をこめて綴る中国五千年の歴史シリーズ。<全7巻>
  • 追跡
    4.0
    仇を取る。そのために生きてきた――。 大人気シリーズ「おれは一万石」「下り酒一番」の著者による、心揺さぶる涙の名作! 板前になる夢が破れた若者・磯市は身を持ち崩し、 高利貸しの手先となって厳しい取り立てを行う毎日を過ごす。 そんな時、幼馴染みのおしなと再会し、荒んだ思いを抱く。 おしなの父・菊右衛門は、深川の名店の主人。 彼には、板前仲間だった磯市の父を殺したとの噂が……。 復讐劇の結末が心を打つ、涙の名作!
  • 津軽双花
    3.7
    運命の一戦は家康に軍配が上がり、敗者は歴史に葬られた。そして因縁は、遠く津軽の地で花ひらく。家康の姪 対 三成の娘――これぞ女人の関ヶ原!徳川家康の姪・満天姫、石田三成の娘・辰姫。ともに津軽家に嫁入りした二人は、関ヶ原の戦いから十三年越しの因縁に相見える――。そして美姫の戦はここから始まった! 戦国の終焉を辿る本能寺の変、関ヶ原の戦い、大坂の陣を描いた傑作短編も同時収録。【解説・諸田玲子】
  • 月の輪草子
    3.5
    崇拝する中宮定子を慰めるため「枕草子」では美しいことばかり描いた。智識と才気で紫式部と反発し合った清少納言も、いまは山の庵でひとり九十を迎える。自分の定命がわからないのも仏の慈悲。心には華やかな宮中での日々が甦える。九十歳の著者が九十歳の清少納言に乗り憑ってのモノローグ。著者畢生の意欲作。
  • 月夜彦
    3.7
    左大臣の姫が、何者かによって腹を食い破られ、路傍でこと切れていた。異様な死に様を見た左大臣は、犯過人の首に千貫文の値をつける。荒れる都のただ中で、散楽舞の青年・小槌丸は、ある企みを抱えていた。それは生き別れの兄であり、右大臣の息子である月夜彦を暗殺し、入れ替わること――。
  • 対馬丸
    4.5
    戦局傾いた昭和一九年八月、沖縄から本土に向かった学童疎開船「対馬丸」はアメリカ潜水艦の魚雷攻撃を受け、深夜の海に沈んだ。乗船者一六六一名、うち学童八〇〇余名。生き残った学童は五〇余名に過ぎなかった。戦争完遂のため、次代を背負う若き国民を護るため、という大義名分のもと、国策として実施された疎開事業における最大の悲劇である。その歴史的全貌を伝える名著。(解説・佐藤優/作家・元外務省主任分析官)
  • 辻斬り
    -
    同心だった作之助は主犯を取り逃がし今や無役の貧乏御家人。どこにも本当の居場所はない。恋川春町に出入りしながらいっぱしの戯作者を気取り、かろうじて矜持を保つ日々。ふと芽生えた殺意を抑えきれず、飾り職人を刺してしまう。人を殺める暗い歓びを知った作之助に、追っ手は迫る。これぞ時代暗黒小説。
  • 蔦重
    4.3
    2025年、大河ドラマの主人公。 絵師、戯作者の才能を巧みに操り、次々と流行を生み出した 蔦屋重三郎の光と影を描く。 細谷正充さん絶賛! ――吉森大祐、長篇だけでなく短篇の名手でもあったのか。   喜びと悲しみ、希望と絶望、令和の日本人と変わらぬ人間の姿がここにある。 喜多川歌麿、東洲斎写楽、恋川春町、山東京伝、曲亭馬琴…… 鋭い閃きと大胆な企てで時代を切り開いた稀代の出版プロデューサー・蔦屋重三郎が世に送り出した戯作者や絵師たち。 江戸の精華として誰もが知る彼らの人生の栄光と悲哀を描いた、連作短編集。
  • 鶴亀横丁の風来坊
    4.0
    浅草の外れにある、気のいい商売人が集まる貧乏長屋。今宵もいささか面倒な揉め事が――鳥羽亮、待望の人情物新シリーズ登場!
