有吉佐和子のレビュー一覧

  • 女二人のニューギニア
    スピン創刊号にて中島京子さんが手に入りくい絶版本で
    紹介していた時から気になっていた本。
    河出文庫から復刊していたので購入した。

    私が生まれるより昔の話で、そんな時代にニューギニアの奥地にお友達の人類学者の畑中さんに誘われて
    軽い気持ちで行った有吉さん。

    それが行くだけでバーガラップ(私は壊れた...続きを読む
  • 連舞
    有吉佐和子さんの作品は、文字を追うだけで楽しいような硬質な美文で、本当にハズレがない。
    今回も、題材の日本舞踊のことなんて全く知らないのに、ぐいぐい読まされてしまった。
    それほど長い作品ではないのに、大河ドラマを観たかのような満足感。

    あと、青春期までの瑞々しい繊細さを描ける作家は数あれど、酸いも...続きを読む
  • 女二人のニューギニア
    1968年未開の地ニューギニア。
    文化人類学者の畑中さんが逗留している、発見されたばかりの部族の村に呼ばれ、
    都会の小説家の有吉さんが何の覚悟もなく軽い気持ちで遊びに行ったら、とんでもない目に遭ったお話です。

    とにかく畑中さんがすごすぎる・・・
    キャラが濃すぎてフィクションの人物なのかと思うほど
    ...続きを読む
  • 紀ノ川
    23.1.21〜2.5

    有吉佐和子、面白すぎ❗️
    花と祖母の関係性、習慣。絆。嫁入りの様子は鈴木清順の映画を思い出した。
    カバンに大量のキューピーをぶらさげて田舎を闊歩してる文緒、可愛げありすぎ。
    華子を見つめる花の目線と、終盤に彼女が語る言葉で感極まった。

    武蔵美に友達の卒制を見に行った帰りに...続きを読む
  • 女二人のニューギニア
    有吉佐和子さんは、
    女の情念たっぷりの重々しい世界を描く作家さんと思いきや、冒険譚的な笑いたっぷり発見たっぷりの旅紀行まで描く。

    ニューギニアで単身調査している友人の人類学者さん(畑中幸子先生)に誘われて軽い気持ちで遊びに行ったら大変な未開の地だった…。
    2日かけて山を越えたり、布からパンツを作っ...続きを読む
  • 女二人のニューギニア
    海外で文化人類学の研究をしている友人の家に遊びに行く。ただしそこは1968年のニューギニア、研究対象はほんの数年前に「発見」された部族、家はセスナ到着地から3日歩く必要があり、その3日の行程の大半は富士山クラスの山を複数越えるものだった…
    とぼけた有吉さんと女王然とした学究の徒、畑中女史の暮らしは辛...続きを読む
  • 女二人のニューギニア
    のほほんとしたお気楽な雰囲気の文章ですが、書かれている状況は壮絶。

    女二人の、半世紀昔の、「文明社会」と出会って間もないニューギニアです。そこに住まう現地の皆さんを思い浮かべると、今なら使うのを躊躇っちゃうような言葉が自然と脳裏に浮かんでくるワンダーランドです。

    そんなところでフィールドワークを...続きを読む
  • 非色
    戦後間もない頃の話ながら、今に通じるものが多々あり、差別について改めて考えさせられました。
    『人間は誰でも自分よりなんらかの形で以下のものを設定し、それによって自分を優れていると思いたいのではないか。それでなければ落ち着かない、それでなければ生きて行けないのではないか。』
    主人公の笑子が問いかける言...続きを読む
  • 非色
    マティスの絵に惹かれて手に取った本。
    知らなかったけど1967年に刊行された本と知り驚いた。
    というのもほとんど違和感なく読めたから。(私は)
    現代の人が昔の話書いてるのかと思ってた。
    アメリカの中でも、いろんな国の人によって扱いや暮らしが違ったりって言うのを知れたし、全然飽きなかったし、ちまちまし...続きを読む
  • 非色
    「差別意識」について深く考えさせてくれる素晴らしい小説だった。
    1967年に刊行された作品だけれども、けっして色あせていない。差別は相変わらずあり、というより、以前より細かく差別は存在する。これからも読まれ続けなければならない作品だと思う。主人公の笑子が娘メアリーの態度から、「こんな小さな穴倉の中で...続きを読む
  • 非色
    差別の根底にあるものが見えてくる。
    戦後、黒人兵と結婚した笑子は、戦争花嫁としてアメリカに渡り差別される側であったが、自分の中にも差別意識があることに気づいていく。
    アメリカの人種問題だけではないだろう。現代も同じだ。いじめも根っこは同じなのか。
  • 華岡青洲の妻
    高校生のとき以来で読み直したら、とてつもなく面白かった!
    世界初、全身麻酔による乳癌手術を成功させた医師とその家族の物語…ときくと何やら高尚で敷居が高そうだが、「バッチバチな嫁姑もの」という普遍的でエンタメ性高いエッセンスをまぶして描くセンスの凄さ!
    有吉佐和子さんは「悪女について」も読み返したい!
  • 非色
    読書会 課題図書

