有吉佐和子のレビュー一覧

  • 新装版 和宮様御留
    失礼なことですが、一方的に和宮に同情して作られた小説だと思っていました。政治の道具として利用された可愛そうなお姫さま、という短絡なイメージ。
    それでも、和宮以上に道具とされたフキの有様に哀れみと悲しみ感じつつ読み進んで、入れ替わりなったときには、歴史小説ならではのおもしろさ、と唸っていたわけですが。...続きを読む
  • 処女連祷
    普遍的な人間の在り方や心情を描くのが文学という解釈があります。この本はまさに、文学なのだなと思いました。こんなに変わらないのかと、びっくり。

    と初回思った点、確かにそうではある。今読むと、社会が変わっていないだけ。という観点も。この話を成り立たせた背景(こう思わせる社会)が。
  • 一の糸
    本を開いた瞬間、改行の少なさにひるみました。
    読みづらそうだなーって思ったのに、面白さにぐいぐい引き込まれ、あっという間に読み終わりました。
    一昔前の朝ドラを彷彿とさせる濃厚さでした。
  • 地唄・三婆 有吉佐和子作品集
     1950年代後半から1960年代に文芸誌に発表された短編の集成。当時としては超ベストセラー作家でありました。

     小説って、これだよな。と、思うのです。収録の「孟養女考」にみえる(当時の)新しい中国の形、とか、「三婆」に見える封建的社会の終焉、だとか、「美っつい庵主さん」にみえる(当時の)新しい若...続きを読む
  • 一の糸
    文楽は、ここ5年ほど定期公演に通っており、この世界を描いた小説は関心があります。有吉佐和子さんは凄い人ですね!造詣の深さ、構成力、細部の描写、すべて非凡な作家でした。特に「音締」からは見事な盛り上げで、一気に読ませます。一方、文楽は素材に過ぎないと思わせるくらい、茜の描写が周到で、自我を貫くヒロイン...続きを読む
  • 複合汚染
    この作品は、昭和49年に8ヶ月半にわたって朝日新聞の小説欄に連載されたものである。
    そこから40年近く経っている現在、あまり状況は変わっていないように思い、愕然とする。
    当時も著者のように、食品・環境汚染を危惧していた人がいたのに、どうして改善されないのだろうか。
    例えば、ライポンFという台所用洗剤...続きを読む
  • 複合汚染
    ・便利さと毒性が表裏一体をなしているところに、公害解決の難しさがある。(p.60)
    ・子供がなければ、やっていない。危険な農薬使っても、楽な方がいい。という言葉ほど私の心に重く響いたものはなかった(p.176)
    ・フランク婦人「虫食いリンゴを喜んで買うようになれば、消費者と生産者とは利益が一致するの...続きを読む
  • 夕陽ヵ丘三号館
    主人公の女性には嫌な感情しか持てず、読んでいてもイライラしてしまったのだけど
    それでもフト振り返ると、程度の差はあれ
    自分も同じようなことをしているのでは?!・・・なんて思ってしまったりして。
    きっとこの小説の主人公は形を変えながらも
    全ての女性の中にいるのではないかな?
  • 複合汚染
    面白い。読みやすい。
    公害、環境汚染、農薬、毒etc...にていてのエッセイ。

    タイトルにもある複合汚染についても勉強できるんだけど(勉強と聞いて構えないでほしい)、著者の行動力には感化された。←これ大事‼
    アンテナを張り巡らし、何でも疑ってかかる姿勢が素晴らしい、憧れるのでこれから私も真似をしま...続きを読む
  • 複合汚染
    政治の舞台から 日本の環境 生活汚染への急速な展開。
    それは、政治の意識を持って取り組むことを匂わせている。
    科学の進歩によって 人間生活の多様な変化に対して
    直視する姿勢。
    その変化の中から 矛盾をつぶさに見通す能力を持つ。

    健康のひずみ
    大気汚染・・・排気ガス 工場の煙
    海・・・・・・企業の垂...続きを読む
  • 不信のとき(上)
    面白かったー!昔の話だから女の人に感情移入はできないかと思ったんだけど、浮気されても泣きすがるわけではなく、「私は一人でも生きられるがお前はどうなのか」と夫に問いただす女性二人がかっこいい。44年前の話だけど、いまでも十分に通じる話。有吉作品は二作品めだけど、完全にハマりました!次は「非色」を読む予...続きを読む
  • 芝桜(上)
    対照的な2人の芸者を描いた物語。

    蔦代の行動の意図が分からず、
    先が気になって気になって、
    ページをめくる手が止まらなかった。

    舞台である花柳界の風習も知れば知るほどおもしろく、
    とても魅力的で物語の題材にぴったりな設定だと思った。

    有吉佐和子の書く文章はしなやかで、言葉遣いもとっても上品。
    ...続きを読む
  • 夕陽ヵ丘三号館
    ん~、やっぱりいいですね、有吉佐和子の描写は。
    この当時でも日本語の砕けかたは、ちょっと違和感あるけれど、現代のに比べたらマシ。
  • 不信のとき(下)
    ドロ沼系のお話です。。。

    長年子供ができなかった奥さんの妊娠
    浮気相手の妊娠

    旦那は奥さんと浮気相手との二重生活を両立して、
    奥さんは騙されっぱなしなのかと思いきや、
    最後の最後でどんでん返しが来ます。
    奥さんも浮気相手も一枚上手だったなぁー

    女って怖いと思う作品の一つ。。。
  • 乱舞
    『連舞』の続編。

    秋子の強さが際立っている。
    強すぎる女性は痛快に思う。

    ただ最後は予想通りの展開になっていた。
    それでも引き込まれる作品であったのは確か。
  • 連舞
    50年近くまえの小説。
    日本舞踊という伝統芸能の世界を描いた作品。

    「血」の世界、「家」の世界は今の我々の表の世界からはどんどん消えてしまっているようにおもう。
    あるにはあるのだろうけど。

    読みごたえありました。

    最後にあのように受け入れた秋子はやはり月の器があったのだろう。


    あと処女を失...続きを読む
  • 一の糸
    こんなに一途な愛を知れて素敵な時間を感じた。


    古い本。母の本棚にあったものを本屋で見つけ、購入。違う作品もだけど、有吉作品は主人公の女性の生き方に作者の信念を感じる。心に決めたものに一途な主人公がすき。高校のころ読んだ作品も読み直してみようかな。
  • 一の糸
    面白かった〜
    三人称小説ではあるが、完璧茜視点なので、清太郎(徳兵衛)への気持ちが切なくっていじらしくって。でも家族になってからもずっと尊敬であり恋であり、愛とか欲とかではなかったような。それが「妻」ということばに象徴されるものなのかもしれない。世喜が「弓次郎」とよび茜が「お父さん」と呼び慣わしたこ...続きを読む
  • 乱舞
    連舞(つれまい)・乱舞(みだれまい)の後編。
    絶版になったと思っていたら、こんな表紙になっているのにびっくり。(でも本屋でみかけない)

    踊りという特殊な世界で生きる女の話。有吉さんの文章は踊り物、芸者ものでも読みやすいし、ぐっと読ませるし、とても好きです。

    踊りの師匠を母にもつ才能のない姉と、家...続きを読む
  • 連舞
    連舞(つれまい)・乱舞(みだれまい)の前編。
    絶版になったと思っていたら、こんな表紙になっているのにびっくり。(でも本屋でみかけない)

    踊りという特殊な世界で生きる女の話。有吉さんの文章は踊り物、芸者ものでも読みやすいし、ぐっと読ませるし、とても好きです。

    踊りの師匠を母にもつ才能のない姉と、家...続きを読む