  • つわもの
    3.5
    真田幸村は本当に日ノ本一の兵(つわもの)だったのか。思いもよらぬ着想から描かれる戦国六大合戦の裏側。 「火、蛾。」桶狭間の戦い 策士たちが裏の裏を読み合う壮絶な頭脳戦、心理戦の先にある驚愕のラスト。 「甘粕の退き口」川中島合戦 優れた武将だけが持ち得るカリスマ性とは何か。 「幽斎の悪采」本能寺の変 失敗すれば平然と切り捨てる信長の下で心身ともに追い詰められていく幽斎と光秀。 「槍よ、愚直なれ」賤ヶ岳の戦い 加藤清正のラブロマンスを軸に、従来の武張ったイメージを覆す。 「怪僧恵瓊」関ヶ原の戦い 歴史を読み替え、いかに合戦を避けるかが物語を牽引する異色作。 「日ノ本一の兵」大坂の陣 家康、秀忠父子を翻弄した知将・真田昌幸の息子、幸村は何者だったのか。
  • 天下一統 始皇帝の永遠
    -
    主従の野心が「王国」を築く!いま話題の始皇帝、激動の生涯――質子(ちし)として生まれながら天下統一を成し遂げた初代皇帝を取り巻く圧巻の人間ドラマ! 「戦国七雄」がひしめく中国戦国時代。趙正(ちょうせい・後の始皇帝)は質子として趙の都・邯鄲(かんたん)で生まれた。父・子楚(しそ)が大商人・呂不韋(りょふい)の工作により秦王となるが急死したため、趙正が十三歳で即位する。呂不韋から権力を奪った趙正は韓を攻略。天下一統までの苦難と闘いに満ちた始皇帝の生涯をダイナミックに描く歴史巨編!
  • 天駆け地徂く 服部三蔵と本多正純
    4.0
    忍者の誇りと信念を貫くとき……戦国の世を切り結ぶ二人の男の友情と別離を爽快に描いた力作! ――徳川家康をめぐり相反する、二人の男の信念とは? 孤高の忍者・服部三蔵は、自在に繰りだす剣と忍術をもって、単身、家康の打倒をめざす。一方、家康の懐刀(ふところがたな)の本多正純は、主君の胸中を自明のこととして読み、己の信念に従い、迎え撃つ。波乱万丈の戦国の世を切り結ぶ、男の友情と別離を活写した忍者小説。
  • 天下を呑んだ男 「秀吉」が生まれた朝
    -
    夢は身銭を切って購うもの――東海道吉田宿の一夜、針売りの青年・藤吉郎は、旅の僧にこう言い放った。一升八文の酒を仲立ちに「天下」への道が招き寄せられ、一人の男が歩き始める。平凡な人生を大きく転回させ、歴史に名を成す豊臣秀吉へと変貌させた叡智とは何か。英雄誕生に秘められた、成功への発想法を描く。
  • 天狗藤吉郎 上
    -
    藤吉郎は5歳にして、木曾山中に隠れ住む天狗党に預けられた。2年間、忍者と同じ修行を積み、読み書きも習った。その後、各地を放浪し、裏切りに会い、苦労を重ねた末に、ついに織田信長と出会う。藤吉郎は要領のよさと才覚で出世していくが、その陰には、天狗党時代から彼を見守ってきた山の民・三郎太の援助があった。
  • 天主信長〈表〉 我こそ天下なり
    3.1
    天下人へ駆け上る信長が、豪壮な城を築いたのは安土だった。「天主閣」の高みから信長が描いた「天下」とは? 一向宗を殲滅し、武田騎馬軍を退け、北陸、中国へ。織田の天下は目前にして、誰よりも焦っていたのは信長自身だった。軍師・竹中半兵衛、黒田官兵衛、光秀、秀吉を集め、ひそかに語った信長の「天下」。そして、本能寺を舞台にそれを引き寄せるための驚くべき計画とは。安土城、本能寺の謎を大胆に解き明かす衝撃作!
  • 天璋院篤姫(上)
    3.9
    激動の幕末維新、薩摩の島津家から徳川13代将軍家定に嫁いだ篤姫――しかしその結婚生活は、短く、そして常ならざるものであった……。2008年NHK大河ドラマ「篤姫」原作。
  • 天正十年夏ノ記
    4.0
    天正年間――信長は天下統一をめざし、将軍・義昭、武田信玄、上杉謙信、顕如上人らとの戦いに、勝利を続ける。天皇を凌ぐ神の座に就こうとする征服者との交渉役をつとめた正親町(おおぎまち)天皇の秘書官・勧修寺晴豊。この青年貴族の目を通して、未曾有の動乱期をしたたかに生き抜いた天皇と公家たちを描く、渾身の歴史小説。信長上洛! 青年公家が見続けた征服者の貌(かお)。
  • 天女湯おれん
    3.4
    粋で婀娜な、天女湯の女あるじ・おれん23歳。お江戸八丁堀の真ん中にあるこの湯屋には仕掛けがあった。男湯に隠し階段、女湯には隠し戸、どちらも隠し部屋につながっている。おれんは番台に座って男女の仲を取り持つという案配。辻斬り、窃盗、心中、お家騒動。次々と起こる騒動の中、おれんの恋は実るか!?