    ずっと昔、読んで衝撃を受けたことを思いだした
    あの時よりも「非色」の意味が胸に迫る
    復刊されてよかった
    今も新しい

    ニグロに対する日本でのそしてアメリカでの差別
    しかもまだ下層とされる人々がうごめいている
    「戦争花嫁」と言われた女性を描くことによって
    まざまざと映し出す現実
    ...続きを読む
  • 非色
    日本とニューヨークへと舞台を移し、色んな人種がいる中で起こる差別構造について赤裸々に、ユーモラスにも描かれていて、読む手が止まらなかった。

    「肌の色ではない、階級闘争なのだ」
    人間は自分より下の存在を作らなければ、自分の尊厳を保てない生き物なのだと、改めてゾッとしました。
    もちろん自分の事も例外で...続きを読む
  • 非色
    思索の途中

    日本(家柄と家柄)
    日本(男と女)
    敗戦国と戦勝国
    アメリカ人と日本人
    アメリカ人と黒人
    黒人とニグロ
    ニグロと日本人
    ニグロとイタリア系
    日本人とイタリア系
    イタリア系とプエルトリコ
    色ではないのだ
    *山田家と佐藤家の男女が結婚すると、どちらの家もが、あっちの家よりもうちの家の方が格...続きを読む
  • 悪女について
    一言で言えばとてもとてもとても面白い小説。

    富を築いた女性の謎の死後、彼女と関わりのあった27人に取材をし、それがそのまま小説の構成になっていました。

    古い本のようですが今読んでも古さを感じさせない、素晴らしい作品。

    悪女か悪女じゃないかは読んだ人それぞれが判断すればよいかと思いますが、主人公...続きを読む
  • 新装版 和宮様御留
    40年くらい前に大竹しのぶさんが演じたドラマがありました。子供でしたがゾクゾクするほど面白く内容も鮮明に覚えていて、原作を読みたくなり読みました。有吉佐和子さんの取材力がすごく、和宮様は本当に偽物だったのではと思わせます。御所言葉など馴染みのない言葉が使われていますが全く飽きさせず一気に読めてしまう...続きを読む
  • 非色
    有吉佐和子さんの作品は初めて。戦後、働き口を求め、米兵が通うキャバレーでクロークを手伝う笑子。黒人兵と結婚し、妊娠、出産。夫は除隊してNYに帰るのだが笑子は子供とともに日本に残る。その後、渡米、夫と共に暮らしながら、NYでの人種差別のなかで暮らしていく。恵美子が見た差別は、同じ白人でも米英系は優性で...続きを読む
  • 紀ノ川
    花(明治)・文緒(大正)・華子(昭和)の三代記と、少し前の朝ドラを彷彿とさせる構成。事前に著者の生い立ちを確認していると、自伝的小説だと言うことに途中気づく。

    開始早々泣きそうになった。
    嫁入り前の花が祖母の豊乃と寺の石段を上るシーンから入るのだが、孫へのはなむけの言葉がもう優しくて、優しくて…。...続きを読む
  • 一の糸
    最高!文楽の三味線弾きに心を奪われた女性の話。乙女の恋心、文楽の芸の道の厳しさ、大正から戦後にかけての時代描写、などなど。一冊でたくさん楽しめる。