有吉佐和子のレビュー一覧

  • 非色
    っかーーーー!身をつまされる思い…

    まさに、こんな傑作をわたしは知らなかったのかーーー!しかも重版未定になった歴史があるなんて信じられん!の嵐でした…

    この1967年に書かれた作品(なのに全くの色褪せがないのもすごい)が2020年に復刊されるのが、素晴らしいタイミングというか、すごい意味ありと言...続きを読む
  • 非色
    面白くて一気読み。
    日々の生活に活力すら与えられて、読書の意義をひしひし感じることができた。

    でもそれはこの中に書かれた生活を「これよりは自分はマシだ。頑張ろう」と思えたからであって、この小説の主題をまさに体現しながらの読書体験でもあった。

    人間は業が深い。それは許容しつつ、なるべく自らのその部...続きを読む
  • 女二人のニューギニア
    これは死ぬほどおもろかった。文句なしの5★!人類学者の畑中幸子氏に「あんたもおいでよ、歓迎するで~」と言われてほいほいとニューギニアの奥地に行ってしまい、大変な目に遭うという話し。1968年頃のニューギニアって、こんなんやったんやぁって思うけど、今のニューギニアも知らんけど。そう言えば1973年くら...続きを読む
  • 非色
    有吉佐和子さんの本は初めて読んだけど、テンポ感が良くて、リアルで面白かった。
    50年以上前の話で時代も感じるけど、人が人を差別してしまう意識は今でも変わっていない事は分かる。
    差別されているもの同士でもお互いを差別し、罵り合う。
    人種同士の差別もだけど、この時代は今よりももっと女性の地位も低い。女性...続きを読む
  • 悪女について
    どうも自分は多視点の物語が好みのようだ。
    主人公の女性の視点は一切描かれず、彼女と関わった人々がそれぞれの主観で物語を語るスタイル。
    それぞれは見たことを語るだけなのだが、章が進むうちに人間の主観の偏りや小さな嘘が明らかになっていく。そこが面白い。そして主人公の多面性。
    騙された男たちはある意味で自...続きを読む
  • 悪女について
    おもしろくて夢中で一気に読んだ。のめり込んで読んだ。
    結末はちょっと拍子抜けだったかもしれない。
    あ、でも、造花は?!造花は誰が?

    この頃の文化、人々の様子、好きだなー。
  • 女二人のニューギニア
    和歌山市の記念館を訪れて以来、有吉さんの作品を少しずつ読んでいる。
    今回は紀行文で、知った時には旅行エッセイ好きの血が騒いだ。文化人類学者のご友人 畑中幸子氏に誘われニューギニアの奥地ヨリアピに足を踏み入れるというもので、ハラハラ引き込まれること間違いなしだ。