  • 天女湯おれん これがはじまり
    -
    人気作『天女湯おれん』の前夜を生き生きと描く。文政十二年、江戸の町を焼き尽くす大火によって、おれんは、義父も湯屋も失ってしまう。幕府が作ったお救い小屋で生活を始めるおれん。しかし、気風の良さで天女と慕われる彼女のもとには、ここでも次々と厄介事が持ち込まれるのだった。湯屋と裏長屋の再建のため、懸命に走るおれんを描く、爽快な人情話(講談社文庫)
  • 天女湯おれん 春色恋ぐるい
    4.0
    人気戯作者のストーカーとなってしまった後家の恋煩いを治したり、義理の父親から虐待を受けていた娘を救ったり。はたまた、湯屋の中に拵えた知られちゃまずい男女密通の隠し部屋に忍び込まれたり。天女湯の女将おれんは、今日も大忙し。そんな、おれんにも久しぶりの恋の予感が。艶と人情の七編を収録。
  • 天平グレート・ジャーニー 遣唐使・平群広成の数奇な冒険
    4.1
    天平五年の遣唐使は苛酷な運命を辿った。朝貢国中最下位扱いされながらも、多くの人士や書物を満載し帰国の途についた四隻の船団。だが嵐に遭い、判官の平群広成率いる第三船は遙か南方の崑崙国へ漂着する。風土病と海賊の襲撃で、百人を越える乗員はほぼ全滅。軟禁されていた広成ら四人だけがふたたび長安へ向かう惨状ぶり。さらには新羅との関係悪化で、北方の渤海国経由での帰国に賭けることに。天平の「外交官」の見たものは?
  • 天風の彩王(上)藤原不比等
    4.0
    不遇から甦った男の知謀と野望! 天皇に疎(うと)まれながらも不屈に生きる、中臣鎌足の子・不比等の凄烈な生涯――天智天皇と中臣鎌足(なかとみのかまたり)が築いた近江朝は、壬申の乱により大海人皇子(おおあまのみこ、後の天武天皇)に倒される。鎌足の子・不比等(ふひと)は山科で戦乱を逃れたが、中臣氏を疎む天武天皇は、不比等に出世の機会を与えなかった。だが彼は、知謀と強運を武器に昇進をとげ、律令国家の基礎を作っていく。古代史小説の第一人者が描く、凄烈な男の実像。<上下巻>
  • 天保図録1
    5.0
    上意! 江戸城老中部屋に呼ばれた将軍家慶の側用人水野美濃守は、老中筆頭水野越前守忠邦から、突然の罷免を告げられた。その瞬間こそ天保の改革の幕あけだったのだ。家慶の信を得た忠邦は野望に燃える鳥居耀蔵を町奉行に抜擢、苛烈ともいえる容赦ない諸改革を断行する。天保政治の実相を壮大に描く時代長編〈全5巻〉
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(1)
    値引きあり
    4.1
    織田信長が天下布武(てんかふぶ)を掲げた頃、陸奥(みちのく)の南部家では内紛が続いていた。新たな時代を予見する九戸党の棟梁・政実(まさざね)は、ついに宗家を見切った。戦の天才「北の鬼」九戸政実が、武者揃いの一族郎党を束ねて東北の地を駆け巡る。著者が故郷を舞台に熱き思いを込めた歴史巨編「陸奥3部作」の最終章、待望の文庫化。(講談社文庫)
  • 天を測る
    値引きあり
    4.1
    安政7(1860)年、咸臨丸が浦賀港からサンフランシスコを目指して出航した。太平洋の長い航海では船室から一向に出てこようとしない艦長・勝海舟を尻目に、アメリカ人相手に互角の算術・測量術を披露。さらに、着港後、逗留中のアメリカでは、放埒な福沢諭吉を窘めながら、日本の行く末を静かに見据える男の名は、小野友五郎。男は帰国後の動乱の中で公儀、そして日本の取るべき正しい針路を測り、奔走することになる―。知られざる幕末の英雄の物語!
  • 出合茶屋
    4.5
    爛熟した町人文化が花開いた、文政年間(1818~30)の大坂。元武士の町之介は貸本屋稼業に精を出す傍ら、豪商の後家・綾乃、旦那替えを頼まれた妾奉公のお菊、公家に仕える京娘・佐知ら女たちとの逢瀬を重ねてゆく。活気あふれる浪速を舞台に、男女の愛と性の営みを大胆に描く、好評『後家長屋』続編。
  • 御町見役うずら伝右衛門(上)
    -
    うずら小屋の番人とは、世を忍ぶ仮の姿! 「うずら伝右衛門」こと志摩銀之丞は、尾張藩主・徳川宗春の「隠秘御用」を務める御側足軽で居合の達人。質素倹約で享保の改革を進める将軍・吉宗に対し、景気刺激策をとる宗春の命を受けた伝右衛門は、下屋敷内に東海道五十三次を模した町屋を造成することに!?
