有吉佐和子のレビュー一覧

  • 挿絵の女 単行本未収録作品集
     単行本未収録作品集ということだが、バラエティの豊かさに驚いた。有吉佐和子さんを元々よく知らなかったとはいえ、前作と同じノリで展開しないというか、毎回良い意味で期待を裏切られるドキドキ感があった。
     ただどの作品でも一貫して感じたのは、不自由を被る弱者を見逃さない目配り。それが前景に出るか背景に収ま...続きを読む
  • 青い壺
    ただただ「青い壺」を手に取った人たちの様子を書いているだけである。それだけなのに読みいってしまう。平凡に生きていると思われる我々、誰しもに「小説になるような体験」や「事件」を日常に感じていると思わされる一冊だった
  • 青い壺
    朝日新聞の書評で知り読みました。専門家でも12世紀の唐物の名品と目利き間違いをするほどの「青い壺」を巡る13の短編集。2篇目の退職したサラリーマンが、元の自分のデスクで判をつく姿にゾッとして、一気に物語に引き込まれました。中には、映画「東京物語」を彷彿させるようなホッととする作品もありますが、全編が...続きを読む
  • 華岡青洲の妻
    今更ながらの同書ですが読む気になったきっかけは、ここ数年ずっと冬場に霜焼けが酷くて皮膚科に行ってもさして好転せずにこの冬たまたま出会った漢方軟膏が存外に効き目あり♪

    しかもこれは遥か昔の江戸時代にかの華岡青洲が創案した軟膏であると!

    この著書の名前は聞いたことがあるし大昔にずいぶん愛読され且つ映...続きを読む
  • 一の糸
    なんて力強い主人公。

    最初はよくわからず、ノロノロと読んでいましたが、途中から一気読みです。
    この時代の女性は強いのかしら。
  • 恍惚の人
    有吉作品の代表作として押さえておきたかった一冊。
    老人の問題に自分の行く末を見るから憂鬱になる。それがよくわかった。
    身近な人がこうなったらどうするかを考えておくためにも、読んでおいたほうがいい。でも現実的には全然どうしたらいいかわからない・・・。
  • 非色
    久しぶりの再読。
    人種、性差が複雑に絡みながら、終戦直後の日本から物語がはじまる。
    一番、強く感じたのは「人は、自分より下の存在がないと安心できないものなのか」ということ。
    黒人であっても何代か遡れば白人の血が入ってるからとか
    プエルトリコ人よりは上とか。
    主人公•笑子も戦争花嫁の中でも相手によって...続きを読む
  • 複合汚染
    選挙の話に始まり、環境汚染、食物の安全性の話に入っていく本書。
    恥ずかしながら日頃興味を持っていない分野の話にも関わらず、この読みやすさ、面白さよ。有吉佐和子さん、流石の筆力。
    きっとご本人が、しっかり腹落ちするまで問題を理解して、自分の言葉に直して書いてくれているから、こんなにすっと内容が入ってく...続きを読む
  • 青い壺
    ひとりの陶芸家が焼き上げた美しい筒型の青磁の壺が売られ、贈られ、盗まれたりしながら様々な人の手に渡っていく。そして、最後に、陶芸家と再会する。その間に登場する人物たちの人間模様を描いた13話の連作短編集。
    定年退職後の虚無感を味わう夫婦、見合いの場をセットしながら、双方の断りに呆然とする女性、娘の婚...続きを読む
  • 挿絵の女 単行本未収録作品集
    短編は物足りないしプツンと終わり楽しむというよりあらすじみたい。
    短編なのにまとめてあるのでこれを読んで有吉佐和子の本を読んでみたいという気持ちになる一冊だとは思う。
  • 青い壺
    この作品もうまい文章、巧みな構成。
    さながら青い壺から、アラジンの魔王が飛び出して語ってくれるような、磁器の青い花瓶をめぐる人間模様、あるあると思いながら微苦笑。

    作者がわたしの同時代作家だから、そのころ話題の作品は昔に読んでいるつもりだったが、究めていなかったらしい。『恍惚の人』を再読してそれに...続きを読む
  • 恍惚の人
    老後のリアリティを突き付けられるお話。親にも自分にも老いはやってくる、、その時どうする??と。
    女性の役割が随分古めかしいと思ったら、書かれた時代が一世代前でした。老いの現実は変わってないけれど。
    少しだけ、心の準備ができたかな、、?
  • 青い壺
    定年後のお父さんが前の職場へ行く話好きです。

    有吉佐和子さんの小説は他にも読んだことがありますが、時代背景が古いのに面白さは衰えないんですよね。不思議。
  • 悪女について
    謎の転落死を遂げた女実業家富小路公子
    彼女を知る27人の人物へのインタビューという形式で語られる本作

    そこには
    富小路公子自身の姿は出てこない
    出てくるのは、その人その人のフィルターを通した富小路公子の姿であり
    その話の中で語られる彼女は時に食い違う
    同じ出来事でも違う人を通して語られた話では
    ...続きを読む
  • 女二人のニューギニア
    ニューギニアで体験する衝撃的なエピソード。
    当の本人は必死さとは裏腹に、読者としては想像を超える話ばかりで、思わず笑ってしまいます。
  • 芝桜(下)
    正子に蔦のように絡んでくる蔦代。蔦代という名前がしっくりくる。蔦代の真意がなかなか掴めなかった。蔦代は正子の味方なのか敵なのか...
  • 非色
    有吉佐和子文学忌 1931.1.20〜1984.8.30
    有吉忌 佐和子忌

    “色に非ず” 1964年発表の作品です。
    「戦争花嫁」と呼ばれた日本人女性の視点から、日本での差別、アメリカへ渡ってからの当時の人種差別と偏見を問いながら戸惑いながら、自分の生き方を探し求めていく骨太の小説です。

    敗戦後...続きを読む
  • 非色
    産まれた瞬間決定づけられた差別と逃れられない宿命は、確かにあるのだろう。そこに知らず知らずにハマってしまった日本人妻の物語。リアリティがあり絶望感に陥るが、そのうえで力強さも感じた。
    人生は色ニアラズ。戦争での勝者と敗者、持つ者と持たざる者、支配する側とされる側、考えることをやめた者と考え動き続ける...続きを読む
  • 女二人のニューギニア
    女二人のニューギニア滞在期
    想像を絶する過酷さに最初は驚きの連続だったが、徐々になにが起こっても「まぁニューギニアの奥地だしな…」という思考になっていった
    40年前に書かれた文章とは思えない程、いきいきとしていて、読んでいて本当に楽しかった!
    これを読んでニューギニアに行きたいとは思わなかったけど、...続きを読む
  • 悪女について
    面白かった。ある女と関係のあった人たちへのインタビュー形式で面白く読めた。

    けど自分は彼女を悪女だとは思わないかな。どちらかといえば救いようがない人、というのがしっくりくる。それも悪い意味でなく、ただ純粋に。
    嘘はダメだけどそういう生き方しかできない自分に対して素直な女の話だった。毎日忙しく働いて...続きを読む