    有吉さんたちの文字通りに歩んだ旅路自...続きを読む
  • 華岡青洲の妻
    恐らく中学時代…先輩が書いた読書感想文で本書を知った。
    1804年(文化元年)世界初の全身麻酔による乳ガン手術に成功した華岡青洲。その成功の裏には自ら実験台になることを願い出て失明した妻 加恵の内助の功があった。感想文にあったそんなあらすじを読んで、すぐさま「自己犠牲がテーマか…」と気が進まなくなっ...続きを読む
  • 挿絵の女 単行本未収録作品集
    どうやら今年出たらい単行本未収録作品集。最近なんとなく有吉佐和子さんが再評価されている空気があり、嬉しい!
    そして本当に一編一編ハズレがないのに脱帽。
    日本舞踏の世界を描いた短編『鬼の腕』なんかはさすがお家芸だけど、まさかフィクション風の推理小説『指輪』や、中国古典を題材にしたユーモラスな『崔敏殻』...続きを読む
  • 悪女について
    果たして彼女は悪女だったのだろうか。富小路公子について27人が語る。「まあぁ」が面白い。もう40年以上前の小説なのに古くない。たとえ悪女であっても好きです富小路公子。
  • 非色
    差別とは何か。差別は表に出さないだけで、私の心にも巣くっている。人は、心の中で優劣をつけたいからだ。自分が誰かより優っているところを見つけたい。誇りを持ちたい気持ちが増大したときに差別は生まれるのではないか。ごく単純なところから始まって大きくなったのが差別なのではないか。
  • 非色
    マティス展に行ったら飾られていたので何気なく手に取ったが、本当に読んで良かったと思える一作になった。1967年に刊行された作品なのに、まるで色褪せていない。今でこそ皆に読んで欲しい。他の有吉佐和子作品も読んでみたい。
  • 青い壺
    有吉佐和子さんの短編は初めて読んだ。どの話もごくごく短いものだが流石に読ませる。昭和の作品なので時代背景が各所に窺える。派手さはない。描かれているのは登場人物達の日常とそれにともなう細やかな喜怒哀楽である。そしてそこに青い壺がある。第一話で生み出された壺が様々な人の手を経て最後の第十三話で生み出した...続きを読む
  • 非色
    敗戦直後の日本、米兵トムと結婚し娘メアリー を産んだ笑子は、黒い我が子に向けられる冷ややかな視線に苦しみ、幸せな暮らしを夢見て夫の元へ渡米する。ところが、待っていたのは、もっと激しい人種差別と貧しいハーレムでの半地下生活だった。

    逆境の中、気丈で逞しく生きる笑子の姿が潔い。時々、逆上し、突飛ない行...続きを読む
  • 芝桜(上)
    芝桜(上)芝桜(下)そして木瓜の花へと続く正子と蔦代2人の雛妓時代から初老といわれる年齢までの極めて微妙な関係がとても魅力的な筆致で描かれている。
    特に上巻第一章の一。この始まりは秀逸だと思う。 ここで正子と蔦代それぞれの性格、立ち位置を実によく表している。これから始まる女2人の人生を物語るには最...続きを読む
  • 非色
    人種差別の話と一言で言ってしまうにはもったいない本だと思う。 発表から半世紀を過ぎているが有吉佐和子さんの文章には本当に心をつかまれる。
    本文中にこんな一節がある。「人間は誰でも自分よりなんらかの形で以下のものを設定し、それによって自分をより優れていると思いたいのではないか。それでなければ落着かな...続きを読む
  • 乱舞
    有吉佐和子さんの小説、最近ものすごく惹かれている。たおやかだけどきびきびした緩急のある文体、豊富な語彙で選ばれた言葉たち、様々な登場人物の人間味(一瞬しか出てこない人物ですら目に浮かぶ!)、現実を映し出したような予定調和ではないストーリー…。
    今作も一気読み。

    前作から更に強くなった秋子、ラストの...続きを読む
  • 女二人のニューギニア
    1985年に刊行されて一度は絶版した本。女二人の破格なニューギニアの冒険が、どれも想像を絶する。またまたと呆れて笑いながら聞いてしまいそうな武勇伝は、まじめに誇大なしの実際の体験だ。文明化された潔癖すぎる社会とはかけ離れた世界。今はどうなってしまったんだろう。文明化されない変わらないでいてほしい気持...続きを読む
  • 悪女について
    確かに悪女と言われれば悪女だし、人によれば正反対の人でもある。その時と人による形振りの振り幅の徹底さは、まさしくプロとしか言えず、それを可能にしてしまう美しい造形を与えたのが、時に悪魔に見えてしまう神さまの不思議だ。忍耐強く直向きな実直さは、若い実業家と年嵩にして若々しい美しさの同居を許してしまった...続きを読む
  • 紀ノ川
    朝日新聞の和歌山紀行での推薦本である。有吉佐和子は、恍惚の人や複合汚染で有名になっていたので、その本を読んだが、こうした昭和の初めの地方の和歌山の女性を描いたとは思わなかった。和歌山を昭和にかけて知るにはガイドブックとして最適であろう。