  • 御町見役うずら伝右衛門・町あるき
    3.0
    うずら小屋の番人とは、世を忍ぶ仮の姿。「うずら伝右衛門」こと志摩銀之丞(しまぎんのじょう)は、第7代尾張藩主・徳川宗春の異父弟にして「隠秘御用」を務める居合の達人。河獺(かわうそ)の化物退治、謎の忍者「猿者(さるもの)」との対決、奪われた名刀の探索など、江戸の町に起る怪事件・珍事件の数々を伝右衛門が鮮やかに解決する痛快時代小説
  • 東海道をゆく 十時半睡事件帖
    3.8
    著者の死生観が結晶した終わりなき旅路。人気シリーズ最終作! 「生きる者は生き、死ぬ者は死ぬ」。福岡藩江戸屋敷総目付を務める名物老人・十時半睡(とときはんすい)は、重病の息子弥七郎(やしちろう)を見舞うため、国許(くにもと)への旅に出る。息子の天運を信じる半睡は、あえて陸路・東海道を悠々と旅してゆくのだが、道中には様々な事件が巻き起こる。惜しくも著者の絶筆となった人気シリーズ最終作。
  • 東京影同心
    3.0
    金子弥一郎は慶応3年に異例の若さで定町回(じょうまちまわ)り同心となったものの、幕府は瓦解して町奉行も消滅。新政府に仕官した同僚の誘いにも気が進まず、元岡っ引の始めた料理茶屋に居候を決め込んだが、ひょんな縁で佐幕派の「中外新聞」で種取り記者として探索にあたることに。元「八丁堀」同心の矜持を描く傑作長編。(講談社文庫)
  • 峠越え
    3.8
    弱小の家に生まれ、幼少期を人質として過ごした家康は、織田と同盟を組むが、家臣同然の忍従を強いられる。信長の命で堺にいるとき、本能寺の変が起きた。三河へ戻るには、明智の追っ手から逃れ、敵が潜む伊賀を越えねばならぬ。杓子定規の石川数正、武田の家臣だった穴山梅雪ら、部下たちもくせ者揃い。己の凡庸さを知る家康は、四面楚歌の状況から脱出できるのか? 本能寺の大胆仮説もふくむ大仕掛け、注目の著者の歴史小説!
  • 唐玄宗紀
    4.0
    則天武后以来の女禍の時代を終わらせ、唐全盛期をもたらした玄宗には影の如き名臣があった。唐6代皇帝、玄宗。彼が「将軍」と呼んだ宦官にして名臣に高力士(こうりきし)があった。二人は女禍の時代に幕を引き、開元の治と呼ばれる繁栄を実現する。しかしやがて、楊貴妃の出現、安禄山の大乱によって国は止め処なく乱れゆく。唐帝国最盛期をもたらした皇帝の一生とその影となり支えた忠臣を見事に描く歴史大河小説。
  • 東福門院和子の涙
    3.6
    徳川2代将軍の娘和子(まさこ)は、史上初めて、武家から朝廷に嫁ぎ、「稀なる福運の姫君」と称えられた。戦国を毅然として生きた女性・お市の方の血を引いて、自らの苦悩は決して語らない女性であったが、宮廷の冷たい仕打ちは、中宮の紅絹(もみ)の布が知っていた……。涙を秘めた慈愛の国母を描いて、深い感動をよぶ長編小説(講談社文庫)。
  • 時宗 巻の壱 乱星
    3.6
    国を守り抜いた男を描く渾身の歴史巨編。源頼朝亡き後、北条氏に権力が移り抗争が続く鎌倉。若き北条時頼は、病に臥した兄の執権・経時に、棟梁になれと告げられた。北条を継ぐ者に安寧はない。地獄の道だ――。内部闘争に血を流しても、国のあるべき姿を求めねばならぬ。武家政治を築いた父子を描き、「国を守るとは」を問う巨編、ここにはじまる。(講談社文庫)
  • 時宗 全4冊合本版
    4.3
    盤石の執権政治を確立し、幕府の結束を固めた北条時頼。だが、巨大騎馬国家・蒙古の王クビライが、海を越えこの国を狙う。かつてない戦が始まろうとしていた。天変地異続く巷では、法華経を説く日蓮が民の熱狂を呼ぶ。父の志を受け、真に国をまとめるものとなれ。少年・時宗は若き棟梁として歩み出す。武家政治を築いた父子を描き、「国を守るとは」を問う巨編、全4巻の合本版。
