スコットランドのエジンバラ近郊の町に住むリディアは、妖精について何でも知っているという妖精博士(フェアリードクター)の看板を掲げて、妖精がらみのあれこれを解決する仕事をしようとしているが、産業革命によって街灯が輝き、鉄道が走るようになったヴィクトリア朝のイギリスでは妖精はすっかりおとぎ話扱いで、村人から変わり者の娘として遠巻きに見られるばかり。ある日、ロンドンで博物学の教授をしている父からイースターを一緒に過ごそうと誘われてロンドンへ向かうものの、途中でトラブルに巻き込まれて知り合ったエドガーという男性から、自分が妖精国に領地を持つ伯爵家の子孫であることを証明するために力を貸してくれと頼まれ、フェアリードクターの仕事として引き受けることにするが…という形で始まる長編ファンタジー小説です。
妖精が見えることで人間とうまくやれないリディアと貴族らしい見た目と言動にもかかわらず闇を抱えているエドガーが、徐々に明らかになる彼の過去や妖精の絡む事件などを通じて、本当に少しずつ心を通わせていく描写が細やかで、読んでいてグッときます。主人公以外の登場人物も個性豊かで、かなりの長編にもかかわらず、スムーズに読み進めることができますが、先が気になり過ぎて夜更かししてしまうかも。個人的には、鉱物好きにもオススメしたいお話です。
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ネタバレしないように書くと、大変に焦点のぼけたレビューになってしまいますが…。
最後に向かって、助走の段階はもう終わったのかもしれないと感じました。きっと、この本の時点で最終地点やエンディングは作者の中にあるのかなと。
ここまで築き上げてきた各キャラクターたちの歴史が、強さと優しさを与えてくれています。ここ数冊分、似たようなことを書いていますが、全員がお互いのことを思いやって行動しているのに、毎回胸を打たれます。誰かが何かを決意してくれるたびに、「あなたならそうしてくれると信じていたよ」と感動します。長いシリーズだからこその感覚ですね。
ケルピーが好きです。中盤からの彼は、ケルピー自身にも理解できない感情を持て余していて、良い意味で彼らしくない行動が増え、それについて違和感を感じなくなっていく彼は、最後にどんな景色を見るのでしょう。リディアに綺麗になったと口にした彼が見たのは、リディアの魂。じゃあ、アーミンの魂は?と思ってしまうのも、仕方ない。
不穏な空気はずっと漂っているものの、きっとみんななら大丈夫、とも思える。最後まで楽しみです。
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嘘をついてリディアをヘブリディーズへ連れ去った、いけ好かなかったパトリックだったけれど
え、この表紙のイケメン誰ですかー!Σ(□`*)的な。
彼がアウローラの弟だと判明したのも、わたしとしては驚いた部分。もっと若い、リディアと同年代ぐらいだって、なんだか勝手に思いこんでた。。。
イブラゼルへの入国を果たせなかったパトリック。
その地を踏んだ、エドガーとリディア。
彼にとってその現実は、これまでの考え方を改めさせるほどの、とても大きな意味を持っていたんだろう。
列車事故に遭い負傷してしまったカールトン教授を、エドガーが救出する場面はぐっと来た。
理屈を超えた、心からのことば。
プリンスの記憶が抜け落ちてしまっているからか、
今までの口八丁手八丁が嘘みたいな(笑)真っ直ぐなことばだった。
これがエドガーの本質?