  • 徳川吉宗の人間学 変革期のリーダーシップを語る
    -
    元禄バブルを生き抜いた男・吉宗。人気時代小説家が読み解くスーパースター吉宗の手腕と戦略――元禄のバブルに挑み、享保の改革を断行。大胆なリストラクチャリングを行った、八代将軍・徳川吉宗。情報網を掌握し現状分析能力にすぐれた吉宗こそ、現代に通じるリーダーシップではないだろうか。『大わらんじの男』の津本陽、『小説徳川吉宗』の童門冬二の二人が、書かれざる吉宗の成功と失敗の真実に迫る快著。
  • 歳三からの伝言
    3.4
    新選組副長にして幕末一のモテ男・土方歳三。賊軍とされて京を追われ、江戸から末期の地となる蝦夷(えぞ)へ敗走しつつも、歳三は常に信じる道を突き進んだ。命を削る戦いの中で女を泣かせ、だが多くの女を惹きつけた志士の生き様を、鳥羽・伏見の戦いから慶応5年5月のその日まで、情感豊かに描く傑作長編時代小説。
  • 渡世人
    5.0
    相次ぐ飢饉、進まぬ改革に、天下が揺らぐ兆しが見えた江戸幕末。練達の槍をひっさげ、幕府転覆を望む博徒・板割浅太郎は、上州の侠客・国定忠治と盃を交わす。関所を破り、役人を殺し、敵対する一家と血で血を洗う抗争を続ける無法の渡世! その果てに浅太郎を待つ数奇な運命とは? 動乱期を駆け抜けた渡世人の数奇な生涯を、独自の歴史観、死生観から活写する。書き下ろし長編時代小説。(講談社文庫)
  • 殿、恐れながらブラックでござる
    -
    武将の通信簿とも言える『名将言行録』で「脳筋で無学」と評される尼崎藩主・青山幸利(よしとし)。ワケアリ牢人・戸ノ内兵庫が、時代遅れでブラック気質な幸利をできる藩主にプロデュース! 譜代大名・藩と江戸幕府の危機に対処していく凄腕コンサル物語。 四代将軍・家綱の世。戸ノ内兵庫は御三家水戸筋の訳ありな出自のため、幼い頃に命を狙われ、祖父母を目の前で斬殺されたトラウマから、刀を抜かない・人を斬らない主義だ。江戸のさる寺に居候中の兵庫は、藩士が居つかない尼崎藩のため、江戸での人材確保と尼崎での人材育成に関わることになる。 「恐れながら申し上げます」と言いつつも、恐れ知らずの兵庫の助言で、幸利も藩士たちも徐々に変わっていく。 そんななか、由井正雪の遺志を継ぐ一派が、江戸幕府転覆を狙って大坂城乗っ取りを計画。兵庫はその仲間と疑われ、厩番に身分を落とす。落雷により大坂城天守閣が炎上した日、大坂城に駆けつけた幸利は、一派に命を狙われる……。
  • 殿、恐れながらリモートでござる
    5.0
    病と称して江戸城に現れない毛利家2代目当主を引っ張り出せるのか。痛快! 凄腕コンサル時代劇第2幕。 本作の舞台は江戸。戦国の毛利元就からつながる長州藩2代目当主の毛利綱広は反骨心が強く、徳川家に仕える身でありながら、病と称して江戸城に行かないことがあった。大江戸コンサル、戸ノ内兵庫はどうやって綱広を引っ張り出すのか。
  • 虎の牙
    3.0
    武田信玄の父・信虎の謎の弟、勝沼信友。「山の民」として育てられたその男は、自らに流れる血の運命にのみ込まれていく。一方、罪を犯して流浪の末武田家に仕官した足軽大将の原虎胤は、その武勇から「鬼美濃」と恐れられ、外様ながら家中で重きをなしていく。乱国甲斐の統一を目指す武田信虎を挟んで、二人の男がある「呪」を背負いながら戦場を駆け巡る。最強武田のルーツを描く、女流ヒストリーテラーのデビュー長編、待望の文庫化。〔解説〕平山優。
  • 独眼竜政宗(上)
    4.0
    時は戦国たけなわ。奥羽の名流・伊達輝宗の嫡男を病魔がおそった。疱瘡! 危く一命はとりとめたが、悪疫は彼の右眼を無残に奪った――独眼竜政宗の誕生である。だが、多難の前途を暗示するかのようなこの不幸に政宗はくじけなかった。国盗りに明け暮れる激動の荒海に、彼はさっそうと乗り出した!〈全二冊〉
  • 独眼竜政宗 最後の野望
    -
    徳川憎し! 独眼竜政宗がみた夢とは!? 伊達政宗の忠臣片倉景綱の子・小十郎が語る、政宗の野望。遣欧使節に託された打倒徳川へ密命。直木賞作家が書き下ろす迫力と興奮のエンターテイメント時代小説。(講談社文庫)
  • 毒婦四千年
    4.0
    末喜(ばっき)、妲己(だっき)、褒ジ(ほうじ)、驪姫(りき)……。絶世の艶容、その性(さが)、残忍にして陰険。ケタはずれの中国後宮の毒婦、とりわけ武后――疑心暗鬼のままに幾千人を殺し、なお清々しい眸子と水々しさを保つ武后を、その眉をつくり化粧を施し続けた男の目を通して描く「皇后狂笑」。ほかに、西太后などを描いた7編を収録。ケタ外れのおもしろさ! 柴錬得意の中国物の世界。
  • 母子草 どぶ板文吾義侠伝
    4.0
    ちょいと悪(ワル)だが、心は晴れよ。銭の話には食らいつく文吾の前に訳ありの女が。女と火遊びをした商家の旦那を威(おど)して小判をせしめ、駆け落ちした娘を連れ戻して手間賃を得る。普段は小間物商だが儲け話には食らいつく文吾は、同じ客を二度とらないという訳あり気な夜鷹の顔を見て息を呑んだ。ちょいと悪でも人情には厚い文吾が探り出したある"絆"とは? 手練が放つ書下ろし時代連作集。
  • 溝猫長屋 祠之怪
    3.5
    猫まみれ長屋の奥にある祠に、毎朝お参りすることになった溝猫長屋の年長組、十二歳の忠次たち四人。そのお多恵の祠の力なのか、忠次たちは幽霊を感じることができるようになる。桶職人の倅、忠次は「見る」ことが、提灯屋の倅、新七は「嗅ぐ」ことが、油屋の倅、留吉は「聞く」ことができるようになった。将棋盤の職人の倅、銀太だけは何も変わらない。お多恵の祠は、はたして長屋の子供たちの守り神なのか、それとも!?
  • 直江兼続と関ヶ原の戦いの謎 〈徹底検証〉
    5.0
    秀吉、家康ら戦国武将に、最も畏怖された男の生涯。関ヶ原の戦い前夜、正々堂々、家康のやり口を批判し、6万9千余からなる家康の上杉征伐軍を迎え撃って、あくまでも“義戦”を貫徹しようとした男、直江兼続。謙信に学び、長じて景勝に仕え、越後・上杉家の家宰として“利”を求める戦国乱世の時代に、“義”を貫いた生き様を描く。〈文庫書下ろし〉(講談社文庫)
  • 直江山城守兼続(上)
    -
    毘沙門天の旗の下、戦場において無類の強さを誇った軍神・上杉謙信。その謙信は、1人の若者の才に目をつけていた。直江山城守兼続――秀吉が惚れ込み、家康が恐れた男。謙信の薫陶を受け、生涯を上杉家に支えた兼続の波瀾に満ちた生涯。その知られざるエピソードを通して丁寧な筆致で描く。
  • 仲蔵狂乱
    4.0
    〈存分に舞い狂うてみせてやる……〉江戸は安永――天明期、下積みの苦労を重ね、実力で歌舞伎界の頂点へ駆けのぼった中村仲蔵。浪人の子としかわからぬ身で、梨園に引きとられ、芸や恋に悩み、舞いの美を究めていく。不世出の名優が辿る波乱の生涯を、熱い共感の筆致で描く。第8回時代小説大賞受賞作。
  • 中大兄皇子伝 上
    3.8