だからリディアは彼を愛したんだろう。
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やっと今頃読み終わりました、既にシリーズは完結しているので
待ち遠しい感じではありません。
リディアの妊娠を知って、前巻で改めて求婚したエドガーは
衝撃を受けて身を引こうとします。
しかし、女王陛下からの依頼でリディアを守っている以上
彼女を放り出すことはしません。
折々に戻りかける記憶と、自分の中の愛情に反するような
不可解なリディアの妊娠に悩みながらも、しっかりと事態に
対処するエドガーはなかなか立派でした。
むしろシリーズ中で一番彼が誠実にリディアを愛してくれた
巻ではないかなと私は思っています。
どんな障害があっても愛するなんて、
口で言うのは綺麗ですがなかなか出来ません。
だから彼にはちゃんと悩んで欲しかったので、
納得の展開です。
そもそもお腹の子供はエドガーの子なのですから
ふたりの間がしっくりいくほうが、正直自然な流れで
いつまでもプリンスを恐れて、記憶を無くしたままより
しっかり乗り越えて記憶を取り戻して欲しいと思いましたから。
地味な巻ですが、大事なお話だと思います。
それと、列車事故で負傷したカールトン教授を救うエドガー。
あの場面はグッときました。
カールトン先生はなんでもない市井の幸福を象徴してる気がします。
彼は彼で素晴らしい男性ですね。
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おおお、レビューしていなかったのに今気が付きました。
これまではリディアの妊娠が本当なのかどうか、曖昧だった部分もありますが、ついに確定しましたね。
そのせいで、リディアはかなり切ないことになっていますが。
それを押しての、最後にはそれがあるからこそリディアに一歩踏み込めたエドガーにようやくここまで来たんだなーと感慨深くなりました。
記憶を失ってももう一度プロポーズする。
それはひとつのお伽話だったけど、叶えられたことが一番のお伽のような気がします。
でも今回一番の驚きはパトリックですよ。
まさかそんな事情とは。
今までどうにも好きになれなかった彼ですが、事情が分かれば納得。
今回本当に良かったなーと思いました。アウローラもきっと喜んでいることでしょう。
アウローラの選んだ人がカールトン教授で本当に良かった。
にして表紙イラストのパトリックに驚き。
自分の中のイメージがまたしても大幅に違いました。どーしてこう外すんだろう、私…(^_^;)
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読んでいて、いろいろと辛く切ないところはあったけど、またリディアとエドガーが一緒になってくれてすごく嬉しい!
二人の子供がどういった立場か、またその子の誕生がリディアに、世界に、どういった影響を及ぼすのか、まだまだ謎だけど、取りあえず二人がまた一緒になったのなら、思いが通じ合ったのなら、取りあえず、一安心してもいいのかな
その一方で、パトリックさんがまさかのアウローラの弟とか・・・
そしてリディアのお父さんまで参加、というか関わるようになったし(にしても最後の事故はひやひやした!)
びっくり展開も続くなぁ
しかも、謎はまたややこしくなるだけじゃなくて、増えてるし・・・
エドガーの記憶が戻りつつあるというか、少しずつ、記憶の断片が見え始めてるのも不安要素の一つだよね
最後の金髪で紫の瞳でセルキーの心臓を持つ男がまた謎すぎる・・・エドガーじゃないなら、誰?
ユリシスの目の色って何色だっけ?
早く次出ないかなぁ
最終章突入してるから、どうしても重くて暗いところも多いけど、だからこそ、レイブンとケリーにニコの三角関係(?)、あとロタとポールのやりとりがちょいちょい笑えて好き ちょっと息抜きみたいにほのぼのするから
あ、でも今回は夢と現の狭間でエドガーに甘えてたことを知った時のすごく可愛かったリディアに、というか二人のやり取りに一番ほのぼのしたかも
Posted by ブクログ
やっと最新刊まで読めた!
前巻から続きが気になって一気読み。
序盤のやばいくらいのロマンチック少女小説的世界から、ふたりのあいだの葛藤をまた丁寧におさらいして、再プロポーズにいろんな意味でうっかりまたぽろっと涙させられ、リディアのかわいさにきゅんとさせられ、
この作者さんほんとに職人技なのにあざとさを感じさせなくてすごい…!
とか邪念を抱いたあとにまさかの大惨事でした。やられた。
あんまりああいうタイプの事件は起こさない作者さんだったので安心しきっていました。やっぱり職人技すぎる。
そしてラストであれ……っていう。また次巻が気になる。
ユリシス嫌いじゃないからどっち側でも復活してくれていいんだけど、こっち側かなー。
やっぱり完結しちゃってから読み始めればよかったな、と後悔。
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シリーズ第30巻。
パトリックがちょっと好きになる。
エドガーとリディアがまた結ばれることも嬉しいし、エドガーがカールトン教授を助けるシーンに感動しました。
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愛って偉大だ!!