    若き皇子、革命に燃ゆ。ほとばしる情熱と欲望を見よ! ――吾(われ)の裡(うち)には、鬼が棲みついている! 新しい律令国家を建設するために必要なことは「革命」。それを邪魔する者は、心を鬼にして殺さなければならない、と、若き皇子は、蘇我入鹿の首に刀を突き刺した……。数々の禁忌を打ち破り、大化の改新の立役者となった中大兄皇子。その常人離れした野望を描いた歴史大作。<上下巻>
  • 長崎犯科帳・青苔記 ほか五篇
    -
    肥後国の仏師・卯助が、銀札の版木を偽造し、贋札を作った事件の謎を追う「長崎犯科帳」。明智光秀の娘・秀姫が、織田信長の養女として、筒井順慶の養子・定次に嫁いだことによって起る波風をえがいた「青苔記」。大内裏の応天門が焼失した事件をめぐる、伴大納言、左大臣・源信、藤原基経の権謀の渦を書いた「応天門始末」……など、永井路子の傑作短篇時代小説7篇を収録。
  • 長崎ロシア遊女館
    -
    学問のためという一念で、妻の肉体を人体実験に供する町医者。未知の分野であった人体解剖の彩色図を、憑かれたように描く絵師。娼館設置をめぐり、ロシア人に遊女たちの性病検査を迫られ苦慮する長崎奉行所の役人。幕末から明治にかける近代日本黎明期の医学秘話五篇を収録。第十四回吉川英治文学賞受賞作品。
  • 泣きの銀次
    3.8
    誰がお菊を殺したんでェ。最愛の妹の命を奪った下手人を追って、大店の若旦那の地位を捨てた、人呼んで「泣きの銀次」。若き岡っ引きは、物言わぬ死体の声を聞いて涙する。お侠(きゃん)な娘、お芳の健気な想いを背に受けて、めざす敵は果たして討てるのか? 鮮やかな筆が冴えわたる女流時代小説作家の人情捕物帳。(講談社文庫)
  • 泣きの銀次 全3巻合本版
    -
    最愛の妹の命を奪った下手人を追って、大店の若旦那の地位を捨てた、人呼んで「泣きの銀次」。若き岡っ引きは、物言わぬ死体の声を聞いて涙する。お侠(きゃん)な娘、お芳の健気な想いを背に受けて、めざす敵は果たして討てるのか?  鮮やかな筆が冴えわたる女流時代小説作家の人情捕物帳。『泣きの銀次』『晩鐘 続・泣きの銀次』『虚ろ舟 泣きの銀次参之章』全3冊合本版。
  • 謎の団十郎
    5.0
    初代団十郎の暗殺の謎を解いた八代目の面相に、世にも恐ろしい兆候が浮き出た。そして八代目もまた非命に斃れる。歴史の中に塗り込められた異様な事件が今、霧のかなたからゆらゆらとその正体を見せ始めた。連作形式で迫る歌舞伎界最高の名跡の怪!? 千両役者を襲う黒い影は、いったい誰だったのだろうか?
  • 不知火の化粧まわし なにわの源蔵事件帳
    -
    大阪と東京との対抗意識は相撲界にも持ちこまれ、東西合併興行は大さわぎ。上方力士の梅ヶ谷が勝利を収めて湧く大阪の町で、元大関・不知火の化粧まわしが3本盗まれる。不知火も上方から東京に出て、頂上をきわめた名力士だった。元大関のまわしなどを、誰が何の目的で盗み出したか? 海坊主の親分の活躍に期待が集まる! 快調大阪捕物帳。
  • 波之助推理日記
    4.0
    旗本の三男坊で、気儘(まま)な毎日を送っていた早川波之助。ところが、釣りに興じていた舟の上で、女性の遺体を発見してから事態は一変する。その首筋には不自然な痣(あざ)が残されていた。自殺か他殺か? 難事件に直面したその時、波之助の推理が冴え渡る。そして辿り着いた真相とは。書下ろし二編を含む三編を収録。
  • 奈落
    -
    いわれなき押し込みと殺しの嫌疑をかけられた半次郎。濡れ衣を晴らせるのは、当夜同衾した宿場女郎のお里だけだが、事件の直後に女は偽名を名乗る男に身請けされ、姿を消していた。追っ手を逃れ、お里を捜し、真の下手人を挙げなければ、半次郎に明日はない。推理小説の名手が放つ渾身の長編時代サスペンス!
  • 南天
    -
    主君浅野内匠頭(たくみのかみ)の仇・吉良を討つべく策を巡らせる浪士たち。片岡源五右衛門の下僕元助(もとすけ)は、上野介(こうずけのすけ)討伐の密命を帯び、山伏の形(なり)にて上野山中へと向かう。仇討ちを巡るもうひとつの攻防を描いた表題作ほか、「試し胴」「小笠原ミゲル始末」「へそくらへ」「牢人噺」「枝もゆるがず」の6編を収録した、歴史異聞短編集。 (講談社文庫)
  • 虹の刺客(上) 小説・伊達騒動
    -
    若き藩主を巡る策謀。権勢の行方はいずこに。仙台藩六十二万石。伊達政宗を超える大器と期待された3代藩主綱宗は、幕閣大老酒井忠清と共謀した有力家臣伊達兵部に陥れられ、二十歳にして隠居の身となった。幼い亀千代を擁立し、大藩を壟断する兵部。伊達家の重臣原田甲斐は、密かに起死回生を図っていたが!?史上有名な伊達騒動の真実に迫る圧巻! ※本書は1999年11月に朝日文庫より刊行されたものです。(講談社文庫)
  • 似せ者
    4.0
    「似せ者とわかっていながら、なぜこんなにも心が騒ぐのだろうか」。時は江戸。歌舞伎芝居の名優のそっくりさんが二代目を名乗り、人々は熱狂して迎えるが……。表題作のほか、若い役者二人の微妙な関係を描く『狛犬』、お仕打が東奔西走する『鶴亀』、幕末混乱期の悲恋をめぐる『心残して』の全4編を収録。
  • 日月めぐる
    4.0
    江戸末期、駿河(するが)の小藩。その岩場からは、美しくも怪しい紺碧(こんぺき)の渦が川面(かわも)に見えた。流れゆく時と川と人。男女は渦に巻き込まれるように人生を移ろわせ、時に後悔し、時に鬱屈を抱え、あるいは平凡でも底光りするような日常を過ごし、いつしか果てていく。それもあり、これもあり。しみじみと美しい7つの物語。(講談社文庫)
  • 日本交響楽(1) 満州篇(上)
    -
    昭和3年6月4日、満州の実力者・張作霖を乗せた特別列車が何者かによって爆破された。満鉄の駅長の息子・倉田竜作とその家族をはじめ大陸に暮らす日本人の平和な日々に、広大な満州の平原を揺るがす戦争の嵐が近づく……。満州事変・太平洋戦争――激動の昭和史と日本人の運命を描く大河ロマン。
  • 日本橋本石町やさぐれ長屋
    4.8
    日本橋本石町にある弥三郎店の住人は事情をかかえた人たちばかりだ。気になる相手ができたと思えば出戻りだったり、旦那が勤め先から帰ってこなかったり、あげくの果てには店立ての噂が持ち上がる! 日本橋本石町に弥三郎店と呼ばれる長屋があった。事情を抱えた住人ばかりが住んでいて――。 心温まる江戸人情を描いた連作集。 「時の鐘」 真面目一徹、そろそろ嫁をと周囲から勧められる鉄五郎。そんな鉄五郎に気になる相手が現れたのだが、若くして出戻ったおやすという莨屋の女だった。 「みそはぎ」 おすぎは、老いた母親の面倒をみている。ある日、勤め先の井筒屋に見慣れぬ男が来るようになった。 「青物茹でて、お魚焼いて」 おときの旦那は錺職人。次第に泊まり込みの日数が長くなり、しまいにはひと月にもなった。 「嫁が君」 おやすはずっと旦那が家にいるおひさのことが羨ましい。ある日、この旦那が寄せ場からきた人物だと噂になる。 「葺屋町の旦那」 おすがのかつての奉公先の倅が、弥三郎店にやってきた。どうやらこの倅、わけありのようで。 「店立て騒動」 弥三郎店が店立てに?! 住人は緊急事態にてんやわんやの大騒ぎ。どうにかこの事態をとめられないか。長屋の住人が一致団結して行ったことは。
  • 忍者 枯葉塔九郎
    -
    奇想天外、荒唐無稽を地でゆく、恐ろしいまでの面白さで、一世を風靡(ふうび)した「風太郎忍法帖」の傑作短編集。 幕府のお庭番の変装所・大丸屋の娘が、秘命をおびたお庭番に恋する「忍者枝垂(しだれ)七十郎」。斬られても、その刹那すぐに溶けあって肉体がつながる忍法を会得している男が、仕官志望の男に勝負を譲って、相手の妻を譲り受ける「忍者枯葉塔九郎」など。現在入手不能の、天下にその名を轟かせた異色作8編。
  • 忍者烈伝
    4.0
    捨て子だった段蔵は、命の恩人である伊賀の天才忍者・上野ノ左から忍びの教えを授かる。恩師との離別後、幻術も会得した彼は、「鳶(飛び)加藤」の評判と腕を買われ、利害が交錯する風魔小太郎、上杉謙信、武田信玄らの元を渡り歩く。戦国時代に生きた忍者の、活躍と苦悩を描いた衝撃のデビュー作!
  • 抜打ち庄五郎
    -
    求めるものは、ひとつ。『技を磨き、強くなる』――歴史に名を残してはいない。名を求めるでも、金を求めるでもなく、ひたすら己の技を磨き、強くなることを目指した男たち。その不世出の剣豪の生きざまを、鮮やかに描く! 技へのこだわり、リアルな決闘シーン、意外な結末……。表題作「抜打ち庄五郎」以下、短編の名手の選りすぐった8編を収録した好短編集。

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