と、ベタな事を思ってしまった一冊(笑)。
記憶を失くしても、エドガーはちゃんとリディアを選んだ。
もうそれだけで喜び一杯♪
後は、二人の子供がプリンスではなく、青騎士伯爵の力を持って生まれてくる事を願うばかりなのだが……。
今回、その力でリディアを守ろうとした事を考えると、きっと祝福の子が生まれてくれると思うのだが、こういうのは一筋縄では行かないのがお約束なのでw
早く続きが読みたい。
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お腹の子供への不安をつのらせていくリディア。だが、記憶を失ったエドガーに相談することもできない。
二人にとって待ち望んだ子供なのにその喜びを分かち合うことすらできない。
それどころか、他人との子供であるというふりすらせざるを得ない。
リディアにとって本当に切ない状況ばかりが続く。
エドガーのリディアへの愛情が試される。
それにしても、人間界と妖精界との関係とか、かなりややこしくなってきた。もちろん、お腹の子供は世界を救うのだろうけど、この先どうなるのか、まだまだ目が離せない。
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記憶を失ったエドガーに改めてプロポーズされたリディアだが、未婚だと思われている自分のお腹に子供がいると知られては……そんな中、プリンスの組織に囚われているフランシスから手紙が。手紙の暗号をもとに調査に向かうニコとレイヴン。その一方で、リディアの母・アウローラの故郷に向かったリディアの父・カールトン教授が見たものとは…
祝リディア懐妊確定!! いやはやほんと嬉しいけどそう喜んでもいられない事態。でもリディアがお腹の子を守るためにもう母親!って感じなのがとてもかっこいい。
前にここで書いた仮説に、本当の青騎士伯爵とはシーリーコート・アンシーリーコートつまり善悪両方に通じる必要があるのではないのか、だからリディアとエドガーが一緒になるのがむしろふさわしい形なのだ、というのがありましたが、もうまんまビンゴでしたね。というか大方の読者さまがそう読んでるだろうけど…そう、光があれば闇があり、闇があれば光があるように、何かが独立して存在していることはないわけですから。
リディアが妊娠してることにショックを受けるエドガーと、それ以降の二人のやりとりは読んでて実につらかった……いや最終的には見せられないよ的なことをやってるんですけど。こらこら妊娠中だぞ。はあはやくエドガーに元の記憶が戻ればいいなあと思う。戻らないまま終わるのなんてやだなあ。
エドガーがポールの絵を見ていろんな記憶を取り戻しかけるところはすごい鳥肌きました。それとクライマックス、燃える列車の中カールトン教授を救うところで過去のシルヴァンフォードの最後の記憶がフラッシュバックして重なるところとか本当に巧みな演出で思い出しても鳥肌。よくある手法だといわれればそれまでですが、どうか失敗しないで! エドガー、今のあなたならお父さんを、もう一人のお父さんであるカールトン教授を助けられるよ! がんばって! 負けないで! と読みながら必死に応援していました。ここらへんは流れるように食い入るように読んでましたね。すごい入り込みました。もしかしたらはくよー読書中今までで一番のめり込んだかも。
リディアが無事に出産出来るといいな。伯爵家のみんながいれば悪魔の子なんかうまれないよっ! 続きが楽しみです。
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記憶をなくしたエドガーに改めてプロポーズされたリディア。嬉しく思いながらも、お腹の子のことを知られないよう神経を尖らせていた。そんな時、プリンスの組織に捕われたフランシスから助けを求める手紙が来る。文中に暗号が隠されていることに気づいたエドガーは、ニコとレイヴンを調査に向かわせた。一方、パトリックの依頼を受けてアウローラの故郷に向かったカールトンが見たものは・・・。
エドガーに子どものことを知られて、傷つきながらも距離を置こうとするリディアが漏らした言葉に泣きそうになった。どれだけ好きでもそれを素直に伝えられない、誤解を受けているってどんなにつらいんだろうと。だから、エドガーが彼女のことを受け入れた瞬間は結婚が決まったときよりもじんとした。こういう夫婦でありたいと思う。かけがえのない相手だと、記憶を失っても覚えていられるような。エドガーの記憶が徐々に戻りつつあるのが心配だけど、子どもの存在がカギになるってフランシスも言ってるし、きっとハッピーエンドに向かってると信じます。続き気になるなあ。
Posted by ブクログ
エドガーとリディアの関係性は進みますが、他の部分の進行がゆっくりでもやもやします。謎も不安要素も深まるばかり。。。パトリックのカミングアウトにはびっくりでした。